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越境学習におけるアウェイでの学び

今日のおすすめの一冊は、石山恒貴&伊達洋駆氏の『越境学習入門』(日本能率協会マネジメントセンター)です。その中から「人は誰もが越境学習者」という題でブログを書きました。

本書の中に「越境学習におけるアウェイでの学び」という興味深い一節がありました。

越境学習には、ホームとアウェイを往還する(行き来する)ことによる学びである、といわれ ても、「具体的にどのような学びが得られるのか、イメージが湧かない」という方もいらっしゃると思います。
越境してアウェイに身を置くことは、個人になにをもたらすのでしょうか。 アウェイの典型的な特徴は、「上下関係のなさx異質性×抽象性」と示すことができます。ア ウェイの場には、直接の上司がいるわけではなく、多少の上下関係はあったとしても上からの指示を待って動くだけ、などということはありません。基本的には主体的に動くことが求められます(上下関係のなさ)。
また、普段なじみのない、異質な人たちとの協働になるため、これまでの社内用語も社内の常 識も全く通じません。うまくコミュニケーションを図りながら、人間関係を築いていく必要があります(異質性)。
さらに、アウェイの場では、そもそもやることが決まっていなかったり、ミッションやゴールが抽象的なものとなっていたりする場合が多く、これらも自分たちで考えなければなりません。
たとえば、社内プロジェクトなどでは、「やることは自由に考えていいよ」などと言われながら、実はプロジェクトの大筋の目的や落としどころはほぼ決まっている、ということがあります。
しかし、アウェイの場では、仕組み化されていない状況で考えていかなければならないことが多いので、大筋の目的も落としどころも本当に決まっておらず、ゼロベースで考えなくてはならないのです(抽象性)。
では、これらの環境条件は、個人にどのような効果をもたらすのでしょうか。 まず、「上下関係のなさ」は、自ら能動的に動き、個人が主体的にリーダーシップを発揮する ことにつながります。
「異質性」は、多様な人たちとのコミュニケーションと、関係構築を図りながら協働的に物事を進める経験につながります。「抽象性」は、試行錯誤や失敗を恐れず、ま ず挑戦してみる姿勢につながります。
再度、社内のプロジェクトとの比較になりますが、「どんどん挑戦して失敗していいよ」と言われながら、実際に失敗すると怒られる、ということはないでしょうか。 しかし、アウェイの場では、ゼロベースから物事をつくっていくので、試行錯誤と失敗が多く なることは当たり前で、前向きな失敗は歓迎されます。
越境を経験した人からは、「失敗はこんなに学びになるんだ」という感想をよく聞きます。

アウェイの場では、会社での肩書や地位が全く通用しない場合が多く、そのことにより、自分の真の実力がわかります。年齢も会社も違い、さまざまなスキルを持った異質な人たちの中で、リーダーシップを発揮することができたら、自分の大きな自信につながります。そして、自分の実力はどれほどのものか、ということもわかります。

アウェイの場での学びは、会社を離れたときに一番役にたちます。ドキドキするような違和感のある異質なアウェイの場に、自ら飛び込んでいける人でありたいと思います。

参考:経済産業省「越境学習によるVUCA時代の企業人材育成」

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