隔離生活の空に | 中国隔離day7
隔離生活も1週間が過ぎ、シャワーヘッドの取れたシャワー(akaホース)での入浴にも慣れてきた頃だ。
もしかしたら14日間の隔離が10日になるかもしれないという淡い期待は崩れ去り、隔離期間はあと半分以上残っている。
冷静に考えて、人生の中の21日間も閉じ込められているのはヤバい。
しかし、「ショーシャンクの空に」で無実の罪で20年間監獄に入れられていた主人公に比べたら短いもんである。
21日目なんて、まだ刑務所に馴染めず、モーガンフリーマンとも仲良くなっていないような時期じゃないか。
しかも私は「ショーシャンクの空に」の主人公のように、脱獄のためにこっそり穴を掘り続ける必要もなく、ただ時間が経てばこの部屋を出られるのだ。
穴を掘る代わりに好きなだけダンスできるし、好きなラジオも聞けるし、ご飯は3食食べられるし、好きな時に入浴もできるし(シャワーヘッドはないけど)、いくらでも本が読めるし、文句などない。
この前YouTubeで、マニラのストリートチルドレンの取材をしている動画を見た。
みんなまだ幼いのに、夜中まで観光客に物乞いをしていた。
貧し過ぎて靴も持っておらず、汚い道を裸足で歩いていた。
お腹を空かせた彼らにYoutuberがコンビニでご飯を買ってあげると、持って帰って兄弟と分け合うという。
この彼らの状況を見てまだ「隔離生活まぢしんどぃ」と言えるだろうか。いや、言えない。(高校の古典ぶりに使った反語。)
とにかく残りの隔離期間に大きなトラブルもなく無事過ごせることだけを祈るばかりである。
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時間がたくさんあるおかげで、苦手なトレーニングも続けられている。
私は昔からとにかく筋トレが苦手だ。
中学校の時、バレーボール部に所属していて強制的に筋トレの時間があったが、私はどこの部位にも絶対なにも効いていない謎の動きをして誤魔化していた。(部員にはバレていないと思っていたが、ある日部員の保護者が見学に来たときに「それ意味ないよ」と指摘され肝を冷やした。)
運動自体苦手で、バレー部の半数以上が選ばれる選抜にも選ばれたことはなく、鈍臭過ぎるがゆえ、たびたび同い年の子にキレられるという非常に情けないやつだった。
(私がダンスにハマったのはバレー部がしんどかった分余計楽しく感じたからというのもあるかもしれない)
ダンスを始めてからもダイエットや筋トレに全く興味はなく、試みたこともなかった。
しかし、一昨年の9月に一念発起してジムに通い始めた。
大学の先輩がマッチョ達の巣窟・ゴールドジムでトレーナーをしており、たくさんサポートしてくれた。
私は筋トレは苦手だが、ダンスの基礎練習のようにひたすら同じ動きを繰り返すということは好きだったので
マシンを使って筋トレのフォームを練習するのは楽しかった。
マッチョの人々の精神的な強さには驚かされるし、ジムは独特の世界観があって面白い。
ある日私が慣れない手つきでラットプルダウンをしていると、挨拶くらいしか話したことのないトレーナーの方が話しかけてくださり、丁寧に教えてくれた。
わざわざ丁寧に教えてくれてありがたいな、と思っていると
「すみません…〇〇さん(私のトレーナー)の作品なのに、口出ししちゃって。」
と謝られた。
作品…
筋肉を「作品」と捉えているアーティスティックな表現に心を掴まれてしまった。
その後筋トレは一年続けることができたが、舞台の出演が決まり稽古が忙しくなり余裕がなくなった為、ジムに行かなくなってしまった。
(その時の座組には本番前にジムでがっつり筋トレしてから来るという猛者もいたので、マッチョ達にしてみればただの言い訳にすぎないだろうが)
今は渡航前に「頑張る」と決意した日から、渡航前日と当日以外は一応頑張ってトレーニングできている。
相変わらずわがままボディには代わりないが、鏡を見たときに「ディズニーランドとかによくある太って見えるおもしろ鏡」なんじゃないかと錯覚する身体が、普通の鏡で見ているぐらいになるまでは頑張りたいところである。
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