これは「戦争」なのか・・・

エンデミック (endemic)
＿アウトブレイク(outbreak)
＿＿エピデミック(epidemic)
＿＿＿パンデミック(pandemic)

時は西暦2020年春、新型コロナウィルス禍は誰もが知るようにパンデミックになっている。この先、エンデミックとなるのかほぼ撲滅できるのか、まだ分からない。

ここのところ、この災いを「戦争」に例えて「これは 自然 v.s. 人類 の戦争です。皆で力を合わせて勝利しよう！」というような鬨の声をよく見かける。"Rally Effect"を狙って嬉々としている輩も目にする。

こういうのに出くわすと、敵味方が互いの大義を掲げて行う実際の「戦争」にも簡単に与するのだろうなと、悲しくなってしまう。

いや、むしろ信念を持って善や大義、あるいは正義に心酔しそうな人々/コミュニティが量的に多いことの方が新型コロナウィルス禍よりも、恐ろしい。

キャッチーなバズワード作りが大好きそうな学者が産み出した「正義中毒」という言葉が一部で流行っている。我が意を得たりと飛びつく分別ある知識人の多さでさえも、不安を誘う。

日本神話に由来する「八紘一宇」という言葉がある。日本という島嶼国において歴史上、時の為政者もこうした大義を掲げていたのかもしれない。ほんの数世代前には戦争のスローガンとして用いられ多くの死者を出したのを知っている人もまだ多いだろう。

イマココで多くの死者を産み出しているこのウィルスは、ほぼ無生物であり持ち前の無邪気さで環境の変化に呼応し自然の理に突き動かされて変異している。

ヒトはこの状況に対応すべく今までに勝ち取った叡知、ー そこには社会の仕組みも含まれるのだが ー を注ぎ込んでいる。

その(途中)結果が、この禍々しき事態になっているのではないか。

科学を信奉する独裁者の方がまだしもマシだったのかもと思ってしまうほどだが、個々の国や政の話しをしている暇はない。

かつて「エイリアン」という映画があった。

そこでは、エイリアンと呼ばれ醜悪な姿として描かれているあの有機体(生物?)とリプリー(Ellen Ripley)が戦い、エイリアンを利用しようとするウェイランド・ユタニ社も登場して物語が進む。

宿主に出逢うと「COVID-19」と名付けられた災いを撒き散らすこのウィルスSARS-CoV-2 (Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2)は、あのエイリアンよりももっと純粋な存在であり、ヒトは種の存亡をかけて戦うしかない。ウェイランド・ユタニ社がどんな大義を掲げようとも純粋に戦うしかないと思う。

(私の場合は、ジャータカに出てくる兎みたいな行いは金輪際、あり得ない)

しかし、現実の戦争や争い事はヒトとヒトとがぶつかり暴力が時によっては賛美される現象だ。

ここは決して混同してはならないし、だからこそ言葉遣いの端々に見え隠れする道を踏み外しそうな予兆に敏感でありたい。

仏領時代のアルジェリアやWW Ⅱ のナチスドイツ占領下のパリなどを生きたアルベール・カミュ(Albert Camus)は1957年にノーベル文学賞を受賞してから3年と経たない1960年1月4日、46歳のときに不条理にも交通事故で亡くなってしまう。

プロヴァンス地方の自宅からパリに向かう途中、助手席にいた彼はシートベルトの着用義務もない時代でもあり、即死だったらしい。

もし彼が健在ならば優に百歳を越えているが、この世界を見て何を語るだろう？

彼の重層的とも言える小説「ペスト」(La Peste)の二人の登場人物、医師にして記録者のベルナール・リウー(Bernard Rieux)とエトランゼ(異邦人)の記者ジャン・タルー(Jean Tarrou)の対話や交流を味わって考えるべき時なのだろう。

これを機に、オフィスでも農林水産業や鉱工業の現場でも、あるいはエッセンシャルワーカーの人々が日々働く場面においてもテレワークやアバターやロボットが一般化するだろうが、くれぐれもアルコールやスイーツや不道徳なイデオロギーの摂り過ぎで心身を壊さないように願う。

いつまでも、健やかで！

▼アウトブレイク/エピデミック/パンデミックの図説
https://www.afpbb.com/articles/-/3270938?act=all
▼エンデミック
https://www.weblio.jp/content/%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF
▼・・・デミックという語根-接尾辞 "-dem-ic"の語根はギリシャ語"demos"(人々)由来)
http://gogengo.me/roots/373

▼「善」や「正義」について学ぼう
https://liberal-arts-guide.com/justice/
▼魔女狩り
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E9%AD%94%E5%A5%B3%E7%8B%A9%E3%82%8A
▼大量虐殺
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E9%87%8F%E8%99%90%E6%AE%BA
▼ホロコースト
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%AD%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%88

▼八紘一宇
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AB%E7%B4%98%E4%B8%80%E5%AE%87

▼エイリアン(1979)
https://ciatr.jp/topics/305103
▼H.R.Giger(エイリアンのデザイナー)について
https://gigazine.net/news/20160916-alien-h-r-giger/
▼「エイリアン」の世界(笑)
https://www.alienuniverse.com/
▼ウェイラン・ユタニの前身の企業サイト(笑)
https://video.foxjapan.com/release/prometheus/timeline/

▼ジャータカ(闍陀迦/本生譚)の兎：月の兎の由来
https://j-theravada.net/jataka/jataka001/

▼「ペスト」(新潮社)
https://www.shinchosha.co.jp/book/211403/
▼「ペスト」(創元社 1950)：デジタル閲覧不可
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2132375

▼イマココのモニタリング中
https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=2901447723283120&id=100002537611882

以上