日本遺産・吹屋で「旧吹屋小をマイクラで再現しよう」を開催!3つの気づきとSTEAM教育的な学習効果
こんにちは、横山です。
今回は、高梁市内の小中学生を対象に、6月18日(土)に日本遺産・吹屋で開催した「旧吹屋小学校をマイクラで再現しよう」というイベントの振り返りと気づきを綴ります。
「旧吹屋小学校」は、平成24年3月まで現役最古の木造校舎として国内最古とされていた県指定重要文化財です。朝ドラや映画の撮影にも何度も使われた、ノスタルジックな雰囲気満載の建物です。
当日の様子はこちらの動画をご覧ください!
そもそもどうしてマイクラ?
どうして日本遺産でマイクラなのか、という前置きから。
そもそもは、高梁市にある吉備国際大学・社会科学部の学生が立ち上げた「高梁市街地立体観光マップ作成プロジェクト」が今回のイベントの起点でした。マイクラで高梁市の市街地を完全再現しよう、という野心的な試みです。
▼プロジェクトの詳細はこちらから
▼マイクラで高梁市を再現、の実況中継動画も
3月に開催した「備中高梁会議」で吉備国際大のマイクラチームの学生に登壇してもらいましたが、話を聞いて浮かんだ「旧吹屋小をマイクラで再現したら面白いんじゃないか」というジャストアイデアを、今回実際にやってみた、という流れです。
単なるゲームの域を超えた取り組み。バーチャルとリアルを行き来する。地域や歴史を知る学びになる。創造的になる。
面白いなと思ったのは、単なるバーチャル上だけの活動ではなかった点です。
バーチャル上(3D)で実際の建物を再現するだけでなく、現地で取材をして、観光情報まで載せる、という「バーチャルとリアルを行き来する」活動がある点がとてもいいな、と思いました。
これを、高梁市の市街地だけでなく、周辺の山間エリアとかでもやると面白そうだな、と。さらに、その地域の小学生や中学生を対象にして実施すると、とてもいい学びになりそうだな、と思いました。
実際やってみてどうだったか?
実際やってみてどうだったか、というところですが、結論からいうとメチャクチャよかったです!
今回の開催形式や運営的な面は以下の通りです。
吉備国際大の「高梁市街地立体観光マップ作成プロジェクト」チームの大学生に講師をしてもらう。
地元の中学生・小学生を参加対象として開催する。
開催場所は旧吹屋小学校。
こんなかんじです。
自分の方では、企画立案や、旧吹屋小学校を管理する高梁市観光協会や今回メインで参加してくれた高梁中学校の先生方との調整などのコーディネート、当日の機材の準備や運営などを行いました。
吉備国際大の学生たちが講師役となり、中学生や小学生をレクチャー&サポートしながら進めていきました。
そもそもですが、人口3万人弱の小さなまちである同じ高梁市内に学校があるとはいっても、大学生と地元の中学生・小学生の接点は非常に少ないです。こうした垣根を超えた交流自体が、まず非常に新鮮かつ貴重な体験だったように思います。
また、マイクラ自体は初めてという子どもたちも多かったですが、大学生も子どもたちに教える、伴走する、こうしたイベント自体を運営する、という経験値を積めたました。「講師役」という教える側ではありましたが、逆に学ぶことも多かったようでした。
気づき① 教える側の大学生の学びも大きい
実際の建物を再現するために、地域に出る。リアルに触れる。
今回は日本遺産・吹屋にある「旧吹屋小学校」を再現する、という試みでしたが、当然ながら、実際の建物を再現するには、現地に赴く必要があります。
吹屋は高梁の中心市街からは車で45分くらい、標高500m以上の山の上にあります。
今回参加した大学生、高梁中学の生徒(先生も)も、実はほとんど全員が初めての吹屋でした。地元にいてもなかなか来ることがない、というかんじなのですが、今回のマイクライベントが吹屋に来るきっかけとなりました。
「文化遺産を見に行こう」ということでは、なかなか興味が持てない大学生や中学生とかでも、「マイクラ」という切り口があれば、そうした場所にも行くきっかけがつくれるのでは、と思いました。
実際に、大学生も吹屋の町を楽しそうに散策していました。
今回はマイクラでしたが、「教育」というコンテンツが「誰かをどこかへ連れてくる」大きなきっかけ、誘引要素になるな、とあらためて感じることになりました。
気づき② 魅力的な教育コンテンツには、人を呼び込む引力がある
単なるゲームではない。STEAM教育の要素が満載。
マイクラで実際の地域や建物を再現する、という活動は、単なるゲームの域を超えた活動と学習効果をもたらすことを実際にやってみてかんじました。
STEAM教育とは、「科学(Science)」「技術(Technology)」「工学(Engineering)」 「芸術・教養(Art)」「数学(Mathematics )」の5つの頭文字からつくられた言葉です。
下の写真は「吹屋小学校のサイズをどうやって測るのか」という問いと説明ですが、数学的な要素が満載でした。
実際には、吹屋小の場合は図面があったので寸法などはわかったのですが、市街地や町並みを再現する場合、図面などが手に入らない、わからない、というケースも多々あります。その場合に、どうやって寸法を測るのか、という話です。
超ざっくりいうと、大昔のピラミッドをつくるときのやり方と同じなのですが、ここでは数学的な要素が満載となります。ここだけ突然、数学の授業になったようでした(笑)。
寸法を測った上で、実際にマイクラで再現する、となると、
建物の外観やデザインなど →「芸術・教養(Art)」
マイクラを使いこなす → 「技術(Technology)」
建物の構造などを理解する → 「工学(Engineering)」
というような具合です。
さまざまな要素が絡み合った活動になりますし、協働で何かを創り上げる、というとてもクリエイティビティを刺激する活動になります。
大学生も驚く中学生のポテンシャル
今回は午前中に基本操作を含めたレクチャー、午後に実際に吹屋小をつくる(2時間くらい)、という時間配分でした。なので、正直、マイクラでの再現がどこまでかたちになるかは、ちょっと?かなり?心配がありました。
が、その心配はポジティブに裏切られることになりました。
中学生・小学生の吸収力は半端ではなく、なかには大学生を上回るような効率的な作業のやり方を編み出して、すごいスピードで吹屋小を再現していく子もいました。
その結果、ざっくり完成度50%くらいではあると思いますが、想定以上にかたちになり、けっこう再現できたぞー、というかんじになりました。
今回は、夏休みに企画する「吹屋学びフェス」のプレ開催的に実施したので、続きは夏休みにぜひ完成できればと思っています。
それにしても、中学生・小学生の吸収スピードは凄いものがあると、あらためて実感しました。
気づき③ 小中学生の吸収スピードは半端ではない
3つの気づきまとめ
今回、吉備国際大の学生と高梁中学校、吹屋の地元の小中学生とコラボして「吹屋小をマイクラで再現しよう」イベントをやってみての気づきは、大きく次の3つです。
気づき① 教える側の大学生の学びも大きい
気づき② 魅力的な教育コンテンツには、人を呼び込む引力がある
気づき③ 小中学生の吸収スピードは半端ではない
さらに、最大の発見は、
「地域の建物を再現するマイクラプロジェクトは、STEAM教育的な学習効果もとってもありそう」
ということです。
なによりも、とても楽しくて面白い!
とまあ、いろいろと書き綴ってきたのですが、何はともあれ、子どもたちがメチャクチャ楽しそうで、物凄い集中力を発揮して、いつになく協働・協力をしていた、ということが何よりではないかと思いました。
みんな続きをすぐにでもやりたそうでしたし。
次回は夏休みに開催できれば、と思っていますが、横展開できそうなプログラムなので、いろんなかたちで広めていければと思っています。
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