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遠吠え(2019.9.7)

花束をたてがみにして
声を限りに吠える
その先に月がいるのは偶然だ
てらてら光る黒いビニール
発情した猫に擦り寄られ
痛む喉をいっそ掻き切る
汗に塗れた髪をふと思い出す
チルド室の不凍液は
わたしの喉を通り
傷口から滲み出した
それを合図に
花束を引き剥がす
枯れたたてがみを捨てて
黒いビニールの軽やかな音に
耳を貸そうとしている
もう吠えるための声も出ないのだ
月がいるのはほんの偶然

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