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年を取るのも悪くない

今日のおすすめの一冊は、内藤誼人(よしひと)氏の『心理学BEST100』(総合法令出版)です。その中から「イヤなことが楽しくなるコツ」という題でブログを書きました。

本書の中に「年を取るのも悪くない」という心に響く文章がありました。

かつての日本では、年を取ることにあまり抵抗はありませんでした。年を取ることは美徳とさえ考えられていました。お年寄りは敬うべき存在でしたし、「老成」という言葉からもわかるとおり、年を取ることは立派なことだったのです。
ところが、時代は大きく変わりました。 最近では、「加齢」という言葉にはどこかネガティブなニュアンスがつきまといます。加齢 はできるだけ避けたいものになってしまっています。
「アンチエイジング」がこれほど盛んに なってきたのも、年を取ることが避けるべきことになった証左です。これはあまりよい傾向ではありません。
年を取ることは、素晴らしいことなのだという気持ちを持ちましょう。そのほうが、逆説的ながら、長生きができるものなのです。「年を取るのは、イヤだ、イヤだ」と言っていると、かえって老けやすくなってしまう、という驚きの結果を示す研究もあります。
この研究を発表しているのは、イェール大学のベッカ・レヴィです。レヴィは、50歳以上の 660名を、23年間も追跡調査し、どんな人ほど早く亡くなるのかを調べてみたのでした。 レヴィはまず、「加齢」に対してポジティブな考えを持っているのか、それともネガティブ な考えを持っているのかを調べました。
すると、加齢はよいこととポジティブに考えている人のほうが、「加齢はイヤだ」とネガティブに考えている人に比べて、7・5年も長生きしていることがわかったのです。 皮肉なもので、加齢はイヤだと考え、せっせとアンチエイジングに励む人ほど、かえって老けやすくなってしまうのです。
むしろ、加齢を心理的に受け入れている人のほうが、なぜか細胞レベルで若々しくいられるということです。 加齢をネガティブに考えている人は、言ってみれば、毎日、自分の年齢をたえず意識していることになります。そういう人ほど老けやすくなるのはいうまでもありません。
加齢をポジティブに受け入れている人は、あまり自分の年齢のことなど考えません。自分の年齢を意識するのは、誕生日くらいでしょうか。自分の年齢を忘れているくらいのほうが、いつまでも若々しくいられるのです。
加齢はどんな人にも等しく訪れるもの。こればかりは、どうにもなりません。どんなにあがいても年は取るのです。ですので、アンチエイジングに励むよりも、加齢を素直に受け入れていたほうが、心理的にはずっと健康でいられるのです。

幸田露伴は「逆順入仙(ぎゃくじゅんにゅうせん)」ということを言っています。年をとって段々とボケたり、物覚えが悪くなったり、気力も衰え、老化するのが「順」(順当)です。しかし、その「順」に逆らって努力を重ねていくと、仙人(その道を究めた人、特に優れた人)のレベルになるということです。

年を取るのを恐れて、アンチエイジングばかりすることは、逆に、年齢を常に思い出すことになります。年齢に執着するからです。執着を捨てるとは、本当は年をとることを忘れることなんですね。「忘れる」「手放す」ということ、大事ですね。

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