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【エビデンス#4】子どもの行動を変えるテクニック「アメとアメなし」

よく「アメとムチ」を使い分けると言いますね。
子どもたちが適切な行動をとれたとき、たとえばトミカを適切な場所に戻せたとき。「自分でちゃんと片付けられたね、えらいね!」と笑顔でほめます。これがアメです。
「ちゃんと片付けたらお菓子あげるよ」
と本当にアメが登場する場合もあるでしょう。

一方、人形を投げておもちゃ箱に入れるなど、よろしくない行動をとったとき。「なげちゃだめ!もう一回やり直し」と怖い顔で叱ります。これがムチです。本当にムチを打ってはいけません。

一見、子どもたちにとっても、何が良くて、何が良くないかがわかりやすい方法ですが、実は害があることがわかっています。

アメとムチでしつけることの弊害

第一に、そもそもの「片付け」をしない子になる恐れがあります。
ムチを打たれると「間違えた片付け方をしたら怒られる」と考えます。「だったら、片付けをやめよう」と片付けという行為自体をしなくなる傾向があります。ちょっと極端な例ですが。
正しい片付けを強要したがために、片付けをしなくなっては困ります。

第二に、嘘をつく子になる可能性もあります。
「投げるな」と言われると、その瞬間は、投げたら怒られるので投げません。でも、単に強要されているだけなので、明日になったら、また投げるかもしれません。親が見ていないところで投げているかもしれません。
「親の前では投げたら怒られる」とわかっただけなので、本人が「ものを投げてはいけない」と心から思っていないことが原因です。

第三に、自由な発想でチャレンジする精神が奪われます。
ムチを使うと一時的に投げるのをやめるなど、効果があります。すると、よろしくない行為をしたときは、しっかり言うべきだ、という親側の価値観が強化されます。だから、親の「叱る」という行為が増えていきます。
子どもからすると、何をやっても注意されると思うと、新しいことへのチャレンジを極端に恐れるようになります。

最後は、他人にも同じようなことをする子になることです。
教育観は、自分のされた教育に基づいています。「よくないことをしたときは、ムチを打つ」ということを自然に学び取ると、教育する側に立ったときに、学校の後輩や自分の子どもなどにムチを使って教育するようになり、悪循環に陥ります。

アメとアメなしならうまくいく!

では、どうしたらいいかというと・・・
お片づけのとき、

トミカをきちんと片付けたら、ほめる。
絵本も、きちんと片付けたら、ほめる。
積み木も、きちんと片付けたら、ほめる
人形を、投げて片付けたら、何も言わない。

という具合です。
よいときにアメを与え、よくないときは、アメはあげない。これだけです。でも、ものすごく効きます。ムチはなし。

子どもにとっては、アメがなくなったときに「あれ??なんで?」と考えるきっかけを与えることになります。「きちんと」ということは「投げずに」ということを教えずに理解させます。だから、投げずに片付けたときは、「投げずに片付けてくれてありがとう」ってほめる。投げたときはほめない。この繰り返しです。
そのうちに、投げちゃいけないと自分で気づくように導くことができます。すぐに気づかなくても、「投げちゃいけないんだよ」など、ムチっぽいことは言わず、じっと我慢。「自分で気づく」まで粘ります。

すると、前述の、上から押し付けられた「投げない片付け」ではないので、本心から投げずに片付けるのが大切だという考えになっていきます。この変化を見ていると、子どもたちって本当に賢いなって思わされます。

行動分析学を子育てに取り入れる

ポイントは、何かを言ったりやったりするのではなく、「ほめないこと」で気づかせるところ。親が、指摘したくなるのを我慢ができるかが勝負ですよね。そして、よいときに連続してほめておくことが布石にもなります。
「急に何も言われなくなった、なんでだろう?」 と考え出し、一度でわからなくても、同じ行為を何度かして、その度にほめ言葉がなくなったのはなぜか? という問いに自分で答えを出すよう持っていくと、その後良くない行為は減っていくことでしょう。

これは、心理学の一つで「行動分析学」の手法です。カンテラの指導中も、よく使っています。だから、効果があることがはっきりとわかっています。
より詳しく原理を知りたい方は、書籍を読むことをお勧めします。

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