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ドンバス地方に入って親露派の人たちに話を聞いた

いま、私はハルキウを中心に、ウクライナ東部を撮影している。
つい先日、ドンバス地方であるドネツク州に入り、二日間にわたって撮影とインタビューをしたので、リアルなやりとりをそのまま記したい。

ドネツク州は2014年から新ロシア派住民や武装蜂起したドネツク人民共和国とウクライナ軍によって内戦のような状態が続いてた。
昨年、実施された問題だらけの住民投票の結果、ロシアに一方的に併合され、現在は事実上ロシアがほとんどの地域を実効支配。
プーチン大統領はこの地域をノヴォロシア(新ロシア)と呼んでいる。
私が入った地域は、ドネツク州の西部、リマン、スラビャンスク、クラマトルスク、コンスタンチノフカ。
それらの町はロシア軍からの攻撃はあるものの、一応ウクライナ側が支配している。
どの町もロシア軍に包囲されかかっている激戦地のバフムートに近く、定期的に砲声が届くという距離である(バフムートにも近づいたが、いくつもある検問をクリアできず、引き返した)。

ドネツク州スラビャンスク

私が現地で聞いた限り、使われている言語はほぼすべてロシア語だった。
すべてのインタビューは通訳を介している。
英語が話せる通訳者の男性は「カネさえちゃんと払ってくれれば、すべて相手が言ったとおりに通訳する」ということを何度も言っていたし、少し荒っぽいところがあるものの、性格的にわかりやすい人間で、信用できる。
通訳代は、ガソリン代込みで1日4万円弱だった。

結果的に、インタビューさせてもらった人たちのほとんどが親ロシア派だった(少なくとも私はそう感じた)。
つい先日のことなので慌てて書き起こしている部分もあり、拙い文章と写真になるが、住民たちの意見や言葉を残したい。
ただ、内容がとてもセンシティブなことなので、読んでもらいたい人にだけ読んでもらいたく、有料とさせていただきます。

ドネツク州に入る前日に、通訳の男性であるセルゲイと会い、ミーティングをした。
彼は「まず初めに」と切り出し「誰も本音は明かさない。絶対に。それがドンバスの住民だ。敏感な問題だから、自分がウクライナまたはロシアを支持しているとは決して公言しない」と念を押した。
そして「話す言葉の行間を読め」というようなことも告げられた。

インタビューは一問一答でシンプルに、街中にいる人に私が選んで話しかけるという方法を選んだ。
テレビへのニュース映像の提供があるため、現地の電波状況、取材許可証などを確認し、巡るルート、宿泊する場所などを決めた。
戦争開始一年を前にロシア軍からの一斉侵攻があるかもしれないという情報もあり、滞在期間は二日間と決めた。

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