良寛さんの素敵な生き方
今日のおすすめの一冊は、枡野俊明氏の『一日一戒 良寛さん』(自由国民社)です。その中から「問わず語り」という題で書きました。
良寛さんの戒語は全部で九十ありますが、その中から二十を抜粋してみたいと思います。(眼からウロコを落とす本 /PHP文庫)より
1.言葉の多いこと 2.あわただしくモノを言う 3.モノ言いがくどい 4.“俺がこうした”などの自慢話 5.人がモノを言い切らぬうちに言い出す 6.我がことを強いて押しつける 7.他人の話を鼻であしらう 8.過ちをつくろい飾る 9.好んで唐言葉を使う 10.酒酔いして理屈を言う 11.憎き心をもちて人を叱る 12.人をあなどる話 13.減らず口 14.たやすく約束する 15.筋なき長話 16.いささかなことを言い立てる 17.言うても詮なきこと 18.おかしくもないのに笑う 19.人のことを暴く話 20.もめ事やけんかの話
また、良寛さんは「愛語」ということも言っています。言ってはいけないこと、戒めなければいけないというネガティブ(否定的)なこととは逆に、ポジティブ(肯定的)なこと、「愛語」を話しましょうということです。「あれはダメ、これはダメ」というだけでなく「こうすればいいよ」と言ってくれる良寛さん、ほんとに素敵だと思います。
小林正観さんは「愛語」についてこう言っています。
良寛和尚の「愛語の心」とは、こういうものだと聞きました。「自分は貧しいひとりの修行僧なので、人に与えるもの、あげるものが何もない。だからせめて、心をあたたかくするような、心を安らげるような『言葉』をあげたい。それならいくらでもあげることができるから」。良寛和尚は、自分の口から出てくる言葉を「あたたかい言葉」「やさしい言葉」「思いやりに満ちた言葉」にしたいと思っていたようです。
良寛さんが70才のときに、良寛さんの歌と書と人柄に感銘を受けた貞心尼が弟子入りしたいと申し入れします。貞心尼が30才のときです。しかし、良寛さんは会おうともしませんでした。しかし、歌のやりとりが交わされるうちに、いつしか貞心尼を心憎からず思うようになったのです。貞心尼との最後の歌は、良寛さんが病気になり、容態悪化を知らされた貞心尼が駆けつけたときの喜びの気持ちを歌に詠みました。
「いついつと 待ちにし人は 来たりけり いまは相見て 何か思はむ」 (いつくるか、いつくるか、と待ちに待っていた人がとうとうやってきた。いまこのように逢うことができて、なんの思い残すことがあろうか)というストレートな気持ちの歌です。
74年の生涯を終えるときの辞世の句は、「うらを見せ おもてを見せて、ちるもみじ」。こんなにも戒語を自分に厳しく課し、愛語を使い続けた良寛さんでも、うらをみせ、おもてをみせる、と自分を素直にさらけだすことができるのは本当にすごいことだと思います。
どんなすごい人であっても、結局は裏と表を見せながらヒラヒラと散っていきます。決してカッコいいことばかりじゃありません。人間臭くて、それでいて恬淡として、執着がない。そんな良寛さんの生き方に憧れます。
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