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はじめに(超初心者のためのカードマジック入門)

原作者はじめに

 この『超初心者のためのカードマジック入門』に目を向けていただいてありがとうございます。

 昨今の巣ごもり需要もあって、マジックを学びたいという人は、若者を中心に急増しているようです。
 特にカードマジックは、いつの時代もマジックの花形です。
 そんな花形のカードマジックを超初心者のあなたが演じるために、本書を制作しました。

 はじめてトランプを触るような、正真正銘の『超』初心者ができるマジックとは、どんなマジックなのか。憶えやすくてウケるマジックとは、どのマジックなのか。
 それらを厳選し、さらには、「観客の気持ちが分かる演者」になれるように、動画による実演を挿入しました。これから演者になるあなたも、まずは観客の気持ちで、実演動画を視聴できる構成になっています。

 そのような指針で10作品を選出しましたが、テクニックをほぼほぼ使わない『超初心者用』でありながら、プロマジシャンの間でもほとんど知られていないような、露出の少ない演目を厳選しました。どんなにマジックに詳しい人に演じても、必ず驚かせることができるでしょう。

 ぜひ、本書でマジックを憶えて演じてみてください。
 きっと、マジックの楽しさを感じていただけることと思います。

上口龍生


筆者はじめに

 本書の制作にあたって、筆者として重要視してきたことは、『わかりやすさ』と、『実践性』です。
 
 たとえば、解説を読んでも意味が分からないという、わかりにくいマジックの本はたくさんあります。
 また、とりあえず現象は再現できるけれども、観客の前で演じるには無理がある、というような実践的でないマジックの解説もたくさんあります。
 『マジック』という極めて特殊な専門分野を、それを知らない初心者に伝えることが、この上なく難しいことが、その原因です。

 わかりにくいマジック書を読んで、あるいは、難しいテクニック書を読んで、マジックができないと諦めてきた方も多いかもしれません。
 そうやって、一度は諦めてしまった人や、諦めそうだと不安で入門できずにいた人が、とにかく、まずマジックを演じるための書物として制作されたのが本書です。
 テクニックが難しくて諦めてしまった人にも、文章や説明の意味が分からずに諦めてしまった人にも、もう一度マジックにチャレンジしてもらうために。テクニック不要のマジック10選を極限までわかりやすく解説することを目指して本書は作られています。

 あらゆるジャンルのマジックを習得し、さらに独自の研究を重ねてきた”マスターマジシャン”上口龍生さんが『超』初心者のために厳選したマジックを、文章でトリックを解説するのを専門とする推理作家の私廣木涼が、初心者にもわかりやすい形で解説します。

 本書が、あなたのマジック入門の一助になれば幸いです。

廣木涼


本書の特徴

 本書は、web書籍の特徴、noteというプラットフォームの特徴を最大限に利用して、作成されています。
 
 紙の書籍の時代には実現できなかった、動画での実演視聴が可能です。
 それでいて、DVD解説やYouTube解説のように、解説を聞くために長尺の動画を何度も再生する必要もありません。

 演技を練習するために何度も再生するであろう実演部分は、繰り返し視聴しやすい短尺の動画としました(動画は、観客視点で構成されています)。
 また、解説部分については、長尺動画を何度も再生せずに済むように、写真や説明図を伴う文章として、読み返しがしやすい構成にしています(写真は、基本的に演者視点で構成されています)。
 noteというプラットフォームのメリットを活かし、シンプルで読みやすい構造ながら、目次での頭出し機能も実装されています。

 内容としては、マジックが成立するための直接的な手順のみならず、その言動の意味合いや、演じるための注意点、演じるときの考え方なども詳細に解説。
 また、どういう理屈によってマジックが成立しているのか、数学的な原理解説にも踏み込みました。
 さらに、超初心者編だけで終わらず、もっと深くマジックを学ぶ第一歩とすることもできるように、自然と専門知識が得られるように構成しています。

 最後に、
「でも、お高いんでしょう?」
と言われないように。お手軽にマジックを始めてもらえるように、980円という低価格に設定しました。
 マジック1つあたり、98円で憶えられる価格設定としております。

 ぜひ、本書でマジックを憶えて、身近な友人に披露してあげてください。
 その友人の反応を見れば、きっと、もっとマジックをやってみたい、と思うようになることでしょう。


マジックに必要なもの

トランプ
 まずはトランプを入手してください。
 それも、1組ではなく、色違いの2組を準備しましょう(本書の中でも、色違いの2組が必要になります)。

 マジシャンがよく使うのは、USプレイングカード社製の『バイシクル(Bicycle)』や『タリホー(Tally-Ho)』です。それらの銘柄で、赤と青の2組を揃えると良いでしょう。
 これらのトランプには2種類のサイズがあり、幅の広い『ポーカーサイズ』と、幅の狭い『ブリッジサイズ』があります。マジックに使うのは『ポーカーサイズ』が一般的です。

日本でよく使われているトランプは、プラスティック製でブリッジサイズです。
紙製のバイシクルの、ポーカーサイズのトランプをはじめて扱ったときには、使いにくいように感じることもあるでしょう。

しかしマジック界では、1970年代から、世界的にポーカーサイズを使うのが一般的となっています。
大きなサイズで慣れていれば、小さなサイズでも楽に演じられるというのがその理由です。

本書で解説するマジックは、カードの品質に関わらず演じることができるものばかりですが、ぜひ、この機会に、そういったマジシャンが愛用する銘柄を使ってみてください。
マジックが上達するための最も簡単な秘訣は、きちんとした道具を使うことです。
紙製のトランプは、プラスティック製と比べて、とても繊細です。
ポーカーをしたり、ババ抜きをしたり、七並べをしたりすると、あっという間に傷んでしまいます。

マジック用のトランプはマジック専用として取り扱い、ゲームには使用しないようにしましょう。


テーブルマット
 カードマジックを上手に演じるためには、カードマジック用のテーブルマットが必要です。
 固いテーブルの上ではなく、柔らかい座布団の上でもなく、適切なクッション性のあるテーブルマットの上だからこそ、鮮やかなカードさばきができるようになります。
 ネットで「クロースアップマット」などで検索して探すと良いでしょう。

本書の中の演目のために必須というわけではありませんが、上達のための近道になります。
安いものでよいので、ぜひ買ってみてください。
マットがあれば便利だという実感を掴むことが大切です。


チャレンジ心

 マジックを演じるためには、道具よりも何よりも、やってみようという心が必要です。

 本書以外でも、探せば探すほどたくさんのマジック本、マジックDVD、マジックYouTube動画が見つかることでしょう。
 そして、知れば知るほど、演じることが難しいと思うようになってしまうかもしれません。

 本書は、そんな人でも取り掛かりやすい構成にしています。
 まずは、第1章の『レイジーマジシャン』をやってみてください。
 人前で演じなくても結構です。
 手順のとおりにやってみて、自分自身で不思議さを感じてみてください。
 不思議だと感じる心もまた、チャレンジ心と同じように、マジックを続けて行く上で大きな原動力となることでしょう。

 不思議で楽しいから、マジックは続けて行けるのです。

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