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小さな神たちの祭り

TBCテレビ60周年記念ドラマを見た。想像以上にラストは感動的だったし、設定にあの世が出てきた時点で、私好みのドラマだった。結局提出できなかったものの春に仙台短編文学賞用に書いた作品はあの世の人がテーマだったくらいだし、あの世はわりとテーマにすることが多い。亡くなったらどうなるんだろうとか、あの世は存在するのだろうかとかわりといつも考えているし。自分で考えてもなかなかしっくりしないあの世が、ドラマ内で見事に自然に描かれていて、それが一番心地良かった。
さすが内館牧子さんの脚本だと思った。恋愛要素も入っているから、それがちょっと個人的に見ていて辛かったけれど。いつもの如く羨ましい展開だから。

生き残ってくれてありがとうと亡くなった父がひとり生き残った息子に言うシーンがあった。生き残った人が生をつなぐことができると。つまり生きているから命をつなぐことができるわけで、それはその通りなんだけど、じゃあ生きているけど、命をつなぐことができそうにない私はやっぱり生きている価値ないのかなと思った。

何しろ別れかけてた彼女とすぐによりを戻して結婚式を挙げるシーンでエンディングを迎えたくらいだし、つまり生きている人は誰かと結婚して、できれば子どもをもうけることが命をつなぐ使命を果たすことになると示されている気がした。

私はそういう相手もいないし、たとえ相手が見つかったとしても、不妊症傾向と言われているし、生きている役目はどうやら果たせない人間だ。

価値のない人間の気がした。だから少し前にも書いた通り、私のパートナーは言葉にして、たくさん言葉を残して生きている人間としての役目を果たそうと思う。言葉と結婚するし、それから言葉は自分の子どもでもある。自分の中から生産されるものだから。

かなり論点がズレているのだけれど、泣けたし、感動したし、これは全国放送すべきドラマと思ったけど、恋愛要素の観点だけはどうしても嫉妬してしまう。作り話と分かっていても、妬んでしまう。

まぁ、本当は生をつなぐというニュアンスの言葉は何も子孫のことだけでなく、生きていれば、仕事などで失敗しても何度でもやり直せるよというような、つまり生き直すことができるよという広義で捉えるべき言葉だと解釈すべきだろう。実際主人公はイチゴ農家を目指す決心をしたわけだし。

とにかく死んでからもあんな風にまるでこの世と変わらないように生きることのできる世界があればいいなと理想的に思えるあの世風景を見ることのできたドラマだった。

  #小さな神たちの祭り   #ドラマ   #あの世


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