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敬意を持つ

今日のおすすめの一冊は、渡部昇一氏の『渋沢栄一 人生百訓』(致知出版)です。その中から「安易に若者を非難してはいけない」という題でブログを書きました。

本書の中に「敬意を持つ」という心に響く文章がありました。

《人と接する時は心の中に敬意を持たなければならない》(渋沢栄一) 

「敬意敬礼」は渋沢が日常、人と接する時に忘れてはならないと説いていた持論である。これは簡単なようだが、なかなか面倒なものであって、表面だけで取り繕おうとすると、かえって慇懃無礼になってしまうこともある。

したがって、形に表す具体的なものより、心の底に敬意を持つことが重要なのであると渋沢は指摘する。心の中に敬意があれば、たとえ互いの名前を呼び捨てにしたとしても、敬意は伝わっていくものだ、と。 

また、自分より身分が低い者や、年の若い者に対しては敬意敬礼を忘れやすいものだが、これは気をつけなくてはいけない。いかなる人であれ、決して馬鹿にしたりせず、心の底に敬の精神を持って接することが大切であるといっている。

さらにいえば、宴会や遊興の際には、とかく敬を失いやすいが、そういう時こそ間違いが起こりやすい。したがって、宴会や遊興の場であっても、心の中には常に敬の心を持ち続けなければいけないのである、と。 

ここで渋沢が教えているのは、狎(な)れることがあってはいけない、ということであろ う。 「親しき仲にも礼儀あり」という態度が大切なのだというわけである。

◆齋藤孝氏は、『これだけは覚えておきたい心を動かす偉人の言葉 』(セブン&アイ出版)の中で「狎れ」についてこう語っている。

《賢者は狎(な)れてこれを敬い、畏(おそ)れてこれを愛す》(小学/内篇)

 『小学』は、中国の南宋(なんそう)の儒学者である朱子が編(あ)んだ少年のための修身作法書です。 「馴染みの人であっても、敬意を持って礼儀正しく接しなさい。畏れ多く近づきがたい人であっても、親しくなれるように努めなさい」という意味です。 

よく目上の人には礼儀正しく振る舞うのに、年下には偉そうにしたり、呼び捨てにしたりする人がいます。でも、 本当に賢い人は、自分のすることは結局すべて自分に返ってくることがわかっているので、慣れ親しんだ人や年下の人にもつねに礼儀正しく接しています。

そして、逆にみんなから畏れられているような人に対しては、努めて親しくなろうと接しているのです。

年下の人を呼び捨てにしたり、荒っぽい言葉を使っていると、荒っぽい言葉に囲まれることになる。荒っぽい言葉をしゃべる人がまわりに集まるからだ。「類は友を呼ぶ」というが、まさに、その人に「ちょうどいい人」が集まる

礼儀正しい仲間と集いたいなら、誰に対しても敬意を持ち、礼儀正しいことが必要だ。

「狎れることがあってはいけない」という言葉を胸に刻みたい。

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