すべての言葉を、しみじみという
今日のおすすめの一冊は、『心を豊かにする100の言葉』(PHP)の中から、斎藤茂太氏の「他罰ではない生き方を」という題でブログを書きました。
本書の中に、精神科医、土居健郎(たけお)氏の「すべての言葉を、しみじみという」と言う、心に響く文章がありました。
◆安岡正篤師がすすめる、明末の幻の名著「酔古堂剣掃(すいこどうけんすい)」の中に、心に響く珠玉の言葉がある。
『君と一夕話(いっせきわ)、読むに勝(まさ)る十年の書』
一夕話とは、ある晩(ばん)語られた話のこと。『十年かけて勉強したり、読んだ書より、君と一晩語りつくしたほうがずっといい』
この人とまた逢いたい、そして一晩語りつくしたい、そう思わせる友や先輩、師が近くにいる人は幸せだ。その一夕が、珠玉の時間となる。気品と、情緒、趣(おもむき)があり、こころひかれる、「床(ゆか)しい人」との時間…
何か集まりがあったとき、「あの人はどうしている?」、「連絡してみようか?」、と話題にのぼらない人は寂しい。あいつとだけは、一緒にいたくない、暗くなり、嫌な心持になる、ごめんこうむりたい、といわれる人にだけはなりたくない。
一晩語り合いたいゆかしい人は、しみじみと語りかけてくれる。そして、別れたあとまたすぐに会いたいと思わせる、しみじみとした余韻が残る。まさに、良寛さんのいう「愛語」だ。
良寛さんは、私は貧しい一介の修行僧なので、人にあげられるもがが何もない。だから、せめて人の心を、温かくするような、ほっこりできるような、愛語という「言葉」を贈りたい、と言った。
口から出る言葉すべてを…
しみじみと語りかけることができる人でありたい。
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