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【税務】後出しジャンケンたる簿外経費

 ある年の確定申告を行い、申告のための決算書類を作成する前提として元帳及び仕訳帳を記帳してきたとします。何らかのソフトで入力してきたということでも良いです。

 税務署の税務調査により、経費として認められない家事関連費を指摘されたとします。

 家事関連費については以前に投稿しました。

 そうしたところ、既に行った申告の際に計上していなかった経費があると述べ、現金で手渡しした旨の領収書を提出するとします。

 このように、税務調査において指摘された後になってから帳簿に計上していない簿外の経費を主張をするということがあったようで、これにより税務署が多大な労力を費やしたということが問題となりました。

 領収書の作成名義は海外居住者だったとか、国内の居住者だったものも居住の実態が確認できなかったとかという事情があるようです。

 こう言ったことに対する対策として、原則としてこうして主張された経費は算入しないとする法改正をしようと、政府が昨年末に閣議決定しました。

 まだ成分化されておりませんが、後出しジャンケンをすることのないよう、納税者側としても事前の対策が求められます。

(国税)
(1)その年において不動産所得、事業所得若しくは山林所得を生ずべき業務を行う者又はその年において雑所得を生ずべき業務を行う者でその年の前々年分の当該雑所得を生ずべき業務に係る収入金額が300万円を超えるものが、隠蔽仮装行為に基づき確定申告書(その申告に係る所得税についての調査があったことにより当該所得税について決定があるべきことを予知して提出された期限後申告書を除く。以下同じ。)を提出しており、又は確定申告書を提出していなかった場合には、これらの確定申告書に係る年分のこれらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るために直接に要した費用の額(資産の販売又は譲渡における当該資産の取得に直接に要した額及び資産の引渡しを要する役務の提供における当該資産の取得に直接に要した額として一定の額を除く。以下「売上原価の額」という。)及びその年の販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用の額は、次に掲げる場合に該当する当該売上原価の額又は費用の額を除き、その者の各年分のこれらの所得の金額の計算上、必要経費の額に算入しないこととする。
1次に掲げるものにより当該売上原価の額又は費用の額の基因となる取引が行われたこと及びこれらの額が明らかである場合(災害その他やむを得ない事情により、当該取引に係るイに掲げる帳簿書類の保存をすることができなかったことをその者において証明した場合を含む。)
イその者が所得税法の規定により保存する帳簿書類
ロ上記イに掲げるもののほか、その者がその住所地その他の一定の場所に保存する帳簿書類その他の物件
2上記1イ又はロに掲げるものにより、当該売上原価の額又は費用の額の基因となる取引の相手方が明らかである場合その他当該取引が行われたことが明らかであり、又は推測される場合(上記1に掲げる場合を除く。)であって、当該相手方に対する調査その他の方法により税務署長が、当該取引が行われ、これらの額が生じたと認める場合

(注1)その者がその年分の確定申告書を提出していた場合には、売上原価の額及び費用の額のうち、その提出したその年分の確定申告書等に記載した課税標準等の計算の基礎とされていた金額は、本措置の対象から除外する。
(注2)上記の改正は、令和5年分以後の所得税について適用する。

令和4年度税制改正の大綱(令和3年12月24日閣議決定)

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