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不死身のビーナス〜拝啓岡山湯郷Belle様〜

あれはかれこれ6年ほど前の話。ちょうど色んな揉め事があったあの頃、初めて岡山湯郷BelleというチームのスタジアムDJをさせていただいた。
事情も知らない、知りたくない、そんな気持ちをいっぱい頭に詰め込んだ状態で美作ラグビーサッカー場でアナウンスしたことを記憶しています。

ご縁。

実はこの「美作ラグビーサッカー場」は僕にとって忘れることのできない「初体験」をした場所でもあります。初めてサッカー専用スタジアムでJリーグを当時戦っていたプロの試合を観戦し、出場していた選手にサインをもらった場所だからです。
憧れを身近に感じた場所。
思い起こせば1993年に、当時Jリーグでの出場機会がなかった選手たちが戦った「「Jサテライトリーグ」が美作であると聞き、父親に無理を言って連れて行ってもらった横浜フリューゲルスとセレッソ大阪の試合。初めてサインをもらった選手は、当時学校で背の順一番前だった自分が、小さくてもプロでサッカーできるんだ!!って勇気をもらっていた選手、現環太平洋大学サッカー部監督の桂秀樹さんでした。桂さんが160cm、エスパルスの向島さんが161cm。サッカーをやり始めた背の小さい自分は本当にたくさんの勇気をもらいました。

そんな大事な場所「美作ラグビーサッカー場」をホームスタジアムとして、戦っていた岡山湯郷Belle。
僕が担当し始めてから、めちゃくちゃ勝ってる記憶はありません。完勝!!と思った試合も少なかったです。正直。
どちらかというと選手たちの悔し涙や、スタッフの皆さんの苦悩をたくさん見てきた印象が強いです。

このチームで、自分が仕事をさせていただけるやり甲斐は、地域の方の笑顔だったり、街をあげてサポートしようという気持ちだったり、たくさんの関わっている方の温かさだったり。そんな想いを声に乗せてさせていただけるところだったりします。
チームは、今も苦しんでいます。
それでもチームを声でサポートさせていただける、信頼してもらえてる今を大切にしていきたいと思ってます。

現場を支える人

2022シーズンは、残念ながらホームで一勝も出来ませんでした。今シーズンは序盤はバスケットボールのお仕事の関係で3試合留守をさせていただき、別の方にスタジアムDJをお願いしなければいけませんでした

ユニフォームが窮屈ですみませんでした笑

岡山湯郷Belleは、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、今季からフロントスタッフが去年とは全く違う体制になり、新たに多くのスタッフの方々がチームに入ってきて、もう一度この湯郷を美作を地域に根差した活動から盛り上げていこうとなさっています。
昔の良くないイメージ?、みたいな物をお持ちの方には是非今のスタッフの方々の努力を見てもらいたいと思うほど真剣に真面目に考えていらっしゃいます。
ここで挙げたら怒られるかもしれませんが、先日の津山でのホームゲーム。750人以上のお客様がホームゲームに来てくださいました。
運営担当の小林さんは、若くして湯郷Belleにやってきて、「スタジアムが満員になってもらえるように頑張らないといけないし、そういう景色を見たい」という熱意を持ってやってこられて、寝る間も惜しんで頑張って頑張って、マルチタスクをこなしながらも大事なことは忘れない人です。
だいぶ涙腺が弱いのもあるかもしれませんが(笑)、来場者数発表の時には、ピッチで顔を覆って涙を拭うのが必死な様子でした。あの姿には、僕も手が震えグッとくるものがありました。
スタッフでホームゲームを支えていらっしゃる久保さんは、僕が湯郷Belleに関わらせていただいた頃広報をなさっていた方で、毎試合毎試合お客さんもスタッフもボランティアの方々もそして選手たちも、みんなが気持ち良く試合に臨めるように、そして何より湯郷Belleと地域を盛り上げるために、細やかな配慮をしてくださいます。
そういう熱量を持ったスタッフの皆さんの頑張りがあって、ホームゲームを一緒にさせていただけることを誇りとし、やりがいを感じています。
本当素晴らしいです。ありがとうございます。

これから

これからのこと。
来季なでしこリーグに残ることが、まず目の前に置かれている現実ではありますが、残ってもらわないと困ります。
長く岡山の女子サッカーを牽引してきた存在として、このクラブの存在意義は大きいと思います。
支えてくださるスポンサー様や地域の方々の優しさや想いを強く感じながら、これからも強くしたたかに上がっていって欲しい。そしてそこに自分がいて、また満員のスタジアムで喋りたい。

これからのこと、未来のことは誰にもわからないけど、いつかまた強い湯郷Belleを眼前に、声で支える場所にいたいなと思っています。
今季ホームゲームはもうありませんが、また来季笑ってみんなに会えますように。

今シーズンありがとうございました。

岸本


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