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霊感ゼロの私が思う「世界で一番怖い話」

若い頃の私は、ホラーやオカルトや都市伝説などの怖い話がとても苦手でした。でも、四十歳を過ぎたあたりから「普通の死に方で死ぬ恐怖も、オバケに殺される恐怖も、どちらも同じでは?」という考えに至り、昔ほどそれらを怖いと感じなくなってきました。

事故や病気で死ぬのも、オバケに殺されるのも、自分で首を吊るのも、自然に寿命が来るのも、命が終わるという絶望感はおそらく全部同じです。
どれかが特別ということはありません。

若い頃の私は、怖い話で語られる内容を心から怖がっていて、こんなことは自分には起こってほしくないと願っていました。
でも実際は、私には霊感というものが無いらしく、怖い話の中で起こるような不思議な体験は一切したことがありません。

本当に怖い体験をした人が怖がるのは理解できますが、私は何も体験していないのにひとりで勝手に怖がっていたのです。
一体どういうつもりだったのでしょうか?
これもオタク女特有の想像力の逞しさというヤツでしょうか?

自分で体験したことは無いのに、怖い話を信じて怖がっていたのは、私が二次元オタクで、オバケなどの設定も自然に受け入れて、架空の物語に没入できる性質があったせいかもしれません。

オバケに対しては、若い頃は「実際に出会ってしまったら怖い」とばかり思っていました。でも歳を取ると、オバケって肉体の苦しみから解放されているのでは?すごく快適なのでは?死なないし病気も無いのでは?(参照「ゲゲゲの鬼太郎」主題歌)と羨ましく思うようになりました。

若い人には分からないかもしれませんが、歳を取ってくると、だんだんと自分の身体が思うように動かなくなっていくさまが鮮明に想像できるようになります。

私は何歳まで自分の足で歩けるのか?
何歳まで自分の歯で食べられるのか?
何歳まで自分の意思を他の人に正確に伝えられるのか?
何歳まで正気でいられるのか?

自分がヤバくなる時は、きっと自分ではそのことに気付かないのだろうと思います。私の文章が「かゆうま」みたいになってきたら、もう元の私はそこには居ないのでしょうね。

これは、フィクションのホラーやオカルトや都市伝説とは比べ物にならない怖さです。若い頃は想像もできなかった、本当の「起こってほしくない怖い出来事」です。

今は、どう頑張っても必ず現実にやってくる「自分の最期」が、世界で一番怖い話です。

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