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スウェーデンと集団免疫

今朝のswelogの記事を転載したものです。

スウェーデンはコロナ危機にどう対応してきたかを4月12日に一度まとめた時に「スウェーデンの公衆衛生庁は”集団免疫を獲得して新型コロナウイルスに対抗する”という考え方を採用していない」と書いたが、自分でもなんだかうまく説明できていないような気がしていた。

公衆衛生庁のアンデシュ・デグネルが、昨日のインタビューでそのあたりをうまく答えてくれていたので、紹介します。

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ストックホルム大学の疫学数理の教授トム・ブリットンのチームからの最新の発表によると、新型コロナウイルスが集団免疫を獲得するには、これまで考えられていた集団の6割への感染を待たずとも40〜45%が感染すればよいという可能性があるらしい。

この新しい研究はまだ正確性が担保されたのものではなく仮稿の段階だが、世界を代表する疫学研究者とみなされているハーバード大学のMarc Lipsitchもブリットンたちの研究を重要なものだとツイートしている(ただし、多くの場所の現状とは大きな隔たりがあり、この考え方がすぐに適応できるもではないので喜べないとも)。

そしてストックホルムでは6月にはその45%程度の感染レベルに達する可能性がある。

ただし、このように集団が免疫を獲得した状態になっても、感染は以前より低いレベルで広がり続け、感染拡大がそこでピタッととまるわけではない。

「(集団免疫を獲得しても)感染のスピードははっきりと低くなるが、まだまだ拡大は続く。危機的状況がそこで終わるわけではない」とテグネルは話している。

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そして、世界から隔絶された孤島や地の果てならいざしらず、ストックホルムで集団免疫が獲得されてもストックホルムだけ孤立した状態を保てるわけでもない。国内の他の地方や、さらにはこの先全世界の規模で集団免疫が獲得されるかもしくはワクチンができるまで、私たちは感染状況に注意して暮らしていかなければならない。グローバル化された現代では「集団」を「全世界」と捉えておいた方がいいのかもしれない。

ともかく、この意味で「スウェーデンの公衆衛生庁は”集団免疫を獲得して新型コロナウイルスに対抗する”という考え方を採用していない」のだ。

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さて、スウェーデンでこの議論に皆の高い関心が集まるのは、この国ではコロナ危機の中でも今「今年の夏休み」のことを考えている人がとても多いからだ。

「6月。集団免疫獲得」と聞けば、国外への旅行は無理としても、田舎のサマーハウスには行ってももいいのか? とか、北部山岳地帯でのトレッキングやキャンプは? など、みんな毎年6月下旬の夏至祭以降に本格化する夏休みの予定をたてたい。

「危機に休暇ですか?」と日本人の私は一言つっこみを入れたいところだが、スウェーデン人からは「危機だからこそ休暇だ」とすぐ返事が返ってきそうだ(そしてそれは正しいと思う)。

ともかく、この件に関しては公衆衛生庁も重要視していて(なにしろ国民の精神面の健康がかかっているのですから)、5月末には夏休みと旅行などの移動に関する一定の見解を発表すると話している。

夏はどんな形でやってくるのだろう?

テグネル談「集団免疫を獲得しても、危機的状況は続く」

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