映画感想 余命10年

 私は映画鑑賞が趣味の一つで、様々な作品をこれまで見てきたが、感想をどこかに書き残すというのはしたことがなかった。しかし人は忘れゆく生き物であり、せっかくの自分のその時の考えを残さないのは勿体無いと思い、このnoteに感想を書いてみようと思い立った。 
 
 初めての感想ということもあって、思い入れのある作品がいいのかなと思いつつも、それほど長く書くのも、また感想のために見返すのも面倒だ。そこで1番最近見た「余命10年」という映画の感想を書くことにする。

概要 

 この映画の原作は、小坂流加の小説「余命10年」である。この物語の主人公である小松菜奈演じる高林まつりは、肺に難病を患っており、長くても余命が10年しか無い。この残された時間の中で主人公のまつりは一体どのような人生を歩むのか、というのがこの映画の見どころになってくる。

感想(ネタバレ含む

 まず、この映画の見どころは先にも書いた通り、まつりが残された余命でどんなことを思い、どんな体験をするかというところだろう。この部分に関して言えば、原作者の小坂流加自身が難病で早くに亡くなっているということもあり、かなりリアルな描写になっていると感じた。
 まつりの家族が新しい医療を受けてみないかとまつりに提案し、それに対してまつりが声を荒げるシーンなんかは特に心に残っている。難病と分かっていても、家族はまつりが生きる可能性が1%でもあるのならそれに賭けたい。まつりもその家族の想いは分かりつつも、自分の病気がどうにもならない事は自分が1番分かっており、半分諦めに近い感情を抱いている。そういうものだろう。「もしかしたら、」という希望を抱き、それを失くすより、初めから諦めていた方が楽なものである。
 ところが、その感情は坂口健太郎演じる真部和人との出会いによって変化していく。和人との出会いは中学校の同窓会である。最初は気にも止めていない様子だったが、和人が自殺未遂をし、
そのお見舞いに呼ばれところから二人の関係は始まる。
 この物語の二つ目の見どころと言えるのが、和人の成長である。まつりと出会った頃の和人は、自分の親の敷いたレールに乗るのが嫌で上京したはいいものの、何も上手くいかずに自暴自棄になっていたどこか頼りない青年だった。しかし、まつりの発言に心を動かされた和人は、まつりに好意を抱き、そして自分ができる事から始める一歩を踏み出すのだ。

最後に

 ここまであらすじを踏まえ感想を書いたが、映画の出来としてはどうだっただろうか。
 主演の役者さん達の演技は素晴らしいと感じた。特に、松重さんの、不器用で病気の娘との距離感が分からないが確かな愛情を持っているというリアルな父親の演技は目を見張るものがあった。
 ストーリーは確かに、どこかで見たことがあるようなベタな展開が多くあり、特に驚くような意外な展開はない。
 そして、映像描写は、ベタに綺麗な桜などを通して、まつりが過ごした季節感を感じる事ができるようになっている。
 しかし、これらが悪いとは全く思わない。これらの特に変哲もないストーリーと言うのが人のリアルであり、我々見ている側の、より共感を得る事ができるだろう。
 

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