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『死を数える時計の秒針と染まる空の色を見る』

考えないでいい、考えないでいい、と繰り返す時計の秒針が死を数えているとき、涙を流すようにわたしは意味のないことを考えて、絵画を描きたいと願う。誰にも見せなければ一番美しい絵が描ける。この場所に無いものを追い求めた命がまた一つ溶けて消えた。それでもいい、それでもいい、と続いていく道が、壊れた思考機械を慰めてゆく。息をしなくてもいい、息をしなくてもいい。土に埋めた何かの原石が、きっと心だったのだと思っているから。いつか誰かが掘り起こし、磨いて愛でる。待っていればいい、待っていればいい。何もないまま、染まる空の色を見る。




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