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オクタビオ・パス「泥の子供たち」感想

 現代詩について良い本はないかと探していたところ、ノーベル文学賞作家の詩論があるときいて読書。フランス革命を皮切りに、19世紀から20世紀半ばまでの激動の時代の政治社会文化芸術の歴史変遷を踏まえつつ、欧州北南米の様々な詩人の作風を分析した、読んでみたら滅茶スケール大の詩論。残念ながら言及してる詩人の作品はほとんど読んでないが、近現代世界史をちょっとかじった身には、こういう見方もあるのか!と眼から鱗なところ多々あり。詩だけではなく近代美術史、文化史に関心がある人も楽しめる本だと思う。

 ともかく社会文化の分析の鋭さには感服。これは1970年代に書かれた論考だが、パスさんがもし今生きてたら、トランプやSNS、コロナ禍など今の時代をどう見るだろうとつい考えてしまった。ちなみにこの本に登場する詩人で1番印象的な詩人はイタリアファシズムにハマったエズラ・パウンド。その他重要な詩人の名前がわかったので、その作品を読んだ後にまた改めてまたこれ読を読み直したい。

 今年のノーベル文学賞は詩人が受賞するなど、あちらでは詩も大事なジャンルらしいと知り、遅まきながらこれからは内外の詩人も読書対象とするつもり。いい歳こいてもまだまだ学べることがあるのは幸福としみじみである。


読んでいただきありがとうございます。ここでは超短編小説、エッセイ、読書感想などいろいろ書いていく予定です。よろしくお願いします。