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鹿もしれない詩かも

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詩のようなものかも、令和2年7月23日。
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2021年1月の記事一覧

冬鳥幻想

冬鳥幻想

気づいたとき庭はアトリの群れで一杯だった。落ち着き無く落ち葉をつつき、ほんのわずかな気配にも数十羽が一斉に飛び立つ。しかしすぐまた戻ってくる。前からの住人スズメとカワラヒワは隅に追いやられて。こんなに多くのアトリが、本当は何がしたいのか、何が欲しいのか。集団としての無意識か。集団的欲望に課せられる制約とかあるのか。だが彼らの粗雑な振舞からはよく分からなかった。

メジロは午前中早くにさっと現れた。

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冬の世界

冬の世界

明け方寒さが増す頃に
すり寄って来ない猫を探して 自分から
くっついて寝る そんなふうに
現れないメジロを待っていた三年間だった
ある朝 メジロが
地面に落ちた熟柿を啄んでいた 双眼鏡を構えると
仲間が一瞬よこぎり
どこかへきえていた
その日からふたたび
メジロを呼ぶ果物が 庭に撒かれ
林檎や蜜柑 甘い香りの蜂蜜の皿

娘たちは都会へ帰っていった
新しい価値の混沌とした映画と
自分は 仕事の重圧に

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クサヤ頌

クサヤ頌

帰宅すると頭を麻痺させることが先決で、換気扇は回しっぱなしだ。もちろんその前に、何とかバイオリンの練習を済ませる。朝にエチュードは一回やったので今は最初から曲の練習。

一夜干しのワカサギ。初めて見つけ、楽しみに買ってきて焼いたが、塩辛くてとても食べられなかった。ワカサギが知らぬ間にこんなにも塩っ辛いとは。ワカサギとは淡水魚だったのではないか。

ため息。今日も大勢の意見の違う人と会った。地球と火

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