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年金の買い7兆円超、さらなる円高阻止?!円キャリーはまだ残っているか

日経平均一時1100円安も反発、底堅かった日本株市場

日経平均日足

9/6(金)の米雇用統計を受けて米国株市場が幅広く売られたことや、日経平均先物が35000円台まで下落していたことをうけ、週明け9/9(月)の日経平均は一時下げ幅1100円を超え、取引時間中としては約1カ月ぶりに3万5000円台を示現するも、みるみる下げ幅を縮小終値では▼175.72円 36215.75円で取引を終了。

日本株、安値では買い向かう向きがあった模様で年金基金などの鯨が入っていたのではないかとの観測も。ドル円、為替相場が早朝7時台に141円台に突っ込むも、その後ジリジリ円安ドル高に戻っていったことも売り方の買い戻しを誘ったと見られます。

ドル円5分足

しかし、雇用統計の乱高下で示現した144円台には一歩届かず、NY時間に入って再び下落しています。

8月は国内機関投資家が7兆円を超えるドル買い

今日の注目ニュースはこちら。

・8月の国内投資家の海外中長期債の買越額は7兆3370億円と過去最大

・141円台まで円高が進み、保有資産全体に占める外国債券の比率が低下。年金などのリバランスを目的とした買いが膨らんだ

・年金などから受託した資産を運用する信託銀行(信託勘定)が2兆8069億円と、2020年11月以来の買越額

・「今後の米利下げで米国債価格が上昇するとの見方が広がり、銀行などが外債買いに動いた可能性がある」

7兆円のドル買いは凄まじい規模です。これがなければドル円相場はもっと円高となっていたことでしょう。さらなる円高を阻止した可能性が大きいですね。しかし、7月11日と12日には本邦通貨当局が5.5兆円規模の円買い介入を実施。ドル高を阻止しましたが、それを超える規模で8月年金がドル買いをしていたとは。

これも需給です。今日日本株市場で年金の買い観測が出ていたのも8月の急落で日本株の比率が下がったためと考えられますね。しかし、リバランスの買いは延々に続くものではありません。外債比率が目標に達すれば買いは止まるでしょう。

それ以外にもNISA経由の投資信託が1兆1702億円の買い越しとなっていたことが明らかとなっており、ここ数カ月とほぼ同額の高水準を維持していました。つまり1兆円規模のNISAのドル買いは今後も続くものと考えられます。年初からの累計9兆円。これはドル円の下値を支えると考えられますが、金利差縮小で投機筋が円ロングを積み上げつつある中で、NISA買いの1兆円がドル円を押し上げていく力はないでしょう。

年金の7.3兆円とNISAの1兆円のドル買いで計8兆円規模の実需買いがあったわけですが、ドル円相場は141円台から149円台まで8円あまりリバウンドしましたのでそれなりにドル円相場に影響があったと思われますが、しかし、ドル円上昇は続かず、再び今日141円台まで下落しているところを見ると円買い圧力もそれなりに強い。最新のIMM通貨先物ポジションを確認すると投機筋は円ロングをさらに積み上げていましたね。

FOREX WATCHER

4万1116枚のネット円ロング。規模は大きくありませんが、円キャリー・トレードは再開していないということです。

円キャリーポジションはまだ残っているのか?

通貨先物市場の円キャリーポジションは全て捌けて円ロングになっているのですが、先物のポジションは氷山の一角です。円を借りて米株を買っている、米債を買っている、というのも円キャリーですが、米株の下落は投げが投げを呼ぶほどではありませんでしたので、まだ円キャリーポジションが残っている可能性はあるのかもしれません。

・FRBが今月、大幅利下げに踏み切った場合、米国株が円を資金源とするキャリートレードのさらなる巻き戻しリスクにさらされる可能性がある

・0.25%を超える米利下げは円をサポートする公算が大きい。そうなれば、日本の金利上昇を踏まえ日本の為替トレーダーが米国の資産から手を引くインセンティブが高まり、世界市場を先月動揺させたパターンが繰り返されることもあり得る。

モルガン・スタンレーのストラテジスト、マイケル・ウィルソン氏

9月FOMCで0.25%超える利下げがあれば、という条件つきでのストラテジーのようですが、現状では9月の利下げが0.5%となる可能性は高くありません。CME FedWatchでは27%程度の折込みにとどまっています。ただし11月FOMCでは0.5%の利下げが織り込まれており、これが9月に早まる可能性はゼロではありませんので、一応念頭においておきます。

雇用統計を受けた悲観は後退、米株持ち直しの機運

今夜米国株市場は反発基調にあり、悲観は後退しています。
AM1:10 、ダウは500ドル超えの上昇です。

世界の株価


短期金利は反発も長期金利は低下。今夜はFRBが期待インフレ動向を判断するうえで重要視しているNY連銀調査のインフレ期待が発表されましたが、今後1年のインフレ期待は3.0%と、7月2.97%から小幅上昇、3年は2.54%と、7月2.33%から0.2%上昇。5年は2.79%と、2.81%から小幅低下となりました。ということで短期金利がやや反発、長期金利は低下なのでしょうか。9月FOMCでの0.5%利下げ織り込みは更に後退しそうですね。

米国債利回り

通貨インデックスを俯瞰してみると、ドルが持ち直しそうです。対してユーロやポンドが崩れ始めましたね。

通貨インデックス一覧

ドル円145.83円売り継続ですが、今日の高値143.80円を超えてくるようなら買い戻します。
豪ドル円97.81円売りも今日の高値95.70円をしっかり超えてくるようなら買い戻します。

下がりすぎたドル金利の反発がありそうなのと、今週ECB理事会で欧州は利下げが見込まれているということもあり、今日はユーロドルを1.1081ドルで売り参戦。雇用統計の乱高下で上昇しかけたのですが失敗しています。コスト付近に逆指値をおいておきますがECB理事会のある木曜前には手仕舞いたいですね。

NOTE

・トランプ氏、ホワイトハウス返り咲きならドルから別の通貨にシフトする国々に100%の輸入関税を課す方針
・中国とインド、ブラジル、ロシア、南アフリカ共和国の新興5カ国(BRICS)は昨年8月の首脳会議で脱ドル化を協議した経緯がある

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