Hiroki Yoshida
noteから「行政をハックしよう」に至るまで
新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。
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noteから「行政をハックしよう」に至るまで

Hiroki Yoshida

2021年10月30日「行政をハックしよう」を発刊します。今回ぎょうせい社から発刊しますが、そこまでには実は長い道のりがあったので、自分の整理も含めて書いてみようと思います。

行政デジタル化をもっと浸透させるための「本」

2017年に留学から経産省に戻ってきて、デジタルガバメントを実現するんだと2年くらいがむしゃらに取り組む中で、「これはもっと多くの人にデジタルガバメントのコンセプトや考え方を伝えないと世の中変わらない」という思いが非常に強くなっていきました。

歴史においてもマルチン・ルターによる聖書の印刷をはじめ、「考えをある程度の塊として伝え、広めるためには本を書くのが一番だ!」と思っていました。2019年くらいから本を出したい、と考えていたわけです。

幸い自分の所属する情報プロジェクト室にいたCIO補佐官の1人は執筆家だったので相談して出版社を紹介してもらったり、経産省で行っていた研究会の中で知り合った編集者の方などに話を伺ったりしていました。

当時はまだコロナウイルスの感染拡大も進んでいない中で、自分としては仕事を通じてその意義を主張していましたが、「行政のデジタル化」というテーマは社会ではまだニッチなものとして捉えられていました。結果としてその当時は発刊には至りませんでした。

まずはオンラインで自分の考えを示してみる。

その中で相談した出版社の方からアドバイスいただいたのは、「まずはオンラインで記事を書いてみてはどうですか?」というものでした。その結果として書いたのが以下のダイアモンドの記事になります。

こちらの記事もそれなりに読んでもらったようで、その後関係者からの反響はありました。仕事の打ち合せなどでも「読んだよ」とお声かけしてもらったのを覚えています。

でも、自分としてはここで書いたことに止まらず、もっと伝えたいと思うことはたくさんあったわけです。でもそれをまとめて伝える必要はないかもしれない、自分のペースで伝えていけばいいのかもしれない、というのがこの記事を書いた時の気づきだった気がします。

noteでその時、その時の考えを共有・結晶化する

自分のペースで、自分の考えを伝える、という意味では、日記的なnoteは良い媒体でした。多くのIT企業が広報戦略として利用していたり、おそらく自分と同じように考えを広げたい人が利用していると感じ、自分らしく発信できると思いました。

その中で最初に上げたnoteは以下でした。本記事では現在のデジタルテクノロジーでどんな行政サービスになってほしいかというビジョン、願いを自分なりにその時の思いに基づいて書きました。「行政をハックしよう」のChapter9はこの記事をベースにしています。

ここからnoteで、イベントでの学びや、デジタルガバメントに関するトピックを定期的に上げていくようになり、それなりに反響をいただきました。自分の他の関心事についてもポストしているのですが、デジタルガバメント関連の記事の方が「スキ」がつく割合は高くなっています。

noteを書く中で気がついたのは、「書く」という作業は人に伝えるためであると同時に、自分の思考を結晶化するためのものでもあるということです。

人に伝えようとすることは自分の中でその伝える内容が整理されていないとできません。自分の中で曖昧なことは伝えにくいのです。
意図的に読み手の様々な解釈を楽しんでもらう小説などにおいては、あえて叙情的な表現を行う場合もありますが、そうでない場合には論理がなければ内容が伝わりません。「考えを書く」ということは、「論理を作る」こととほぼ同じです。これは繰り返しnoteを書く中で思ったことです。文章を書くのも筋トレ同様、反復が重要であり、自分の文章の論理の粗さなども気づくようになります。

また、書くことを通じて自分の中で時間と共に去っていく、風化していく思考を、文章によって形に留めることができます。少なくともそれは自分にとっては価値のあるものです。書いたものを推敲するために自分で何度も読み直すことで、自分の中にその文章の考え方が染み込んでいく気がします。これは自分が作った論理を自分にインストールする作業にも似ています。こうして思考が自分の中で結晶化していくわけです。

「思考の結晶」を集めて形にしたものが「本」である

引き続きnoteを書き続ける中で、フォロワーも3桁まで増えました。そして昨年12月、ぎょうせいのイベントでグラファーの石井さんと対談した際に「本書いてみたらどうですか」と言ってもらい、それがきっかけで本を書くことになりました。おそらくnote で自分の考えを書いていなければ、石井さんのこの言葉もなかったのではと思います。

自分が実現したいと思ったことは諦めずに問題意識を持ち続けておくとつながるものです。お正月休みに原稿を書き始めましたが、その際の骨格となったのはそれまで書いてきたnoteの記事でした。noteの記事は自分の考えの結晶であり、改めて並べてみることで自分が考えていたことを構造化できることに気づきました。

冒頭で述べた通り、思考を塊として伝えることが本の意味だと思っています。本は脳というOSにとってのソフトウェアであり、本を読むということはそのソフトウェアをインストールすることだと思います。またnoteを書いてきたことが、本を書く上でもトレーニングになっていた気がします。

コロナウイルスの感染拡大の中で自身も多くのデジタル化のプロジェクトに様々アサインされる中で、行政組織のあり方に起因した困難にぶち当たり、自分の考えをより多くの人に伝えたいという思いは強くなりました。外部環境としても行政のデジタル化が政府においても重要アジェンダとなる中で、デジタル庁が発足、自分を取り巻く環境は激変しつつも、なんとか「行政をハックしよう」が形になりました。

内容については色んな意見があると思いますが、本書が議論のきっかけになり、自分にとっても更なる学びにつながることを期待しています。本書は私という行政官の目線で行政のデジタル化を書いたものです。そこに至る背景には、他の行政官の方にも共感できる部分があるのではないかと思っています。ぜひ関心を持った方はお手に取っていただければ幸いです。


以下のマガジンは自分のデジタルガバメント関連の記事をまとめたものです。こちらを読んでから本を手に取ると、noteの記事が本書にどのように活かされているかもわかるかもしれません。関心あればご覧ください。


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Hiroki Yoshida
行政のデジタルトランスフォーメーションに従事。 東大公共政策大学院、シンガポール国立大学MBA,MPM、ケネディスクールフェロー修了。 「行政をハックしよう」発刊 https://www.amazon.co.jp/dp/4324110263