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相手よりフォーマルだと失礼に当たる!?ASEANでの仕事着の選び方


「日本人みたい」な服装

先日久しぶりに対面でお客様との打ち合わせがあったので、

ビジネスシャツ(ノータイ)、スラックス、革靴といった

典型的な”クールビススタイル”で家を出ようとした私。

すると小学生の娘が、「お父さん、日本人みたいだね」と一言。

「そりゃ日本人だからね」と返す父。

最寄り駅までの道すがら、

よく考えると面白いコメントだなと気付く。

確かに普段家で仕事をする時は、Tシャツに短パン。

オフィスの時でも、ポロシャツ×ジーンズで仕事をすることが多い。

ただ娘のコメントは、

「今日はフォーマルだね」ではなく、

「日本人みたいだね」だった。

つまり娘にとってその日の私は、

「日本人男性がよくする服装をしている父」という印象だったのだろう。

似て非なる服装や着こなし

しかし、「んっ、そうか?」と疑問がよぎる。

特にオフィスがあるラッフルズプレイスには、

似たような恰好をしているビジネスパーソンが目に入る。

しかし、よく見ると確かに微妙に違う。

ぱっと見、ビジネスシャツにスラックスでも、

素材やサイズ感が少しカジュアルだったり、

ムキムキ、ピチピチ、第二ボタンまで全開だったり、

裾が9分丈程度でちょっと短かかったり、

足元がスニーカーだったり、

くるぶしが出るような短い靴下をはいていたり。

確かに言われてみると、

文字に書くと一緒でも、

街を歩いている人の服装はよりカジュアルにも見えてくる。

そこでふと考える。

ASEAN、特にシンガポールやよく出張で訪れるマレーシアにおける

正しいビジネスでの服装とはなんだろうか?

基本は相手に合わせる

もちろん相手に合わせるが原則だ。

但し、初対面の時などは相手の服装レベルが分からないこともある。

そういった場合、

今まで目上の方とお仕事をさせて頂く機会が多かった私は、

どちらかというとできるだけ保守的な服装を選ぶケースが多かった。

これは相手よりもフォーマルな分には失礼にならない、

逆に相手よりもカジュアルな服装をしてしまった場合は失礼にあたる、

という考え方を持っていたためだ。

ドレスダウンする勇気

そんな折、このTikTok動画が目に留まった。

これは中国の外務大臣がシンガポールを訪問した際、

シンガポール側の外相がネクタイをしていないのを見て、

すぐさま自らもネクタイを外した(ドレスダウンした)という動画だ。

後方に控えている秘書官もそれを見てすぐに外している。

動画を見ると分かる通り、この行動に対して、「Awesome」と、

ネットでは好意的な声や評価が多いようだ。

これは私が元々持っていた価値観と真逆だった。

報道も集まる大臣級の外交の場で

ドレスアップではなくドレスダウンという選択が取られ、

更に世論がその判断を絶賛していることを踏まえると、

私の元々の考え方、つまりフォーマルな程いいという考え方の

弊害を考えざるを得ない。

思いつくところだと、

相手に壁を感じさせたり、

警戒感や緊張感を与えたり、

関係構築の弊害になるリスクだ。

確かに冷静に考えると、家にいきなり

①スーツ+ネクタイ姿の人が来た時

②Tシャツに短パンの人が来た時

この二つを比べると、圧倒的に①の方が怪しく、警戒感を感じるだろう。

オフィシャルな会食や政府関係者との会合など、

TPOに合わせた装いは間違いなく重要になるが、
(後日共同声明の場では両大臣ともネクタイを締めて登場している)

そういった制約がない中での関係構築の場であれば、

お互いがリラックスできる服装の方が確かに好ましいかもしれない。

日本でこれが受け入れられるかは未知数だが、

少なくともASEANに身を置く限りは、

ドレスアップよりドレスダウンする勇気が必要かもしれない。

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