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【著作権】著作権は権利の束から構成されている(公衆送信権・公衆伝達権)

 今回は公衆送信権及び公衆伝達権を扱います。何なのでしょうねこれ。

 著作権を利用するのが、

1 有形的な場合

2 無形的な場合

3 流通過程での場合

4 改作による場合

 この4つあるうちの2つ目の場合の一つです。

 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあっては、送信可能化を含む。)を行う。権利を専有します(著作権法23条1項)。

 また、著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有します(同条2項)。

1 公衆送信権について

 ここで公衆送信とは、公衆によって直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信を行うことをいいます(2条1項7号の2)。

 この公衆送信の概念は4つに分けられます。

①放送
②有線放送
③自動公衆送信
④その他の公衆送信

①放送について

 放送とは、公衆送信のうち無線通信の送信を言うのですが、これに目的が加わったものを言います。目的とは、公衆によって同一の内容の送信が同時に受信されることです(2条1項8号)。

 なので、テレビジョン放送、ラジオ放送、衛星放送、地上波デジタル放送等はこれに該当します。

 これはイメージしやすいですね。

②有線放送について

 有線放送とは、公衆送信のうち、有線電気通信の放送を言うのですが、これに目的が加わったものと言い、その目的とは①放送と同じです(2条1項9号の2)。

 なので、有線放送、CATV放送等はこれに該当します。

 これもイメージしやすいですね。

③自動公衆送信について

 自動公衆送信とは、公衆送信のうち、公衆からの求めに応じ自動的に行うもの(放送又は有線放送に該当するものを除く。)を言います(2条1項9号の4)。

 要するに無線でも有線でも公衆からの求めに応じて自動的に行われるものですね。無線なら、CSを利用したオンデマンド型の音楽・ゲームの送信、有線ならインターネットを通じた情報の送信がこれに該当します。

 これも言われてみればネットで情報を送信したりすることが当たり前になっていますから分かりますね。むしろ複製する場合よりも自動公衆送信する場合の方が今では当たり前になっているのではないでしょうか。

 ここで自動公衆送信には、送信可能化を含むものとなります。

 送信可能化は、所定の行為により自動公衆送信し得るようにすることを言います(2条1項9号の5)。

 所定の行為というのは条文の文言が長く複雑なので割愛しますが、要するに、現に自動公衆送信が行われるに至る前の準備段階の行為を規制する趣旨で規定されたものです。

④その他の公衆送信

 FAXによって多数の者に同一内容の送信を行う場合等を言います。

 弁護士業界だと珍しくないのですが、各種営業のFAXが舞い込んできますが、そのような行為をいいますね。

2 公衆伝達権について

 最後に公衆伝達権です。

 これは公衆送信された著作物を公衆に伝達する行為を対象とする権利です。

 例えば放送された番組を大型スクリーンのディスプレイに受信してこれを公衆に見せたり聞かせたりする行為ですね。

 ただこれは例外2つあるうちの一つ目として、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、受信装置を用いて公に伝達することができるとして、許されています(38条3項前段)。

 例えば自治体が市民サービスで放送された番組を無料で見てもらうような行為は許されるわけですね。

 又、例外の2つ目として、通常の家庭用受信装置を用いてする場合も許されています(同後段)。

 飲食店、医療機関、銀行等でテレビを置いていることがありますが、家庭用テレビなら許されるということですね。

 業務用の大きなものであるような場合は前述の営利目的でなく料金を受けない場合にのみ許されることとなります。いわゆるパブリックビューイングは許される場合と許されない場合とがありそうですね。

 例えば飲食店で業務用の大きなディスプレイなどを用いていた場合は通常は営利目的となるでしょうから、許されず、許諾が必要ということになります。

 他方で公民館等で、地元のある選手を応援するために業務用の大きなディスプレイでみんなで応援したというような場合は営利目的ではないということになるでしょうね。

 この辺り、いろんなケースがありそうですね。

 今回はここまでとします。一見すると難しそうな概念ですが、中身はネット時代では当たり前になっているような行為を対象とするものでしたね。読んでいただきありがとうございました。

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