望月優大
昨日10月9日の夕方に行われた菅総理への約30分間の「グループインタビュー」の全文を書き起こししました。 このインタビューは部屋の奥に菅総理が座り、その周りに毎日・朝日・時事の3社の記者(各1名)が座った形で質問をし、その様子を同じ室内の離れたところで内閣記者会常勤幹事社の記者が傍聴し、さらに内閣記者会常勤幹事社以外の記者のうち抽選に当たった人が別室の記者会見室で傍聴する(音声のみ、映像なし)という形式で行われたようです(部屋の様子)。 このインタビューの内容を知ったのは
新型コロナウイルスの感染拡大に伴って日本で暮らすすべての人の暮らしに大きな影響が出ています。様々な国での経緯からわかってきたことは、危機の前から社会の中にあった所得や生活、権利の格差が、危機の中でさらに増幅されて現れているという現実です。リスクは誰に対しても平等ではなく、「どれだけ持ち堪えられるか」は元々持っていたものの差に大きな影響を受けるということです。 日本はここしばらくの間、様々な政策や仕組みを作ったり利用したりしながら、低賃金の外国人労働者の活用を大きく進めてきま
新型コロナウイルスの影響で生活や経済の危機が日増しに深刻化する中、これまで長年路上生活者や生活困窮者の支援に携わられ、今まさに現場の支援や政策提言に奔走されている稲葉剛さんからお話を伺うことができました。 こちらの記事は後編ですが、後編単独でも読める内容になっています。前後編どちらから読んでいただいたても大丈夫ですので、ぜひ合わせてお読みください。 前編記事:「危機に弱い社会」を作ってきた。新型コロナと新自由主義の帰結。稲葉剛さんインタビュー① 後編ではネットカフェの休
4月7日に7都府県を対象とした緊急事態宣言が発出され、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐことと引き換えに経済や暮らしに甚大な影響が出ています。止むを得ずの臨時休業で厳しい経済状況に追い込まれる人もいれば、ネットカフェの閉店に伴って生活の基盤そのものを失う人まで出てきています。 こうした現在の深刻な状況をどう理解すればいいのか。路上生活者や生活困窮者の支援に長年携わられ、特に住まいの貧困(ハウジングプア)や居住福祉の観点から積極的に発言されてきた稲葉剛さんにお話を伺いました。
新型コロナウイルスの感染が拡大し、感染症そのものによる被害だけでなく、経済や暮らしの危機も深刻化しています。実際の支援の現場は一体どんな状況で、路上や生活困窮者の相談からどんな変化の兆しが見えるのか。東京で貧困や生活困窮者支援に取り組むNPO自立生活センター・もやいの代表で友人でもある大西連さんから話を聞いたので、彼の許可をいただいてその内容を紹介します。 なお、内容は4月1日の15時ごろにリモートの環境で話したときのものです。記事中の写真はもやいから提供いただきました。ま
思ったことを少しだけ書いておきたい。ここ最近の状況の中で、「今は緊急事態なのだから政府を批判するな」という類の言葉をよく目にすることについてだ。 あるいはそうした言葉の一つのバリエーションでもあると思うのだが、例えば政府による一斉休校の要請に絡めて、誰々は「政府が何もしなくても文句を言うし、政府が何かしても文句を言う」、そんな皮肉と嘲笑と憤りの入り混じった言葉を目にすることについてでもある。 そうした言葉の数々の中で、例えばこちらの記事でも、今回の事象に関する様々な情報が
参院選が終わった。自民党と公明党の連立与党が124議席中の71議席(全議席の57.26%)を獲得した。そしてそれ以外の党や候補者(≒野党側)は53議席(全議席の42.74%)を獲得した。 さて、参院選は都道府県単位の「選挙区」74議席分と、全国一つの「比例代表」50議席分の組み合わせで行われている。つまり、投票者は1票ではなく2票を投じる仕組みだ。 今回の投票率は48.80%ととても低かったが(有権者≒日本国籍の大人は1.06億人弱いるのでその半分も行っていないということ
パリで土曜日に行われたイエローベストのデモと警察との衝突はかなり暴力化し、逮捕者200人超、6万人もの警察と国家憲兵隊が出動したと言われている。自分はその真っ只中にいた。 最近の動向と同じく穏健な形で終わるかと思って見に行ったのだが、キリスト教のイースターに重なったこと、また大火災に遭ったノートルダムへの大富豪らによる高額寄付に対する怒りが高まっていたこともあり、今回のデモは再び激しさを増した。 警察側の暴力性はかなりのものだった。 催涙ガスを散布するだけでなく、スタン
たかがツイッターのリプライ。普段は基本的にスルーしています。自分に対する中傷もミュートすれば見えなくなる。ただ、今回自分の投稿あてに飛んできたとあるリプライのことは、どうしても見過ごすことができませんでした。 なぜか。そのリプライが外国人やその子どもたちを「奴隷」と扱うことが当然だという内容だったからです。しかもそれは学習塾を経営する人(つまり日常的に子どもと接しているだろう人)からのツイートでした。 目を疑いました。これはミュートやブロックという対応ではダメだ、自分が見
外国人労働者の受け入れ拡大が始まる今日だからこそ今日、2019年4月1日に改正入管法が施行されます。「特定技能」の新設によって向こう5年間で新たに最大34.5万人の外国人労働者の新規受け入れが見込まれています。 ですが、このタイミングだからこそあえて言いたいことは、特定技能だけを見ていても日本の移民政策、日本の移民問題の全体像を理解することは不可能だということです。 ニュースは常に全体ではなく一部を報道します。技能実習生の話、留学生の話、収容の話、子どもたちの話などなど。
ツイッターやフェイスブックなどのSNSで様々な主張が先鋭化しがちであることについて考えていた。政治社会的な分極化(polarization)のテーマと言い換えてもいいかもしれない。 良く知られていることだが、SNSで他者から何らかのリアクション(いいねやリツイート、シェアや新規のフォローなど)をもらうことには心理的な報酬がある。心理的と言ってもその報酬には避けがたい身体性があり、身体が喜んでしまうと言ってもいい。 したがって、意識してか、無意識のうちか、SNSのユーザーは
あの日はたしか夜の11時ごろだったと思う。飲み会からの帰り道、私は地下鉄に乗った。 空いている席を見つけて腰掛ける。すると、向かい側の座席に見覚えのある男性が座っていた。「知り合い」というわけではない。つまり、メディアを通して見たことがある人物だったのだ。 彼はかつてとある報道によって強烈な社会的制裁に晒された人だった。警察から逮捕されたわけではない。けれど、スキャンダルの重みに耐えかねた彼は、社会の表舞台からすぐに姿を消してしまった。その彼が、偶然にも私のすぐ目の前の座
知る人ぞ知るスタジオジブリの月刊誌『熱風』。今月号の特集は「移民大国日本」。まさかのことですが、7頁の原稿を寄稿させていただきました。 原稿のタイトルは「移民という亡霊」です。 私の名前がトトロと「ののちゃん」作者のいしいひさいちさんに挟まれております。本当に光栄なことです。 アップも記念に。 こちらも記念に。 『熱風』を主題にしたこちらのインタビュー記事。公開当時にかなりの勢いで読まれていましたが、とても面白いのでぜひどうぞ。 『熱風』はこちらのリストにある書店
フリーランスだから自由なわけではない。フリーランスが自由であるための条件の1つは「特定顧客の奴隷でないこと」。顧客層の潜在的な広がりがないと少数顧客に従属し、いつの間にか忖度し、挙句の果てにサービスレベルを落とすことになる。フリーランスの自由にとって広義の広報・営業力は根本的。 フリーランスが自由であるためのまた別の条件は「固定費の奴隷でないこと」。固定費のマイナスを埋め合わせるのに必要な金額を実力より上げすぎると「仕事を選べない状態」に陥る。つまり「本当はやりたくない仕事
NewsPicksが日経新聞に「さよなら、おっさん。」というキャンペーン広告を出したそうです。これですね。 さよなら、おっさん。 あー、またか。みたいな、困った出来事多いですよね、最近。 それ、だいたいの場合、「おっさん」のせいです。 と言ってもそれは、誰か個人の話ではなく、年齢とか性別の話でもなく。 それはつまり、この国の、凝り固まった価値観やルールのことです。 世の中の変化に対して、見て見ぬふりをする。 能書きを並べて、言い訳ばかりする。 試そうともせず、すぐに「でき
この週末、仙台に行ってきました。 東北の子どもたちの学びを支える公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン(CFC)仙台事務局の皆さんに会いに行くためです。 CFCは私も昨年参加したスタディクーポン・イニシアティブの中心団体で、共同代表の今井悠介さんとはこれまで何度も現在、そしてこれからの教育をめぐる様々な論点について議論を積み重ねてきました。 彼らには2011年の東日本大震災をきっかけに、これまで7年以上にわたって、東北や関西、熊本で、震災で被災した子どもたちや貧困家庭