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何かが違うけど、何だか受け入れてしまう。そんなアート作品をあの人にも見てもらいたい

シンガポールに10日ほどいて、友達に会ったり、いろんなところを訪ねたり、楽しい日々を過ごしました。

私たちがどこかに行くと必ず行くところが美術館。
シンガポールにもナショナルギャラリーがあるのですが、その中でもアートサイエンス・ミュージアムで開催されていた、『Patricia Piccinini: We Are Connected(パトリシア・ピッチニーニ:私たちは繋がっている)』展が素晴らしかったので、ちょっとご紹介したいと思います。

彼女は西アフリカのシエラレオネに生まれ、現在オーストラリアで活躍しているアーティストです。

初めて彼女の作品を見たのは、10年以上前のことだと思うのですが、どこだったのか思い出せず。。。

この作品を初めて見た時に衝撃を受け、ずっと忘れられないでいました。

彼女によると、初めて豚の出産を見たときに、母親が子供たちを産み終わった時の疲れ切った顔が忘れられず、この作品を作るきっかけになったそう。
確かに、母親の顔は疲れ切っていて、それでも子供たちにミルクを与えている姿は、新しい命を誕生させることはこんなに大変なことなのだ、と言っているようです。

私も母親のことを思い出して、産んでくれてありがとう、と思ったほどです。

いろんなところで彼女の作品を見てきましたが、今回は彼女の個展だったので、たくさんの作品を見ることができました。

彼女はちょっと奇妙な生物を作り、シュールでフェミニズムを表現しているのですが、ビデオの中でこんなことも言っていました。

今、ファストフードや添加物の多い食べ物を食べている私たちは、少しずつDNAも壊されている可能性だってある。そして、もっと科学が進めば、DNAを操作して、別の形の生物も作れるようになるかもしれない。

そういえば、2022年にノーベル生理学・医学賞を受賞したスバンテ・ペーボ博士は、今まで現代人である「ホモ・サピエンス」とネアンダール人は別のものだと思っていたのに、実は種が交わっていた可能性を見つけたんですよね。

ネアンダール人と私たちが交わってたって、想像できます?

とにかく、彼女の作品を見ていると、私たちが別物もだと思っているものも、もしかしたら同じ生命体だったりして、拒絶するのは間違っているんじゃないかと思ったりしてしまいます。

考えてみたら、彼女はシエラレオネで生まれています。
レオナルド・デカプリオ主演の映画、ブラッド・ダイヤモンドの舞台はシエラレオネでした。
彼女が7歳の時にオーストラリアに移住したとはいうものの、彼女の生い立ちが作品に影響していないとは言えない気もします。

彼女の作品を見て、アートの底力を感じた後に、イタリアの有名なアートクリティック/キュレーターのアキレ・ボニート・オリヴァ(Achille Bonito Oliva)に会うことができました。

特に1980年のヴェネツィアビエンアーレでの彼がキュレーションした展覧会は有名です。

その彼が言いました。

アートは社会を表現している

パトリシア・ピッチニーニの作品が、私たちの多様性を表現しているのではないかと思っていたら、日本では首相秘書官がとんでもないことを口にしましたね。

「性的少数者や同性婚カップルが隣に住んでいたら嫌だ」

オフレコだ、って言ったのにそれを記事にした記者も記者ですが、そんなのわかってて言ったんじゃないかと。
しかも、「(同性婚の合法化は)秘書官室は全員反対で、私の回りも反対だ」と言っただけでなく、「認めたら、日本を捨てる人も出てくる」だなんて、みんなを味方につけないと生きていけない、アホな人がいうセリフ。
こんな人が政治家の秘書をしているなんて、本当に情けない。

彼がこれらの作品を見たら、どんな反応をしたのでしょうか。

アートが社会を表現しているのなら、アートで社会を変えられるんじゃないかと私は信じています。
みなさんはどう思われますか?

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