デモをレーベルに送るまでの道のり~Part.1~
最初にこの記事の対象はクラブミュージックを作曲、制作しているProducerとなっています。
ーー デモ(DEMO)曲。そこには、Producerの様々な想いや願いが込められていて、彼らから我々へのメッセージがこれでもかというほど詰め込まれている。
そんなデモが行きつく先は、大きく分けて2つに分かれるだろう。1つは、保存しておくだけであったり各種非公開のケース。没となりサクッとゴミ箱行きになるのもこれに該当する。
もう1つが、どこからかリリースしたり、動画サイトなどにアップロード。つまり、世間に"アウトプット"していくやり方。
しかし、自主、商業問わずどこからか楽曲をリリースするという行為は、ハードルが高いと思われがちで避けている人も多いのではないだろうか。
このハードル面でひと際顕著なのが、商業レーベルだろう。
特に、クラブミュージックは活動拠点を海外に置いているレーベルが大多数で、その結果HPから何やらまで英語で記されているケースが大半だ。
近年では、幼少期からの英語教育や、楽天のように社内での使用言語は全て英語で統一するなど英語話者も増えてきている。しかし、日本の公用語は依然として日本語であり、英語を理解できない人がいたとしても十分あり得る ことだ。そのため、例えばお気に入りの海外レーベルのHPを開いたとしても、初見だと内容を理解することが難しいケースも多々ある。
いやはや、スタートラインにさえ立っていないそんな状況で一体どうやってデモを送れというのだろうか。
しかも、最悪なことに疑問はまだある。例えば、そもそもレーベルはどこからデモを募集しているの?とか、レーベルってどうやって見つけるの?あるいは、仮に見つけたとしてなんて送ればいいの?などなど、汲めども尽きぬあらゆるクエスチョンマークが浮かぶ。
だが、安心してほしい。これを読めば大丈夫...かどうかは分からないが、主に初心者が躓きやすい点を中心にこれらを徹底的に解説していく。
なお、筆者は6年程かけて現存はもちろんのこと、今は無きレーベルを含めあらゆるTranceを扱っているいわゆる海外レーベルにデモを送ってきた。
やがて付いた(つけた)あだ名は、"デモ爆撃機"、"日本一お祈りメールを貰った男"など多数。(全て自称)ぜひ、大船(泥船)に乗った気持ちで最後まで乗船して欲しい。
てなわけで早速進めていこうーー
STEP.1レーベルを探そう
どれだけ素晴らしいデモ曲をレーベルからリリースしようとしても、そもそもレーベルを知らなければ話しが始まらない。
しかし、"知る"ためには"探す"必要がある。そして、問題なのは一体どこからレーベルを探すのか?という点だ。
まず、楽曲と同じようにレーベルは多数存在しており、販売しているサイトも沢山ある。サイトによって扱っている楽曲の数は違うものの、近年ではその差はなくなってきているため、探す上での”量”という点ではそこまで気にする必要はない。
それよりも、サイトのUIに注目したいところだ。何故ならば、レーベルを探すということは毎日膨大な数がリリースされる楽曲をサーチするということに繋がるからである。
そうなってくると、直感的なUI。具体的には、レーベルやトラック、アーティスト。それぞれの情報へシームレスに繋がるレイアウトがベストとなる。となると、これら全ての条件を満たしているのはやはりクラブミュージックに特化したBEATPORTというのが筆者が出した答えだった。
このBEATPORTだが、2020年現在、レーベルを探す上でこれを超えるUIは個人的に現状存在し得ないと言っていいレベルで信頼できる。それは、筆者がWW2のB-52よろしくあらゆるレーベルに向かってデモを”絨毯爆撃”していた時代から変わらない。
BEATPORTにアクセス後、ジャンルを選択。その後、赤枠で囲んだ"TRACKS"もしくは"RELEASE"をクリック。
トラック一覧が表示されたら赤枠の"LABELS"をチェックしよう。ここに記載されているのが、今回のお目当てであるその曲をリリースしたレーベルの名前である。
STEP.2レーベルを知る
ビトポでお目当ての爆撃対象...じゃなくてデモを送りたいレーベルを見つけたら、早速その名前でググるところから次のステップは始まる。
この辺りからかなりディープな話しになってくるが非常に重要なのでしっかり覚えておこう。
ググり方だが"レーベル名 〇〇"などといったやり方がベスト。語尾につけるワードは、"Twitter"、"Facebook"、"Soundcloud"そして"レーベル名"のみの4パターンを軸に展開していく。ここにInstagramを入れてもいいが、同じSNSなら今も昔も海外レーベルはFacebook...通称、顔本を軸にしている。
さて、これによりよっぽどありふれたレーベル名でない限りは存在を見つけられるし、さらには様々なヒストリーや実績。活動内容も入手できる。
しかし、この作業における最大の目的はこれではない。遥かに重要なとある情報が転がっていることに気付くはずだ。
それは、対象となったレーベルが"生きているか否か"というデータ。特に上記4つのうち、最低2つはヒットし尚且つ楽曲や近況がそこで”投稿”されているレーベルを選ぼう。
なお、4つ全部ヒット。もしくは1つも該当しない...いわゆるほとんどプライベートな個人レーベルもあるが、そういったところは閉鎖的かつ若干特殊なのでここでは割愛。まあ基本的に送らないでスルーした方が良い。
しかし、門出が開かれている通常のレーベルでこれらの判断材料に該当していないところは、ひたすら"実態がない"ケースが大半だ。そして、バックグラウンドが謎な"怪しい"レーベルは、文字通りあなたの楽曲をリリースして終わりなわけだが、それの何が問題なのだろうか?
ーー思い出して欲しい。そもそも何故、私たちは自身のデモをアウトプットすることにしたのだろう。様々な人たちに自分の想いをサウンドに変換し伝えるためではないのか。
しかし、これでは誰も居ないし、誰も見ない。当然、聴きもしなければ、その存在を知られることもないだろう。
見方を借りれば、永遠に試合開始のゴングが鳴らないなか、冥闇で一人シャドーボクシングをしているだけの存在(楽曲)で終わってしまう。
抽象的な言葉でアレだが、”まともな”レーベルは多くのDJやProducer。ラジオ番組にリリースした(する)楽曲をプロモとして送付している。その後、それぞれのGIGやセットに組み込まれた楽曲は世界に発信されていく。
反対に、あなたが"死んだ"レーベルに渾身のデモを100曲送っても時間と曲の無駄になる。つまり、デモを送る場合は対象の実態を良く調べてから送るべし。間違っても"無人島"に爆撃してはいけないというのが今日のキーワード。
次回はレーベルにデモを送る方法と、送り方を紹介していこうと思う。
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