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ベトナムの公立病院と私立病院を同じ日にみて日本に生まれた強みを考えた。

ベトナムハノイに降り立ち、同じ日に私立病院のTam Anh Generarl Hospitalと公立病院のVietDuc University Hospitalを見ると日本が長寿国となり得た理由を肌で感じる事ができる。

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9年前にベトナム人のオーナーがクリニックとして開業したTam Anh病院 https://tamanhhospital.vn/gioi-thieu/ は3年前には病院として、そして現在建設中の新棟が完成すれば500床となるハノイでも勢いのあるprivate hospitalだ。総合的な医療提供はもちろんのこと現在は不妊治療、新生児医療、泌尿器疾患への対応が評判で地元の中流層を対象に事業を拡大している。

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明るく快適な院内はガラス張りになっていることもありとても広く感じ、談笑しながらゆっくり歩く患者や家族とすれ違う。外国アレルギーがない日本人であれば、ここなら何かあっても受診してもいいかなと思える施設だと思う。

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病室も広く清潔で看護師が移動介助や身支度を手伝ってくれる。いわゆる日本でいう当たり前のことだが、ベトナムではそれが当たり前ではない事が後ほどわかることになる。

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乾季で湿度がないにも関わらず爆発した僕の髪型をそっとしておりてくれる優しい2人の経営者と今のベトナム医療の課題について話し合う。恐らく他国の医療事情にも精通している2人の意見としては医療機関間の情報共有ができないこと、ICT導入に時間がかかっていることなどがあがった。電子カルテも数年前と比べるとかなり利用率が上がり情報が電子化されたが、まだまだ医療機関同士のやりとりは紙ベースとなり情報共有が十分になされないことのデメリットを強く感じるとのこと。まさに今の日本が数年以上前から課題にしながらいまだに解決でいない課題である。中国揚子江デルタで電子カルテが一気に統一されたことを考えると同じ共産国であるベトナムの方が日本よりこの課題を解決するのは早いのかもしれない。

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お待ちかねの公立 VietDuc病院について。昭和、平成、令和の三時代を生き抜いている世代にとってベトナムのベトちゃんドクちゃんが記憶の片隅にある方も多いと思うがその名を冠したベトドク病院である。1500床を要するこの総合病院はベトナム北部の基幹病院であり、毎日約300台の救急搬送受け入れ、年間6万件の手術をこなし受診を断らないこの地域最後の砦となっている。上の写真は病院に向かう途中の道で一服する人たちではなく、患者さんの家族である。先ほどの私立病院では介護フルサービスであったが、ここベトナムでは入院中も介護や身支度、検査移動など医療サービス以外の対応は全て家族の仕事なのだ。むしろ家族付き添いがなければ入院することも難しい。

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病棟へあがってみよう。ここの病院では病室はもちろんあるが、廊下も入院施設である。廊下の両脇に幅の狭いストレッチャーに所狭しと縦列入院しているのである。廊下でも入院費は1日1500円これが多床室になるとランクに応じて5000円程度に、2人部屋だと12000円〜となっていく。夏はかなり蒸し暑く外傷患者がシャワーなども浴びれずいることを思うと衛生状況としても決して恵まれてはいない。

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シーツなども家族が取り替えているのだろうか。民宿のように決められたところに家族が古いシーツを返しに来ている。食事提供も家族が持参するのが当たり前だったが、ビジネスとしての機能重視の気運もあり最近では病院内での食事サービスを推すようになってきているらしい。

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電子カルテは導入されているものの使うのは医師のみで、コメディカルは紙ベースでこのような封筒に保管されている。さらにオーダリングシステムや画像システムは別ソフト運用で情報共有や院内協働に関しての効率はよくはない。

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外来に関しては風通しのよい屋外に受付がありみんな朝5時前から並ぶとのこと。遠方の方は泊まり込みで順番を待つにも関わらず受信者が多いことから診察を受けられるのは午後以降になることも珍しくないとのこと。

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数年前と比べて変わってきたと感じたのは、公立病院でも採算をしっかり取る意識が強くなってきたこと。512列CTを導入し差別化を図ったり、有名な教授外来を設けたり、お金を払えば待ち時間を短縮できるサービスあるとのこと。この辺りは、ビジネスとしてもしっかり自立している医療機関に関しては国からの補助もその経営状況や施設ランクにより優遇があるようで、国の社会保障に対する姿勢が垣間見える。

所感

このように皆保険がないベトナムではお金を払えば良い医療が受けられるわけだが、だからと言って公的病院に入院している人がラグジュアリーなpライベート病院に入院している人を妬んでいるようには見えない。あるかもしれないけど。 ただ医療環境は大きく異なり、場合によっては助かる命を失ってしまったり、余計な合併症をお金を払えば避けられるのかもしれない。

日本でどの病院に行っても最低限のどころかベトナムのプライベート病院にも負けない医療サービスを低価格で受けられることは、皆保険制度の良し悪しはさておき恵まれているとしか言いようがない。このことは世界的に見ても生きていく上で大きなメリットであり、この恵まれた環境を生かし十分に人生を謳歌するべきだと個人的には感じた。朝起きて新しい1日を当たり前のように迎えらる。その当たり前の環境に感謝し、今日も自分らしく1日の第一歩を踏み出したい。

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