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小説「博物少女 キャラクターストーリー#1」後編

 ※このキャラストーリーは本編「博物少女 ヒロメリエ!」にまだ出てきていないキャラクターや設定などが登場します。ご了承ください。 ※このキャラストーリーは「博物少女 ヒロメリエ!」と若干時間軸が前後していたり、微妙にパラレルワールドだったりします。 (TVアニメのドラゴンボールと映画のドラゴンボールくらいの違いです) --------------------------------     シャコ「じゃ~ん、シャケたっぷりのクリームシチューだよ~!」   ミカ「おぉ……これ

小説「博物少女 キャラクターストーリー#1」前編

※このキャラストーリーは本編「博物少女 ヒロメリエ!」にまだ出てきていないキャラクターや設定などが登場します。ご了承ください。 ※このキャラストーリーは「博物少女 ヒロメリエ!」と若干時間軸が前後していたり、微妙にパラレルワールドだったりします。 (TVアニメのドラゴンボールと映画のドラゴンボールくらいの違いです) --------------------------------      【ピンポーン(チャイム音)】  シャコ「はーい」  【ガチャッ(ドア音)】

小説【博物少女 ヒロメリエ!】#1-14

 第1話 SCENE 4-⑥ --------------------------------        すずりの見事な励ましに、私は素直に感心してしまった。  「すごいですね……、私がすずりさんくらいの年齢のころは   万葉集なんか教科書でしか知らなかったのに」  「え? あの……わたくし、一応年齢が───」  「すずりさん、こんなこと聞いてもわかりきってると思いますが……   私なんかが博物館の館長に向いていると思いますか?」   しばらくの静寂ののち、すずりは口

小説【博物少女 ヒロメリエ!】#1-13

 第1話 SCENE 4-⑤ --------------------------------     「……その花は?」 「カキツバタと言います。わたくし、このお花が大好きなんです」  そう言うすずりの表情はとても柔らかかった。  疲弊と苛立ちで眉間にシワの寄りまくってる私の顔とは  対極にあったもので間違いない。     すずりは静かに目を閉じ、ゆっくりと息を整えた。        すみのゑの あささわをのの かきつはた ころもにすりつけ きむひしらずも  (住吉の 浅

小説【博物少女 ヒロメリエ!】#1-12

第1話 SCENE 4-④ --------------------------------  「それじゃあボクは失礼するわ。すずりちゃん、あとはよろしくね」 「え? あ、はい……」  突然立ち去ろうとするXだが、当然私は納得がいかない。 「待ってください! 説明がまだ───」  Xに詰め寄ろうとしたが、体が動かない。  ここに来たときと一緒だ。  この私以外の意思に体が支配されているような感覚……。 「忘れているのなら尚のこと、この場所で思い出して頂戴。  もう時

小説【博物少女 ヒロメリエ!】#1-11

  第1話 SCENE 4-③ --------------------------------  どうして?    どうして“それ”を知っている?    Xの一言に私は体温が急に冷えたような感覚を憶えた。  Xのいう通りだった。  私は今日、会社を辞めてきた。  しかし。  私が会社を辞めたのは、当然社内の一部の人間しか知らないはずなのに。   「勤務先の人事の担当者が情報提供してくれた、ワケでは決してないわ。  詳しくは言えないけれど、これはボクたち独自の情報網から」

小説【博物少女 ヒロメリエ!】#1-10

第1話 SCENE 4-② -------------------------------- 「そこで! キミにはそう!『夜の博物館長』という  特殊任務に就いてもらい原因の究明にあたってもらいたいのよ!!」  うるさいし、怪しい。あと響きがちょっと卑猥。 「……以上がキミをここに連れてきた理由よ」  フードの奥の表情はうかがい知れないが、Xは明らかに満足げだった。 「頑張ってね、館長様? フフフ……」 「……おこと……お断りします」  ここに連れて来られた時のように

小説【博物少女 ヒロメリエ!】#1-09

第1話 SCENE 4-① --------------------------------   「まずは──そうね、  この博物館は日本で最も古く、都内でも最大級の国立博物館で、  収蔵数は一一万点以上、常時四〇〇〇点展示されているらしいわ。  とても一日じゃ回りきれない広さね。  そしていまキミがいるこの場所はエントランスロビー。  来館者が歴史の旅に出かけるための搭乗ゲート、と言ったところかしら。  あら、ふふふ……いまボク上手いこと言ったわね」  ちょっと待て。

小説【博物少女 ヒロメリエ!】#1-08

第1話 SCENE 3-③ -------------------------------- *+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*  春の匂いにほだされて、小鳥のさえずりが軽やかに耳に響いてくる今日この頃、ますますご清栄の事と存じます。   早速ではございますが、本日付けであなた様は当博物館の館長に任命されました。  おめでとうございます。スタッ

小説【博物少女 ヒロメリエ!】#1-07

第1話 SCENE 3-② --------------------------------  すずりは私に一礼し、カランコロンと厚底の下駄を鳴らしながら  階段を上がっていった。踊り場で二人が会話を始める。 「………はい。……はい。フフッ」  他愛のない雑談をしているのか、すずりの表情はとても柔らかい。  しかし聞こえてくるのはすずりの声ばかりで  Xの声は全く聞き取ることができなかった。 「……はい、わたくしをすずりと呼んでくださいました。フフフ……」  ……や

小説【博物少女 ヒロメリエ!】#1-06

第1話 SCENE 3-① --------------------------------  「久しぶりね? 時間にしたら一時間も経ってないけれど。」   先ほど道端で私の帰宅を妨げた黒コートの人物が二階部分の   階段の手すりに軽く手を掛け、こちらに声をかけた。  「それに、ここにくる前にもちゃんと伝えた気がするのだけど」  「“博物館の館長になった!”………とね」」   再び大声を出され、耳がキーンとなった。   しかもここは大理石で囲われた広く閉鎖的な空間。

小説【博物少女 ヒロメリエ!】#1-05

第1話 SCENE 2-③  --------------------------------     「お目覚めになられてほっといたしました。どうぞ」   少女は私にペットボトルのお茶を渡してくれた。   受け取りはしたが……とても飲む気にはなれない。   彼女の非現実的な容貌で忘れていたが、そもそも私は   謎の全身黒尽くめの人物に拉致られるという、   より非現実的な事件に遭いここにいるのだった。       (まさかこの少女が…?)と 一瞬思案したが、   まだ同一

小説【博物少女 ヒロメリエ!】#1-04

第1話 SCENE 2-② --------------------------------  少女は振袖を着ていたのである。 しかも子供が着るには若干不釣り合いな真っ黒な振袖だ。 厳密にいえば生地や帯部分にところどころ金色や銀色の模様が 施されてるが、それでも圧倒的に黒い部分が衣服全体の面積を占めている。   少女の金色の髪の毛と白く透明感のある肌が 漆黒の振袖で一層際立って見えた。    カラン コロン……   小気味よい下駄の音が大理石に反響する。 その長い髪の毛を

小説【博物少女 ヒロメリエ!】#1-03

 第1話 SCENE 2-① --------------------------------    気がつくとそこは、どこかの建物のロビーのようだった。   天井の高い開放的な空間の脇に置かれたベンチに私は寝かされていた。     ゆっくり体を起こしたところ、幸い体に痛みなどはなかった。   自分の身に何が起きたのか理解が追いつかないまま、ひとまず   周囲を見渡してみたものの、目に入ってくる景色に   私はまったく見覚えがない。   おそらく、ここはどこかのエントラ