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地方を見て、移動して、感じたこと-RoundTrip2019-

ダラダラ書いていてすっかり1ヶ月も前のことになつてしまったが、9/14-9/18で「流動創生」による巡業キャラバン企画RoundTrip2019に参加してきた。この企画は「地域」を研究する研究者や学生が、ワゴンに乗って複数地域で滞在&活動するというものだ。

5日間の順路はこんな感じ↓

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大阪(現住居地)→福井(南越前町)→奈良(大淀町)→鳥取(大山)→大阪(現住居地)
と距離にして1,035kmを移動した。

今回はたった5日間ではあるものの、様々な地域を巡り、僕自身が感じた「地域で生きること/移動すること」について書きたいと思う。

どこにも根を張れない曖昧さ

そもそも自分がこのイベントに興味をもったきっかけは「地方」ではなく「移動」というワードだ。

年を重ねるとともにだんだんとはっきり気付き始めたのだが、どうも自分は帰属意識が薄く、常にフラフラしている。
高校時代の体育祭で全クラスのクラスTシャツを集め、1人でクラス間の境界をなくそうとしたり、大学時代は他学科他研究室に入り浸ったり。
決して所属している場所に不満があるわけではないのだけど、それ以外にも関わってみたいという好奇心が常にあって、どこかに100%コミットできない曖昧さというものをなぜだか常に抱えている。

「生活する場所」という点においても同様で、決して今生活している場所に不満はないけど、常にどこか他の場所でも生活したいと常に考えている。
住所は1つでその場所に根を張って生活するという生き方がなんだかあまり自分にはあっていないような気さえしている。

そんなこんなで「多拠点居住」だとか「移動暮らし」みたいな「移動」を生活に組み込んだ暮らしに自然と興味をもつようになっていった。

世界の距離は小さくなっているのか

上記の記事でも述べられているように地球の距離はどんどんと小さくなっている。インターネットや交通の発達は世界の物理的距離をどんどんと小さくしている。

特に大学院に入学してからそのことを実感できる機会が増えた。
生まれ育った関東を離れ、大学院から大阪に。故郷を離れるというのはちょっとした冒険だと入学前は感じていたけど、実際に住み始めてみるとそうでもない。関東に帰る用事はちょくちょくあるし、夜行バスでひと眠りすればすぐ行き来できる。
思っていたよりも、関東と関西の距離は近いんだなと感じるようになっていった。

「移動」を組み込んだ暮らしの実現は、もうすぐそこまできている!と思ったりするが、実際どうなのだろう?

例えば周りの就職活動を見ていると、地方に就職したらあたかも一生その地に根を張って暮らさなくてはいけない、という恐怖から逃れたいがために都市部に何が何でも就職したいという声をよく聞くし、関西に来てみると依然関東に対して壁を持っているように感じる。
メディアでは「都市」と「地方」等を明確に区別している。
特に自分は所謂「都市圏」にしか住んだことがないので、都市部間の移動の容易さはなんとなく実感として理解できているが、所謂「地方」への移動に関しては十分理解できていない。もしかしたら未だそんなこと土台不可能なのかもしれない。
「住む」ということはそんなにも重荷になってしまうのだろうか?自分が考えている、フラフラと曖昧に移動するということは夢物語なのだろうか?
その辺のこともひっくるめてこの目で確かめてみたかった。

出会ったものたち

そもそもRoundTripという企画は南越前町という町の流動創生事業の一環である。
一地方自治体が、他の地域に出向かせるという活動に予算をつぎ込んでいることにそもそも驚きであるが、それだけ関係人口的な考えが地方にも根付きつつあるということだろうか(最終的な思惑は分からない、やはり最後は定住を目的としているのかもしれない)。

さて、一地域が他の地域に行って何のメリットが?と思っていたが、参加してみるととあることに気付く。「地域」を拠点に活動している人の他地域との繋がりの強さだ。
今回の企画者である南越前町の地域おこし協力隊の方はともかく、各地域の人々も他地域で活躍している人間と交流があるというのが驚きだった。

彼らは「地域おこし協力隊」つながりなのだろうか。皆自分の今いる場所に愛着をもちながら、バンバンと移動・交流を行っているようで、その姿が印象的だった。

フットワーク軽く移動し、各々の地方の魅力を競争ではなく、共有し合っている姿勢がとてもよかったし、そう考えると一地方自治体が他地域に出向かせるということも意義のあるものなのかもしれない。

地方は人が少ないし、課題も多い。だからこそ同じような課題を抱えている地方と協力し合っていく。

何かに所属はしていない。けれども適宜離れた場所にいる誰かと連絡し合う、ゆるい繋がり。そのゆるい繋がりが日本全国にネットワークとして繋がっている。

地方では人とのつながりの中で活動が生まれていく。その感じがリアルに感じられるのがとても良かった。

またフットワークが軽いからこそのメリットを垣間見れた旅だった。特に大山では、山奥の小さなコワーキングスペースに、様々なハイテクサービスを導入していて、それらを使って仕事をしている様子は都会との差を全く感じさせないものだった。

大きな企業のように超最新技術をもった機器は使えないだろう。しかし最新のサービスは小回りが利くのでどんどん導入できるのかなと思った。

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これから

個人的に全ての人は自分自身の自由の追求のために生きていくのかなとなんとなく思う。
まぁ一重に「自由」といっても色々あるが今現在自分が最も興味をもっているのが「場所の自由」だ。

あくまで今現在だけれども、自分がこれからの人生で追及していきたいと思っていることは「移動」と「空間」である。情報化・技術革新の発達でリモートワークが可能になったり、プロダクトはスマートフォンなどの一つの機器に集約されていき、モノを所有する必要がなくなったり。人の生活はどんどんと身軽になり、自身の情報を持ち運びながら生活することが可能になりつつある一方で、自身のインテリアや空間といったものはどうだろう?
アドレスホッパー等はホテルやゲストハウスに宿泊するわけだが、そこは自分の空間となっているのだろうか。色々聞いているとあくまで借りぐらしという立場を保っているだけのようである。
自分だけの、自分の居場所としての空間を持ち運ぶということは依然難しい。
それを実現するのは、モバイルハウスのように空間そのものの移動なのか、持ち運びを簡略化しモノとしてのクオリティも高いインテリアプロダクトなのか、3Dプリントによる物体の転写やVRによる仮想空間のようなテクノロジーなのか、はたまたお気に入り空間を複数箇所にもちながらそれらを維持するためのサービスや仕組みなのか、はたまたそれらの複合か。
自分の中でも言語化できておらず、なおかつ矛盾だらけの思考なので、まだまだ分からないことだらけの穴だらけ。恐らくコンセプトの立て方から間違っているし、そもそも難しく考えすぎで今既存のものでも全然実現できるのかもしれない。そこも含めて考えていきたいし、いつかは自分の中で納得できる答えとその実現を行いたい。

今回の巡業で、移動すること自体のメリットとなぜ移動したいかがよりクリアになってきたし、自分の生き方の指針のようなものが少し見えたように思う。

(写真 = Akemi Uno)



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