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後手に回らない

今日のおすすめの一冊は、斎藤一人さんの『斎藤一人 人は考え方が9割!』(PHP研究所)です。その中から「魂のレベルとダイバシティ」という題で書きました。

同書の中に「後手(ごて)に回っているかどうか」という素晴らしく示唆に富んだ一文があったのシェアします。

一人さんは、悪い危機感を持ったことは一度もないけど、いい危機感は常に持っています。この2つの違いはなにかというと、「後手に回っているかどうか」なんだよね。例えば、景気がいいときって、「調子がいいな」「儲かってラッキー」みたいなノリで流れに身を任せるだけの経営者もいると思いますが、それって「いい危機感」が完全に欠如しているよね。
何度も言うけど、経営者の責任はただひとつ。景気がいいときでも悪いときでも、黒字を出しつづけなきゃいけないんだよね。という観点から言うと、景気がいいときには、先々やってくるであろう不景気に備えなきゃいけないんだ。儲かってるからって、経費のムダ遣いなんてしちゃいけない。
ちゃんとお金を貯めておくとか、不景気になったときに会社が持ちこたえらえるように、新商品の研究開発を進めておく。こういう、先を見越した備えを、いい危機感と言います。経営者だけじゃなく、個人でも同じだよ。人はみんな、いつかは年を取って働けなくなる日がくるから、将来のために貯金しておこうというのは正しい危機感なんです。
景気のいいときもあれば、不景気もある。誰だって年を取る。そんなわかりきったことに備えておくのが、いい危機感なの。いっぽう、いい危機感のない会社は備えがないから、いざ不景気がきたときに「どうしよう、どうしよう」って慌てます。差し迫った危機に右往左往するんだけど、備えがないんだから、危機がきてから焦っても対処のしようがありません。こういうのを悪い危機感と言います。
つまり、経営者が差し迫ったことで悩むようになったら、やるべきことをやってなかったということ。悪い危機感しか持ち合わせていなかったという結果だよ。あのね、後手に回ってもいいのは、雇われている立場の人だけなの。経営者がそれをしちゃったら、会社はうまくいきません。
もちろんサラリーマンでも、「自分」や「家族」という会社を経営しているわけだから、その点で言えば、年を取ってから焦るのはおかしいんだよね。悪い危機感しか持っていない人は、年を取ってから苦労することになるの。一人さんが悪い危機感を持ったことがないのは、いつも先に手を打ってきたからだよ。みんなも、いい危機感で先手必勝を忘れないようにね。

かつて、松下幸之助翁が「ダム式経営の話」を講演したとき、一人の聴衆として京セラの稲盛和夫氏がいたそうです。ダム式経営とは、ダムが水をいつも満々とたたえているように、何か緊急な事が起きても余裕をもって経営できるような「たくわえ」が必要、との教えです。

講演の後、聴衆の中の一人が質問した「今の自分には、余分な資金も『たくわえ』もない。どうやってそれをためたらよいか」と。すると、幸之助翁は「『たくわえ』が必要だと思わなあきまへんな」と答えたところ、聴衆からは失笑がおきたといいます。「そんなことは、誰でもわかっているが、その方法がわからないから聞いているのに」、と。

しかし、稲盛氏だけは、「まったくその通り」と、素直に深く感動し、まだ小さかった京セラを高収益の大企業にしました。何千人という聴衆の中でこの教えを実践したのは恐らく稲盛和夫氏ただ一人だったでしょう。

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