今回取り上げますのは、税務署が給料を差し押さえる場合に、無制限にできるのか、という問題です。
答えとしては、無制限にはできません。
国税徴収法の根拠規定を最後に引用していますが、要するにわかりやすく言えば、滞納者とその生計が同じ家族の生活保護基準に相当する金額は差し押さえできません。
憲法で保障された健康で文化的な最低限度の生活を送る権利である生存権を侵害してしまうからですね。
流石に税金の滞納をしたというだけで生存権を侵害して良いことにはなりません。
他、通常は天引きされる社会保険料の金額に相当する部分も差し押さえできません。
また、滞納者の給料が生活保護基準の金額の2倍を超える金額である場合は、超える金額も差し押さえできません。
これは生活保護基準の例えば2.5倍の給料がある場合に、生活保護基準の1.5倍は差し押さえることができないということです。
差し押さえできるのは生活保護基準の金額に相当する1.0の部分だけです。
給料を国が差し押さえるということはかなり制限されているというように思います。
なお、今回のはあくまでも国が差し押さえる場合なので、国ではなく一般人が給料を差押える場合は今回の国税徴収法は適用されませんので、別の民事執行法の定めによることになりますので混乱しないようにしていただければと思います。
今回はここまでとします。読んでいただきありがとうございました。