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大腸菌は夢をみるか。

街が生命体なら僕は腸内フローラの1個の菌。

数年前にアメリカ西海岸に腸内細菌叢移植の勉強をしに行ったのをきっかけに腸内細菌叢の可能性に注目するようになった。医師がこんなことを言うとちゃんとエビデンスがあるような話に聞こえてしまうだろうが、どうか僕が医師だなんて思わないでほしい。夢の中で子供の頃から大切にしていたクマのぬいぐるみが、突然話出した時のストーリー程度で受け取ってほしい。

昔から善玉菌、悪玉菌なんて腸内細菌はちやほやされてきたが、次世代DNAシークエンサーの登場により腸内フローラと体の関係性がどんどん解明されれている。疾患にとどまらず、肥満や精神状態、スポーツ選手のその日のパフォーマンスにも関係しているなど日々研究が重ねられている。病院で西洋医学だけ見ているともっともらしい話に聞こえるが、マクロビ、ファスティング、アーユールヴェーダなど食事を介して体の調子を整える類は、この腸内フローラと大きく関係していると予想する。さらに正確に言えば、予想しながらそれでも不健康そうな天下一品のこってりスープを飲み干している。人類は自分たちの生命維持機能の大部分を1000種類以上とも言われる腸内フローラにアウトソースし共存している状態とも言える。もし優秀な腸内フローラがほしい方はサンフランシスコに行けば糞便バンクから新鮮な冷凍う○こが手に入るのでトライしてみたらいい。

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今回は腸内フローラの話をアピールしたいわけではない。地域にとって自分がやっていることはなんなのかと言う話である。現在掛川市で中小病院からの在宅医療サービス立ち上げに奔走している。どんなアウトカムを目標にしたらいいのか難しいところではあるが、ヘルスケアだけでなく地域の暮らしや産業などいろんなものを巻き込んで地域の盛り上がりに貢献できると嬉しい。自分たちが楽しみながら(利益も出しながら)地域も盛り上がっていく。もし街が生命体なら、僕は腸内フローラ1000兆個のうちの1個なのではないだろうか。街が僕にヘルスケア部門の一部をアウトソースしながら共存していく。もし僕は自分のことだけを考えて行動すれば街は下痢をしてぼくらは抗生剤で一掃されてしまうかもしれない。僕は周りの腸内フローラと協働しながら街全体の生命力を向上させることで自分も存命していく。腸内細菌を持つ生命体が繁栄しているのだから、この考え方はなんとなくうまくいくような気もする。

くだらないクマのぬいぐるみの話を聞いてもらって申し訳なく思うが、最後に一つ。

大腸菌(腸内フローラ1つ1つ)は、僕のように夢を見ながら僕のために働きかけてくれているのだろうか。自分の大腸菌が夢を描きながら僕と共存していると思うとちょっと自分の腸内フローラを愛しく思い、まるで妊婦がお腹をさするように自分のお腹をさすってしまう。そして先日、自分の欲望に任せて天下一品のこってりスープを飲み干し、その直後にお腹が緩くなった日のことを申し訳なく思うのである。

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