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80年代の洋楽は、私にとっては外への扉だった

レストランで80年代の曲がかかっていることがよくあるのですが、今、流行りですか?

私にとっては懐かしい曲たち。
それらの曲はテレビで放送されるミュージックビデオ(MV)で知りました。
あの頃、MTVの登場で、海外アーティストたちがこぞってミュージックビデオを作りました。私にとってはそのミュージックビデオが、海外への扉でした。田舎で育ったので、外国人に会えるわけもなく、海外がどんなものか想像できなかったのですが、ミュージックビデオを観て外国の人たちがどんな感じなのか、わかっていたような気持ちでいました。

私にとって一番ショッキングだったのは、カルチャークラブのボーイジョージ。彼を初めて観た時、「これは何?」と思ったのを覚えています。

この人男性だよね? 

しかも、「カーマ、カーマ、カマ、カマ」って歌っているのですよ。
「カーマは気まぐれ」という歌の歌詞です。
実はとっても深い意味の歌詞なのですが、当時私は田舎の中学生。

この人、自分で自分のことオカマだって告白してるの?

だって、ボーイジョージって、女装してましたから。
あ、「カーマは気まぐれ」では、モロ女装って感じではありませんが。。。

「オカマ」は辞書では「日本における女装男性を含めた一部の男性同性愛者を指す名称」と説明されているように、当時はなよっとしている男性も含めて、「オカマ」と呼んでいました。

「お」は相手の持ち物に対して使用する場合は尊敬語、自分の持ち物の場合は謙譲語や美化語として用いる言葉なので、「お」を付けてないだけなのかと。

何度も言いますが、当時私は田舎の中学生。
あんなに深い歌詞の内容なのに、そんなふうに思っていたのです。
なのに、ボーイジョージを見て、私の友達は愛を叫ぶように言います。

「ボーイジョージってなんて美しいの!タイプなのよねぇ〜」

なんで?本人はオカマって自白してるのに??

そういう私はワム!が好きでした。
ポップな曲なのに、いろんなジャンルの要素が入っていて、新鮮でした。

でもだんだん思い始めるのですよ。

アンドリューは何担当? 彼はワム!に必要なのか??

とはいうものの、あ、アンドリューはジョージにとって必要な人なんだと思い直したのです。

というのも、「クラブ・トロピカーナ」のMVで、ジョージは自分をセックスシンボルにしようとしているとしか思えず。。。

もちろん、女性の2人組が出てくるので、女性に対してのアピールだったと思うのですが、私にはそうは思えず。ジョージとアンドリューは付き合っているのだと思っていました。

あ、当時私は中学生でした。しかも、田舎の。

80年代、日本の田舎でゲイなんて存在自体ないものとされていたのにも関わらず、私は彼らをゲイカップルとして認識していたのです。

実際にはアンドリューはゲイではなく、今も女性と住んでいるそうで、ゲイカップルだというのは私の勝手な想像でした。

とにかく、私にとってMVは外の世界を見せてくれるものでした。だから、自分の身近には存在していないものでも、そういう世界があるのだとわからせてくれるものでした。

80年代はレコードからCDになったり、MVがテレビで見られるようになったりと、洋楽がさらに身近なものになりました。
音楽だけでなく、様々な革新的なことが起き、日本ではバブル経済真っ只中で、外に向かっていた時代でした。
だからなのか、私も自分の知っているもの以外に興味を持ったのかもしれません。

今は携帯電話でなんでも調べられ、誰にでも繋がれる時代です。
でもどれだけの人が、自分と違う人に興味を持っているのでしょうね。

80年代の曲が流れているレストランに入るたびに、これは何を意図しているのだろう、と考えてしまうのは、おばさんだからでしょうか。

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