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歯科医師会々員であることは良い歯医者の条件なのか?

弁護士会所属イコール、良心的な弁護士?

ここ数年、テレビやラジオを通じて、過払い金という言葉を耳にしない日はありません。遡ること約5年、当時、テレビに頻出していたタレント弁護士のI氏が、グレーゾーン金利で儲けすぎた消費者金融へ乗り込んで、半ば恫喝気味にお金を取り返す姿を、まるで正義の味方であるかのように見ていたのだけれど、あの行動は純粋にカネ儲けだったんだなということに今さらながらに気づきました。でなければ今、「過払い金のご相談は○○法律事務所へ!」なんてセールストークがわたしの耳を弄すことはないはずですよね。まさに過払い金バブル。それに火を着けた彼のタレント弁護士は、数カ月のあいだテレビでド派手な宣伝をぶっただけで、儲けるだけ儲けたら、ものの見事に我々の前から姿を消してしまいました。まったく、お利口さんだと思います。
過払い金バブルは既にはじけたか、そうでなくても末期なのか、ここ最近の宣伝は一段と耳障りになってきました。どこのコマーシャルにも共通しているのが、東京都弁護士会所属、と付け加えるのを忘れないということ。まるで、ウチは胡散臭くないですよ~、人助けなんですよ~、と言っているようにしか聞こえない。そもそも弁護士として活動するには、地区の弁護士会に入らざるをえなく、弁護士の良否には関係ないのだけれど。

大衆にとっての歯科医師会のイメージは悪の組織?

どうやら、東京の弁護士会に所属しているというだけで、世間様には一定のお墨付きを与えるものらしいです。なのに歯科医師会に所属している、と言っても、「へー、それがどうしたの?」とか、最悪、「どうせ政治家に賄賂でも贈ってんでしょ?」みたいに思われているんじゃないのかな。
十年ほど前、歯科医師会の外郭団体が、自民党のとある派閥へのヤミ献金で逮捕者を出し、大きくイメージダウンしたのだけれど、それ以外にも何かと言われがちな組織であることには間違いないです。そのせいかどうかはわからないけれど、若い先生を中心に歯科医師会離れが進んでおりまして、会の組織率は日本全国だと六割くらい、東京都にいたっては四割を切っている。つまり半分近い先生が、歯科医師会とは無縁なわけなんです。
前に書いたように、弁護士会所属は一種の“箔”なわけだけど、こと歯科医師会については“無意味”か“ネガ”になっちゃうかもしれないのです。だけどみなさん、わたしは歯科医師会に所属している先生を選んだ方が、良医に行き当たる確率が高いと言っておきます。会に入ると公益事業……学校健診や地区健康センターでの健診、休日センターでの当番に半ば強制的に参画させられます。他にも介護保険のグレードを決定する審査員、身元不明遺体の確認なんかも。日航機墜落事故や、東日本大震災では、現地の歯科医師会員がご遺体の身元確認に協力しました。つまり自分の診療には直に結びつかない仕事もすることになるんですが、そんなの嫌だから、会に入らないって先生も結構な数、いらっしゃるはずです。気持ちはわかります。だって自分の診療室で患者診ていたほうが、ずっと楽だし、ずっと儲かるんだもの。
診療の傍ら一定の社会貢献もするか、それとも純粋に事業を追い求めるのか……。どちらが正しいとは誰も断じられないのでしょうが、わたくしの知る限りでは、前者の方に良医が多くいらっしゃる気がいたします。でもね、どんな組織でもそうなんでしょうけど、会に入っている先生のなかにだって、とんでもない奴はおりますよ。だから歯科医師会々員であることは必要条件なのであり、十分条件ではない。そこんとこをお間違えなく。それでもあえて会員を選んだほうが、良医に行き当たる確率が高いはずです。だって“思いやりの気持ち”がなければ、あのような公益事業はやってられませんから!(心の叫び)
最後にひとつ。ヤミ献金をしたのは「歯科医師連盟」という外郭団体で、その会員イコール、歯科医師会々員ではありません。だけど悲しいかな、大多数の国民はすべての歯医者が結託してヤミ献金したと思ってますよね。実際は政治連盟の組織率は歯医者の半分にも満たないわけでして、先の不祥事がきっかけで、歯科医師連盟はグッと会員数を減じました。早い話が、歯科医師会に所属している先生は、意外とマトモでコンプライアンスを重視する人が多いってことをご記憶されていてください。
※かかりつけの先生が歯科医師会に所属しているかどうかは、地区の歯科医師会ホームページをごらんください。



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