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セキトウオウリョクセイランシ

「セキトウオウリョクセイランシ」
まるで何かの呪文のようなその言葉を初めて聞いたのは、学生のころだったか。それとも就職してからだったか。
どうしても虹の七色が覚えられないんだと言った私に友達が教えてくれたものでした。

赤・橙・黄・緑・青・藍・紫
この七色をすべて音読みして、セキ・トウ・オウ・リョク・セイ・ラン・シ。

たぶん、化学の時間に習った水平リーベ僕の船(H・He・Li・Be・B・C・N・O・F・Ne)みたいな語呂合わせだったかと思うんです。私は授業で虹の七色は習わなかったから知らなかったんだろうな。地学とってないし(というかうちの高校には選択で地学はなかった)。

虹の七色と言われていますが、国によっては七色をきちんと見分けることができないところもあると聞いたことがあります。本当か嘘かはわからないけれど。
日本では、古来たくさんの色があって、微妙な違いのいろんな色にひとつひとつきちんと名前がついていて、たとえば着物の色の合わせにも、それぞれまた別の名前がついていて、意味もあったんですよね。もちろん知識人層はその色や意味をすべて覚えているし、文献もたくさん残ってる。
そういうお国柄とでもいうものがあり、だから今でも七色をきちんと見分けられるんだとか。
実際見てみると、確かに虹の色は七色見分けることができます。
だとしたら、もしかしたら、いや虹は七色じゃなくてもっとたくさん色があるよ、なんて国もあるのかもしれない。

そう言えば最近知ったことですが、蝉の鳴き声をノイズとしてではなく、ちゃんと虫の鳴き声だと認識できるのも、珍しいんだとか。日本と、あとはいくつかの国くらい。……日本だけじゃないよね?
これもまた自分で文献をあたったわけではないんでどこまで本当かはわからないのですが、複数の人から聞いたので確からしい話。
たとえば日本の映画、アニメ、マンガなんかでは、夏をあらわすのに蝉の声を使いますよね(効果音、描き文字でのオノマトペとしての使用の話なので小説は割愛)。あれも、外国ではそもそも蝉の声がノイズとしてしかとらえられないので意味が分かってもらえないと、音を消したり差し替えたりしていると聞きました。漫画のオノマトペまでは消したり書き換えたりは難しいから、そのままなのかな? だから外国の人は蝉の声を「夏をあらわす擬音語」(正しいっちゃ正しい)としてとらえていて、蝉の声とはわかっていないらしい、と。
私たちが聞けば、たとえばクマゼミとかミンミンゼミとか、秋になればつくつくぼうしとか、ひぐらしとかわかりますが、あれはノイズなんだそうです。
梅雨が明けた途端、蝉の鳴き方が暑苦しく変わったり、秋を感じる蝉の声になったりというのがわからないんだ、とびっくりしました。

そうなると、他の虫の鳴き声はどう感じてるんだろうなぁ、というのも気になります。秋になったら鈴虫や松虫、いろんな虫の鳴き声がするのも、わかってもらえないのかなぁ。でも学者さんは鳴き声でどの虫かわかるだろうから、まったくわからないというのではないだろうし。

考えてみれば、日本語は母音が少なくて、だから外国語を習うときに文法の問題だけじゃなくて、ヒアリングや発音がネックになってなかなか進みませんよね。
子供のころから外国語に触れていれば、大人になってから習うよりはずいぶん早くマスターできるようですが。
つまるところ、根付いた文化や風習の違いなんでしょうね。

話は戻って色のこと。
虹の七色に限らず、日本の色の和名は最近脚光を浴びていて、マスキングテープやシールなどにも色の和名を使った図鑑めいたものがありますよね。
見ているだけで楽しくて、いつか揃えて、それ専用のノートを作ろうか、なんてもくろんでいます。
赤や青、緑や黄色、近い色を集めたページを作りたいなぁ。そして虹の色のページも。

そして色の和名について書かれた文献も、いつか読んでみたいもののひとつです。

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