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ふくらみのある音

数年前に、あるピアニストの演奏に衝撃を受けました。
それ以来、その音をずっと追いかけています。

子供時代の習い事と言えば「ピアノ」でした。
わたしも、ご多分に漏れず、幼稚園の年長から少し長い間、ピアノを習っていました。
でも、実家からピアノを運んでくるのは難しい。
電子ピアノを購入して、練習を始めたのが2015年の夏でした。憧れが人を動かすのですね。
あれから7年の歳月が過ぎました。

そのピアニストの楽譜を2冊持っています。
わたしの力では到底弾くことが叶わない、超絶に難しい曲が並ぶ中で、どうにか弾けそうな楽曲を選び、練習をスタートしました。
もう1年以上、同じ曲を練習しています。なかなかミスをせずに弾くことができません。
ようやく形になってきた頃合いで、スマートフォンで録音をしてみました。

録音を聴くと、生のピアノと違って、電子ピアノはカタカタカタ…と鍵盤を叩く音が聞こえます。
そのカタカタ音を聴くと、我ながら涙ぐましい気持ちになります。
一生懸命さは伝わる。
ああ、演奏にも性格が出るんだな~と実感します。
でも、ピアニストの演奏と、絶対的に違うのです。それは何か?

決定的に違うのは、音の「ふくらみ」です。
音階は同じ音なのに、質感が全く違います。
言い換えると音の豊かさ、ふくよかさ、余裕、余韻、とも言えるかも知れません。
それらを音に湛えることができるか?
鍵盤を叩くことは、誰でもできます。
でも、私が出している音は、機械的・直線的で、ふくらみがない。
生のピアノではなく、電子ピアノだから、というのはただの言い訳でしょうね。

声にも同じことが言えます。
声のレッスンで繰り返しお伝えしていることですが、音の空洞感が、人を安心させる音色となります。
ふっくらと包み込むような空洞感が出せるかどうか。

今日も、空洞感ある音色を目指して、自己研鑚を続けています。

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