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いつの時も...ねこ②

ねこは限りなく野生であり、
森に住み、穴ぐらが寝床。
とても素早く、
そして隠れるのがべらぼうにうまい。



その足あとを見つめる男は、
不思議にいやな気分ではなかった。

オオカミの足あとに似ているが、少し違う。
なにより怖くない
へんてこに丸い豆のような足あと。

オオカミよりは軽いはず。
オオカミと違って爪が無いのか?

男はその足あとが気に入ったようで、
周りを切り取って、首飾りとした。


おさまりが良い。



丸い形に切り抜かれた首飾りを付け生活するようになり2週間が過ぎた。


縄文人の男が、土を掘りに森の中へ入ってしばらくすると、段差になった地面に穴が開いた場所を見つけた。
すると、小さなその穴から2個の光が出たので、縄文人は伏せた。



しゃがんだ目線と同じくらいで、その穴から顔を出した者と目が合った。
あちらはどうやらすでに男に気がついていたようだった


穴の大きさそのまま、目いっぱいの顔が出て、毛におおわれたそれは、
顔の幅ほとんどの大きな耳を持ち、上に長い。


申し訳なさ程度の小さな点が、それの目だった。
男は、少し観察したが、
それの方が早く目をそらし、そのまま後ずさりして穴に戻り始めた。

その者の小さな前足を見た時、男はふと思った。
この小さい者が、この首飾りの足の主かも知れない。

そう思ったので、
男は、首飾りに付けられた足あとをそのものに見せた。

ねんどに含まれたわずかな鉱物が、
森の木漏れ日にきらめき、
そのものは、もれなく反応して、止まった。

つづく...


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