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第1回・京都市立高校合同フィールドワーク

10月19日土曜日、京都市立日吉ヶ丘高校と同・京都工学院高校で、有志生徒を募って合同で探究プログラムを実施しました。今回がはじめての取組になります。
日吉ヶ丘高校から4名、京都工学院高校から6名の計10名が参加し、2校混合の3チームに分かれて活動しました。

1日の流れ

プログラムのテーマは「伏見稲荷周辺をもっと良い街にしよう!」

日吉ヶ丘高校は英語や国際理解教育に、京都工学院高校はものづくり・まちづくりにそれぞれ強みを持っています。その両方を活かせるフィールドとして、京都でも有数の観光地であり、両校の中間に位置する伏見稲荷大社の周辺地域を訪れました。
環境改善(City Design)の観点を持ってこの地域を散策し、観察し、課題を見つけ、改善策を立案することが、今回のプログラムの目標です。

プログラムのプロセス

イントロダクションとアイスブレイクの後、まずはPOEMSという手法についてレクチャーを受けました。

観測のためのPOEMS思考法

これは、People,  Objects, Environments,  Messages, Services の5つの観点を手がかりに、対象地域を観察するというものです。
これをもとに、伏見稲荷周辺のどのような要素に注目するかをチームごとに相談してからフィールドワークに出発しました。

自己紹介と作戦会議
雨の中、伏見稲荷へ

フィールドでは、地域のお店の方にお話を聞いたり、各自の視点で周囲を観察したりして、「どうすればこの地域をより良い街にできるか?」を考える材料を集めます。
生憎の雨でしたが、生徒どうしで相談しつつ、時には引率教員のアドバイスをもらいながら、積極的に活動していました。

観光客で賑わう伏見稲荷に到着
地元のお店で聞き込み調査
道路に停まるタクシーをカウント中…

午後は京都工学院高校に戻って後半戦。
実際に見てきた様子から、地域の問題点を挙げ、それがどうなれば良いか(目標)を考え、取り組む内容からプロジェクトステートメント(プロジェクト名称)を設定しました。加えて、プロジェクトの目的や提示する価値を端的に表す「コンセプト」の設定も推奨されました。
各チームで発見した問題をもとに目標を定め、その達成に向けて方策を練ります。ここではPBLの要点として、目的・目標と手段が逆転しないよう注意がありました。
この頃には2校混合のチームもずいぶん打ち解けて、活発にコミュニケーションを取りながらの進行となりました。

最後はポスター発表。 各チーム時間いっぱいまで粘って作ったポスターで、自分たちの発見した課題と考案したプロジェクトについて説明しました。

準備段階から提案までの全工程を1日で実施したため、調査しきれなかったことや検証できなかったことも多くありました。しかし、各チームが自分たちの足で情報を集め、問題を発見し、達成すべき目標を定めることができたことは素晴らしかったと思います。
また質疑応答の場面では、やや遠慮がちながら他チームの発表に質問や感想を述べる姿が見られました。
今後は、校内外の発表会で今回の活動やその経緯について発表することも予定しています。その準備を進めていく過程で、遠慮なく意見を交わして、よりクリエイティブに交流できる関係を築いていけるといいですね。

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このプログラムは、京都市立高校の「総合的な探究の時間」研究会(通称:総探研)の研究テーマである、「各校の特色を活かす高高連携」について議論する過程で提案されたものです。
実験的な取組ということで、まずは小規模に、2校での実施となりました。

以下、実施してみての感想です。
今回のPOEMSのように汎用的に使える枠組み、探究の枠組みが共有できれば、様々な学校と、様々なフィールド設定で同様のPBLの実施が可能だという実感が得られました。
もちろん1校での実施も可能ですが、得手不得手や興味関心、普段受けている授業も異なる複数校の生徒が出会い、共通の手法を焦点としつつ各自の視点を持ち寄って探究することに意義があったと感じています。
今回のような高高間だけでなく、小中高大をさまざまに組み合わせての展開も面白そうです。
今回は提案の実現に向けた動き(地域や自治体への働きかけなど)を伴わない形での実施でしたが、そちらを目指す形での構築ももちろん可能でしょう。
ただしその場合、事前の準備や調整にかかる労力が大きくなるので、今回ほど手軽にとは行かないでしょうね。
類似の実践例についても情報を集めつつ、さまざまな可能性を探っていきたいところです。

hirokit

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