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長年慣れ親しんだものの見方や考え方を手放す

今日のおすすめの一冊は、出口治明氏の『カベを壊す思考法』(扶桑社新書368)です。その中から「わからないことを決めるとき」という題でブログを書きました。

本書の中に「同じことをやり続ければ、間違える確率は、確実に高まる」という一節がありました。

「この先も変化がない」と仮定すれば、先例にしたがったり周囲と同じやり方をしたりして知見を高めることは、確かに合理的な判断だといえるでしょう。しかし、実際には「変化がない」時代などあり得ません。新型コロナがその典型です。そして、さらに現代は、起き続けた変化の結果をまとめて引き受けなければならない大変な時代です。
変化はかつてより見えやすくなり、新たな局面が次々と展開しています。何も考えずに昨日と同じことをやっていたら間違える確率が高まる。「何が正しいのか」という問いに対しては、その都度、今までのやり方をリセットして最初から考えるほかないのです。
人間というものは、みなさんが思っているほど賢くはありません。たとえば、先ほど挙げた人気企業ランキングですが、ちょっと歴史をはかのぼってみると1945年は石炭、1950年は繊維、1955年は化学業界の企業が上位に名を連ねていました。いずれても当時の花形産業ですが、今では人気業種とは言い難いでしょう。
でも、よく考えたら、同じ企業や業界がずっと右肩上がりで栄えていくほうがよほど不自然ですから、ピークをつければ下がるのは最初から明らかだったともいえます。現時点の花形産業に就職すれば高値づかみになる可能性がきわめて高い。それなのに、毎年学生が殺到するのはその時点でピークを迎えているような企業ばかり。
要するに、最高学府で勉強しても、10年後、20年後を見通して行動することができない人がほとんどなのです。こうした例は、ほかにもたくさんあります。周りがみなそうしているから何となくそれが正しいと思ってしまう。失敗が顕在化して自分が痛い目をみるまで気がつかない。人間というのはしょせんその程度の賢さしかない生きものなのです。
これまで何かに成功したからといって自分は何事においても正しい判断が下せると思い込むのは大いなる勘違いです。僕はいつも自分にそう言い聞かせています。失敗しないためには、何事もゼロから自分の頭で考えなければなりません。しかし、これは口でいうほど簡単なことではないのです。
長年慣れ親しんだものの見方や考え方を手放すためには、自分の感情を理性でコントロールしなければならないし、それに成功したとしても、今度は自分のなかにあたらな座標軸をつくらなければ次の判断ができなくなってしまいます。

長年習慣となっている、自分の見方や考え方を変えることほど難しいことはありません。「考え方のクセ」ですね。たとえば、いつも物事の悪い面ばかりを見て、いい面は見ないというようなクセ、マイナス思考の人です。あるいは、男はこうすべきだ、女はこうあるべきだ、というような「べき思考」の人です。

出口氏は、それらの見方や考え方を変えるには「タテ・ヨコ」思考がいい、と言っています。「タテ」思考は歴史からみることです。歴史の中から同じような事例はなかったかを調べるのです。すると、今の自分の考えは思い込みにすぎず、昔はもっと自由だったというようなことが分かります。

もう一つは「ヨコ」思考です。これは他の国や地域ではどうなのか、と他の世界では同じような事例はどうなっているかを考えることです。このタテヨコ思考で考えると、今の自分の考えが間違っていた、なんてことがよくあります。

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