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足元を深く掘れ

今日のおすすめの一冊は、青山俊董氏の『あなたに贈る人生の道しるべ 続・ことばの花束』(春秋社)です。その中から「失敗にガタガタしない人間に」という題でブログを書きました。

本書の中に「足元を深く掘れ」という素敵な文章があったのでシェアします。

足元を深く掘れ、さらば泉を見いださん】京都・宇治にある黄檗宗の本山、万福寺には、鉄眼禅師(江戸時代)の作った一切経の版木を収めた建物がある。そこを訪れたとき、私は思わず一枚の色紙を探した。
「一本の鍬(くわ)と掘り返された少しの土だけが、色あせた墨で描かれていた。その絵に添えて、『一鍬掘り足りないために水の出ない人がいる。それは誰か』とあった。天雷(てんらい)の響きに、頭が割られる思いがした」と語られた奥村一郎神父の言葉を思い出したからである。
いつどこを、どのように掘ってもよいというのではない。時は今、ところは足元と、底を少しでも深く掘れというのである。浅く、部分的にしかいただいていない自分をもどかしく思いつつ、先達の遺された教えを、少しでも深く、と願うのであるが。

安岡正篤師の「易」の話があります。その中でも私の好きな卦が「水風井」です。

六十四卦の中に、「水風井(すいふうせい)」という卦があります。「水風井」とは、物事が行き詰まり苦しくなった場合の答えが、「井」の卦であります。行き詰って、どうにもならないときには、その事業、生活、人物そのものを掘り下げるより他によい方法がありません。
たとえば、井戸を掘りますと、初めはもちろん泥でありますが、それを掘り進めますと泥水が湧き出します。それを屈せず深く掘り下げると滾々(こんこん)として尽きない清水、水脈につきあたります。これが「井」の卦であります。このように、困ったときには、いくら条件を並べて、よい方法がないかと探しても無駄であります。自己を堀りさげるより他によい方法はありません。
本当によく反省し、修養すれば必ず無限なもの、滾々(こんこん)として尽きない水脈につきあたる、そうなると無限にこれを汲み上げることができるのであります。(易と人生哲学/致知出版)より

困ったときは、今までやってきたことを放り出して、何か新しいことを始めなくては、とあせります。もちろん新規事業なり、新しいプロジェクトなどをやることは時に必要ですが、もう一つの道として、今までやってきた本業の中に宝が埋まっていることの方が多いものです。

いわゆる、メーテルリンクの「青い鳥」にあるように、遠くまで探しに行ったけど、幸せは身近なところ、今の自分の中にあったという話と同じです。「足元を深く掘れ」という言葉を胸に刻みたいです。

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