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心臓病の外来では、待合室の椅子がすぐに擦り切れる

今日のおすすめの一冊は、斎藤茂太氏の『ほっとする生き方』(新講社ワイド新書)です。その中から「忘れる能力は救い」という題でブログを書きました。

本書の中に「心臓病の外来では、待合室の椅子がすぐに擦り切れる」という興味深い文章がありました。

アメリカのフリードマンという医者が、おもしろいことを発見した。心臓病の外来では、待合室の椅子がすぐに擦り切れる。新しいものに取り替えても、またすぐに傷む。

なぜだろうと観察していると、患者たちが待ち時間にじっとしていることができず、イライラした様子でしょっちゅう椅子から立ち上がったり座り直したりしていたことがわかった。そのために傷みが激しかったのだ。 

そこから心臓に疾患を持つ患者には、ある特徴的な生活態度があることがわかった。これが「タイプA行動パターン」と呼ばれるもので、次のような特徴がある。 

野心的。出世欲、競争心が旺盛。多忙。いつも時間に追われている。自らに厳しいノルマを課し、それを達成するために意欲的に行動する。落ち着きがなく、いつもイライラしている。気が短くて、早口。大げさな表現、挑戦的な言動が目立つ。猜疑心が強く、警戒的。神経質で、それを露骨に態度に出す。 

人に対しては「負けず嫌い」で、自分の弱みを見られたくないという気持ちが強く、なかなか正直な自分になれない。ストレスでつらいのに「ストレスなんてぜんぜんない」と平静を装い、そのうちに自己暗示にかかり、そう思い込む。そのために慢性的に心臓に過重な負担がかかっているのだが、その自覚がない。 

さて、ここでは「自分にはストレスなんてない」「まだ疲れていない」と思っても、定期的に休む時間を作る習慣を持つことをおすすめする。 

建築現場の大工さんの仕事を見ていると、必ず午前、午後に一回ずつ三十分ぐらい の休憩を入れている。ストレスがあろうがなかろうが、疲れていようがいまいが・・・・・ 休憩が仕事のスケジュールのひとつとして組み込まれている。

これが大工さんが経験で身につけた、現場で事故を起こさない方法なのであろう。 こんな仕事のやり方でも、納期を遅らせることなく着々とすすめることができる。 自分の仕事のやり方と比べてみてはいかがか。

日本人の「タイプA」は、うつ病と結びつきやすいことが指摘されているという。性格は真面目で一生懸命働き、社会に貢献しようとする。それはいいことなのだが、それが行き過ぎて、自分のことをかえりみず、ストレスがたまってしまうからだ。

斎藤茂太氏は、「まじめでなければならない」「几帳面でなければならない」「ミスや失敗をしてはならない」という意識が、自分に強いプレッシャーをかけていることが少なくない。という。

だからこそ必要なのが、「ねばならない」という意識を捨て、「いいかげん」が大事だ。「いいかげん」は「良い加減」。ほどほどちょうどいい塩梅(あんばい)のこと。

人生、ときに「いいかげん」に生きることも必要だ。

今日のブログはこちらから→人の心に灯をともす


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