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海(2020.1.6)

小田急線の高架から
見えるはずのない海を見た

うち棄てられた廃屋に
居るはずのない人を見た

その手は温かかった
触れられるはずもないのに

くっきりと声は話した
誰も知りえない物語を

しぶく波に紛れて這いのぼり
わたしの指を洗う誰かの指

ふくらはぎを砂が叩く
鼻孔に立ちのぼる夏
あの雲はどこから

指のあいだの砂が
見えるはずのない海を
踏みしめている

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