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中国語の短編を読む会(2024年6月14日)

 毎週金曜日の夜に行っている、中国語の短編を読む会(中国語中上級者向け)のレポートです。
 中国語の短編小説を、中国語を学んでいる日本語話者と日本語を学んでいる中国語話者が共に読み、和訳する過程を通じて、言葉を介した理解と交流の魅力をお伝えします。
   今回は、フミさんが選んだ短編小説。”文身店的轶闻”の3回目です。
  今回の参加者は、Katsさん、Yangさんと私。

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自己无非想扬扬名而已,万一这五个字母真会给自己带来麻烦,那就得不偿失了。宁可不做这单生意,也不冒这个风险!他两眼一转,推托刺字要做皮试,看了皮试报告,明天再决定能不能刺字。他想敷衍过去,留条后路。

得de2不偿失;得るもの(金)が損失を補うことができない。損得が合わない。リスクが報酬を上回る。
两眼一转;目の眼球をまわすところから、考えていることを表す。
推托;押しのける、責任逃れをする。この場合は仕事を引き受けたくない意味をさす。
敷衍 fūyǎn:適当にお茶を濁す,なんとか取り繕ろう.なんとか持ちこたえる。敷;覆う

俺はただ名を揚げたいだけなんだから、万一この5文字が本当に自分に面倒なことをもたらしたら、元も子もない。そんなリスクを負うくらいなら、この仕事をやらないほうがマシだ。彼はちょっと考えを巡らせてから、入れ墨するには試し墨を入れなければいけない、という理由をこしらえた。試し墨の結果を見てから明日入れ墨できるかどうか決めることにした。お茶を濁してこの場をなんとかやり過ごし、逃げ道を作りたかったのだ。
【👆 kats 】

不料,老人敲钉钻脚,摸出三百元钱来:“这算定金,你要出张收据。明天皮试要是没问题,你就得给我刺字,若再耍赖,我这三百因你失信,就要以一赔十,你得还我三千!”

敲钉钻脚;qiāo dīng zuàn jiǎo 釘を打って、釘の頭を木の中に入れる(釘を後で抜くことができなくなる。)ことから、物事を変更不可能な最終的なものにすることの比喩。決めにかかる、既成事実にする。
定金;契約金。総額の一部に充当しないこともあるので、手付金、内金とは訳さず、予約だけのお金と解釈できるように訳した。
耍赖;変な考えをしてうまく逃げる。ずるい感じ。

予想外なことに、老人はこの話を決まった事にしようとしていて、300元をまさぐり出して言った。”これは、契約金だ。あなたに受領書を出してもらわないといけない。もし明日の皮膚テストで問題が無かったら、わしに字を入れてもらわないといけない。もしまた変な言い逃れをしたら、わしのこの三百元はあなたが背信をしたのだから10倍返し、三千元だ!”
【👆 yang】

丁伟只好收了钱,给他做了皮试,还出了收据,上面写明:如果皮试没问题,不给他刺字,愿赔三千。老先生接过收据,拿起雨伞走了,约定明天见。

写明;明ははっきりの意味。はっきり書く。

ディンウェイは仕方なくお金を受け取り、お爺さんに皮膚テストをして、受領書も発行した。その上にはっきりとこう書いた。
もし皮膚テストで問題なく、あなたに字を入れなかったら、三千元を支払います。老人は受領書を受け取り、傘を持って出て行った。明日会うことを約束して。


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