保育園の閉園問題に思うこと

みなさん、こんにちは。

船井総研の大嶽です。

少し前に以下のニュースがありました。

https://news.yahoo.co.jp/byline/konnoharuki/20201122-00208920/

保育業界最大手のJPホールディングスの子会社である日本保育サービスが、運営する東京認証保育所を5園閉園するということです。

※ちなみにIRによると、2022年度末も1園閉園が予定されています。

しかもこの記事を見ると、経営状態の悪化やコロナ対策によるスペース確保という理由だそう。

しかし、該当園の経営状態は営業利益も出ており、健全だそうで、さらにスペース確保については、この業界の人ならば言うまでもなく、それ自体は閉園の理由にはなり得ません。

以前からJPホールディングスの決算発表、中期経営計画は何度も目にしてますので、方向性は理解しているつもりでしたが、今期第二四半期の最新の新体制における経営戦略をチェックをすると、選択と集中、適正化、効率化、収益化、収益改善というワードが目立つようになったという印象を持たざるを得ません。

私も上場企業に勤めてきましたが、上場企業の立場からすれば、あって然るべき、選択肢の一つとして求められる経営戦略であることは否定しません。

しかし、記事にもあるように、東京都の条項として、

「相当期間の余裕をもって、当該区市町村及び東京都に協議するとともに利用者に十分説明して、理解を得るよう努めること」

との記載から、9月前半での保護者への通知がそれに該当するのか、また、自治体が閉園申請に意見書を書かずに閉園することが出来るのかは確認が必要です。

もしかすると、9月の通知というのは時期的には問題なく、さらに近隣のグループ園への転園等でカバー出来ると東京都が判断したのかもしれません。

つまりは、事業者の経済論理、経済合理性と自治体のガバナンス、東京都認証保育所制度の特性などが重なって起きた出来事だと思います。

保護者や子どもたちのショック、リスク、困惑は言うまでもありません。

東京都ですから、簡単に転園出来ないことは誰もが分かっていることですし、グループ園の空き枠に限りがあることも事前に分かっていたものです。

過去にも何度かこのような閉園に端を発したトラブルがありましたが、その度に企業の実態や事情、思惑にも配慮したうえで、是非検討してほしいと思うのが、

・閉園は前年度の入所申込前までに申告させること

・十分な協議、事業者の引き継ぎを自治体が積極的にリードすること

・その上で自治体が責任を持って保護者の転園手続きを支援すること、入所優先権含めて。

・閉園は如何なる理由でも企業評価を下げる仕組みとし、事業者公募等に反映させること

最低でもこのあたりを進めてほしいと思います。

現在の保育業界の構造から言えば、これは株式会社に限ったことではなく、法人組織であれば、然るべき理由で止むを得ず経営不振に陥るリスクが多かれ少なかれあります。

例えば、安定性の低い事業の運営比率が高まる、少子化で園児が減るなどであれば、リスクは出てくるわけです。

ですから、経営不振やそれに伴う合理化、効率化をベースとした経営戦略に舵を切らざるを得ないこと自体は詰まるところ、仕方のないことだとも思います※もちろん、だからと言って安易に撤退、閉園するような企業姿勢は許されないのが保育事業です。それは当たり前。

しかし、止むを得ずそのような状況になった際に、自治体も含めて、厳格な制度のもと、早期対応、そして確実なフォローをする形に早急に変えなければなりません。

何故ならば、どう考えてもこれからこのようなトラブルは、益々増えるからです。

繰り返しになりますし、当然のことなので、あまり言う気にもなりませんが、誰のことを最優先に想い、行動するのか、それを大前提とした姿勢、行動、仕組みにしてほしいと思います。

そして、これまで業界を牽引してきて、待機児童対策、株式会社の地位を高めてくれたJPホールディングスの中期経営に引き続き期待したいと思います。

ではまた。


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