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「トランスジェンダーポリス」第一話

第一話 「トランスジェンダーの刑事」
東京都千代田区にある鶴亀署刑事課強行犯係に新人刑事が赴任してきた
自己紹介が始まる
胡桃賢造刑事課長「今日から強行犯係に配属になった栗本栗乃輔くんだ
皆宜しく頼むぞ。栗本、自己紹介してくれ」50代男性、堅物の頑固者
栗本「はい、本日付で強行犯係に赴任した栗本栗乃輔です。皆さんご指導
ご鞭撻のほど宜しくお願い致します」
蜜柑真理子係長「おっ来たね、期待の新人」30代女性、強行犯係のボス 栗本の良き上司、理解者
栗本「煽てないでください。係長」照れた感じで微笑む
柘榴信一「おおっ、なかなかいい面構えだな、宜しく柘榴だ」50代ベテラン刑事、たたき上げで昭和感が漂う 落としのザクさんと言われ取り調べで自供に持ち込むのが得意
栗本「ありがとうございます。よろしくお願いします」顔が引き締まる
柿ノ上 誠「宜しく、俺がバディーの柿ノ上だ。何でも聞いてくれ」30代
男性、栗本の相棒、熱血漢で男気があるが、おっちょこちょいなところも
ある。射撃の名手、後輩の野苺刑事に気がある様子
栗本「柿ノ上先輩、ご指導お願いします」深々とお辞儀をする
西瓜 太「僕、西瓜と言います。柔道でオリンピックに出場しました」30代男性、気が優しくて力持ち、巨漢で柔道でオリンピックに出場した
銅メダリスト 
栗本「あっ知ってます。銅メダルを取ったんですよね。凄いですね」
目を輝かせる
柿ノ上「金以外は、銅でもいいメダル、どうでもいいメダルだよ」
西瓜「出た、柿ノ上のオジギャグ」
柿ノ上「誰がオジサンだよー、同期のくせに」
蜜柑係長「はい!そこ喧嘩しない」指をさし檄を飛ばす
栗本「二人とも掛け合いが凄いですねー」二人のやり取りに感銘した様子
野苺ミルク「まだ私がいます。新米の野苺です。栗本先輩、イケメンですねーよろしくです」20代、新米刑事、ゆとり世代の天然ちゃん、ITに
長けている
栗本「いやいや、イケメンだなんて、ありがとう。よろしくね」また照れた感じで微笑む
柿ノ上「なに、ニヤニヤしてやがる。社交辞令に決まってるだろー」
ツッコミを入れる
野苺「まじですよー、超イケメンじゃないですかープンプン」真顔で少し
怒り気味
柿ノ上「ミルクちゃん、何怒ってんの?」頭を撫でようとする
蜜柑係長「はい!そこセクハラ、誰か逮捕して」指をさして檄を飛ばす
栗本の心の声「僕がイケメンか?僕はイケメンなんかじゃない、だって
僕は・・・」意味深な顔をする 


瓜田芸能事務所
フルーティー娘がダンスのレッスンを行っている 
ジョニー瓜田社長「明日は、鶴亀ホールでライブがあるわよ。みんな
頑張るのよー」40代、Xジェンダー(体は男性、どちらの性別でもないと
認識)社長兼マネージャー
無花果麗華「ちょと、ミュージックストップ!」40代女性、フルーティー娘の専属振付師
無花果「どうしたのピーチ、全然気が入ってないじゃないの」心配そうな
顔をする
桃園ピーチ「・・・」無言で下を向くフルーティー娘のセンター
青森リンゴ「会場が小さいからやる気出ないんじゃないのピーチ?」迷惑そうな顔で睨む、フルーティー娘のリーダー 勝気で負けず嫌い 
富良野メロン「違うよねーピーチ。アイツのせいだよねー」のんびり屋の
天然娘
ピーチの肩を抱きなだめる
瓜田社長「アイツって誰よー。うちの事務所、恋愛禁止でしょー」怒り出す
メロン「社長、違うよー、アイツってピーチのストーカーですよー」
リンゴ「あーアイツね、でもアイツ、毎回イベント来るし、CD売り上げにも協力してる。お得意さんじゃん」
瓜田社長「そうなの?それじゃピーチ、少しぐらい我慢しなさい
売れる為よー」
無花果「でも、ストーカーはエスカレートして、いつ犯罪に巻き込まれるかわかりませんよ。ここは、警察に相談に行った方がいいと思いますが?」
瓜田社長「そうねーフルーティー娘のセンターがストーカーに刺されでも
したら、今までの苦労が水の泡よー」
ピーチ心の声「この、おかま野郎、あたしの心配より、仕事の心配かよー」ムッとする
無花果「明日、私と警察に行きましょう。気持ちも落ち着くと思うわ」
ピーチ「わかりました。無花果先生お願いします」少し表情が明るくなる


翌日、鶴亀署に桃園ピーチと無花果先生が訪れる
無花果「すいません、ストーカー相談は、どの部署に行けばいいですか?」
受付「はい、それでしたら、二階の生活安全課に行ってください」
無花果「ありがとうございます。ピーチちゃん行こう」二階に上がる
ピーチ「でも、ちゃんと聞いてくれるかな?警察って事件が起きないと
動かないって聞きますよ」
無花果「まあ、一応相談してみよう。注意くらいしてくれるんじゃない」
生活安全課に着き相談を始める、中年男性のやる気がなさそうな刑事と
若い女性刑事
中年刑事「地下アイドルねー、その人お客さんだし、お得意さん
なんでしょ」
無花果「でも、かなり過激で、少し気味が悪いみたいなんです」
中年刑事「でっ、お嬢ちゃん具体的に、何されたの?」
無花果「ピーチちゃん、どうなの?」
ピーチ「別に、気味悪いだけ、目つきとか行っちゃってる感じ」
中年刑事「ははは、それだけじゃーストーカー行為とは言えないな」
無花果「何とか、注意だけでもしていただけませんか?」
中年刑事「無理無理、警察はそんなに暇じゃないんでね」
ピーチ「先生、帰ろーやっぱ無理でしょー。無能な警察じゃーしょうが
ないよー」
中年刑事「なんだとーこのアマ!警察舐めてんのかー」怒り出す
そこに、生活安全課に用事で来ていた強行犯係の栗本刑事と野苺刑事が
止めに入る
栗本「どうしたんですか?女の子相手に大声出して」中年刑事と
ピーチの中に割って入る
野苺「あっ、フルーティー娘のピーチちゃん」ピーチの大ファンで
興奮している
中年刑事「なんだ、強行犯係の新米コンビが、この女が警察舐めてんだよ」怒りが収まらない様子
栗本「落ち着いてください。ここは警察署内ですよ。」なだめるが
少し怒った様子
栗本が桃園ピーチを見た瞬間 心の声「うん?なんだこの違和感?
何か感じる?」
ピーチ「先生、行こう!警察に来た、あたしたちがバカだったわ」
無花果の腕を引っ張る
野苺「ピーチちゃん、サイン頂戴」警察手帳を指しだす
ピーチ「あんた、アホガール?この状況で・・・」警察署を飛び出す二人


強行犯係に戻る二人
野苺「残念だったなー、ピーチちゃんのサイン貰いそこなった」
栗本「野苺刑事、あの女性知ってるんですか?」
野苺「はい、地下アイドル、フルーティー娘のセンターです」
栗本「地下アイドル?生活安全課に相談に来たってことは?」パソコンで
検索する『カチャカチャカチャカチャ』
野苺「ストーカーの相談じゃないですか?」
栗本「そうだね。彼女、ストーカーに狙われているのかな?」SNSの書き込みを見る
野苺「フルーティー娘は、地下アイドルの中でもメジャーに近く、ファン
も多いです」
野苺「私、フルーティー娘の裏サイト知ってます」スマホで調べる
野苺「えっ、ヤバい!これ今日のフルーティー娘のイベントじゃない」
書き込みを見て驚く様子
栗本「うっ、この書き込み?」顔がこわばる
栗本「場所も管轄内だ。時間もないぞ」時計を見る
野苺「どうしよう、係長は会議だし。先輩たちは別件で本庁に行ってるし」
栗本「僕たちで行こう。係長にはラインをしておくよ」
野苺「わかりました。ピーチちゃんのピンチですもん。あっダジャレじゃ
ないですよ」
栗本「はは、柿ノ上先輩のオジギャグが感染してみたいですね」

野苺刑事のスマホ画面、裏サイトの書き込み
『鬼ヶ島の鬼@onigasima.no.oni 3時間
鬼が桃太郎にリベンジに行く。キビ団子が欲しい者集まれ
本日PM3時、場所、鶴亀ホール 』


鶴亀ホール イベント会場控え室 PM2時30分
瓜田社長「さあみんなー、頑張るのよー」気合を入れる
メロン「ピーチちゃん、警察どうだった?」心配顔
ピーチ「くそだった!警察なんて無能だから・・・」ムッとした顔
リンゴ「ピーチ、足引っ張るなよ」ツンとした顔
無花果「さあ皆、いつもの調子でいこ!平常心、平常心」叱咤激励をする
PM3時 舞台幕が開く『キャー、キャー』歓声が上がる
代表曲『フルーティージュース』を歌い始める
栗本刑事と野苺刑事が鶴亀ホールに到着する
栗本「よかった、間に合ったぞ。まだ何も起こってない」
野苺「どうします。犯人の顔もわからないですよ」
栗本「イベントを中止させよう」「僕は警備をするから、野苺刑事は
控え室に行って、社長にSNSの事を伝え、中止させてください」
野苺「了解しました。栗本刑事、気を付けてください」
控え室に向かう野苺刑事、舞台に残り警備をする栗本刑事
野苺「社長さん、SNSの書き込みにこのような内容のものがありました」「直ちにイベントを中止してください」スマホを見せ説得する
瓜田社長「無理無理無理、イベントを中止したらいくらの損失になると
思ってるの?」
無花果「社長、ストーカーの事実もありますし、あの子たちの身に
何かあったら大変ですよ」必死で止めようとする
瓜田社長「民間の警備員も配置してるし、あんたたちも警備して頂戴」
頑として聞かない
野苺刑事、携帯で栗本に報告する「栗本刑事、交渉失敗、警備に入ります」
栗本「了解、やはりSNSの書き込みだけじゃ、中止出来ないか?」
「もうすぐ、応援も来る警備に専念しよう」
舞台の最前列で警備する栗本と野苺、イベントも中盤に差し掛かった
栗本「んっ!アイツ・・・」舞台の最前列右端で、挙動不審の男を発見する
野苺「怪しいですね。あの目つき尋常じゃありません」
とっ次の瞬間、その男が刃物を出し舞台に上がろうとする
暴漢「てめー、ふざけやがって、このクソ野郎ー」ピーチに向かい
刃物を向ける
同時に、栗本も舞台に上がり、警棒を伸ばす『シャキーン』
ピーチの前に盾になって入り込む
ピーチ「あっ、あなた、さっきの刑事さん、何故ここに・・・?」
不思議そうな顔
栗本「警察だ!馬鹿な真似はやめろ!刃物を捨てろ!」騒然とするホール
逃げ惑うお客たち、野苺刑事と民間警備員がお客様を非難させる「皆さん
落ち着いてください」「大丈夫ですよー」
「非常口から避難して下さい」
栗本 心の声「なんだ、この震えは、まだあの時のトラウマが?
大丈夫、僕は剣道三段だ」震えながら自分に言い聞かせるが
恐怖からくる震えが止まらない
暴漢「てめー邪魔すると、てめーもぶっ殺すぞ!」刃物を振り回し威嚇する
警棒を中段の構えにし、相手の喉元に向ける栗本刑事
暴漢「この野郎ー、どきやがれー」刃物を振りかぶり襲い掛かる『バキッ』
相手の右腕に栗本の警棒が炸裂する
「ウッギャー」悲鳴を上げ刃物を落とす暴漢
「15時50分、公務執行妨害及び殺人未遂の現行犯で確保」
手錠をはめる栗本『ガチャ』
応援が来て警察官に連行される犯人「くそー覚えてやがれ」暴言を吐き
連行される
野苺「ピーチちゃん大丈夫?」舞台に上がりピーチの肩を抱く
ピーチ「うっ、うん」呆然とする
栗本「お怪我はありませんか?」震えも止まりホットした様子で
ピーチを心配する
ピーチ「うっ、うん、ありがと・・・うっ、うっ」泣きだす
野苺「こんな可愛い娘に、クソ野郎ーて?訳わかんないねー」ピーチの顔を見つめる
ピーチ 心の声「可愛い娘?・・・クソ野郎か・・・確かに、あたしは・・・」泣き真似をし複雑な顔をする
栗本「そうだね。アイツ薬でもやってんのかな?」安堵に包まれた様子


翌日 鶴亀署刑事課強行犯係 二人の活躍に盛り上がる
蜜柑係長「二人とも、お手柄だね」漫勉の笑顔
柿ノ上「俺の指導の賜物だなー」どや顔をする
西瓜「指導って、まだ一週間も経ってないのに」ツッコミを入れる
柘榴「だが、あんま無理すんなよ。長生きできねーぞ」心配する
栗本「はい、気を付けます」笑顔で返す
野苺「あの容疑者、黙秘してます」「ピーチちゃんを襲った動機は
何だったんでしょう」
栗本「そうだね、これから取り調べで自供させましょう」
柘榴「そうだな、落としのザクさんに任せなさい」自信満々の顔
柿ノ上「落としじゃなくてお年のザクさんですねー」親父ギャグ言う
西瓜「でたー柿ノ上のオジギャグ」ツッコミを入れる 
柿ノ上「なんだとーこの独活の大木」冗談半分に言う
蜜柑係長「はい!そこ喧嘩しない」指をさし檄を飛ばす
柘榴「ところで、今日で3年経つな、あの事件から・・・」意味深な表情
蜜柑係長「今日は6月6日ですね、その話は・・・」チラッと栗本を見る
栗本「・・・・・・」無言で下を向く
野苺「あの事件て?何ですか?私、地方の交通課でしたから?」
首をかしげる
柿ノ上「ミルクちゃん、知らないの?南瓜のおくりびと事件?」真顔になる
西瓜「連続強姦殺人、6年間で22人の強姦殺人を犯した殺人鬼です」
暗い顔になる
野苺「あっ、知ってます。ハロウィンのジャックオーランタンの仮面を被り被害者に、死に化粧をするから『南瓜のおくりびと』と異名が付いた事件
ですね」興奮した様子
柘榴「絞殺してから屍姦するという猟奇殺人だ」
柿ノ上「3年前に突然、犯行が止み、犯人は未だ捕まっていない」
西瓜「確か?3年前の6月6日、23人目の被害者が未遂に
終わったって・・・」
栗本「・・・」下を向いたまま脂汗を出し手が震えだす
蜜柑係長「はい!その話は、ここまで、各自持ち場について、柘榴さんは
取り調べ、お願いします」話をそらし皆を散らばせる
栗本 心の声「そう、僕が23人目の被害者、僕はFTM(体は女性
性自認が男性)トランスジェンダー」「本名は栗本クリス」
顔面蒼白 ネクタイを緩める

突然、鶴亀署の管内放送が鳴り響く
『本日未明、鶴亀神社にて身元不明の変死体発見、捜査員は直ちに
現場に急行してください。繰り返します・・・』
鶴亀署強行犯係に緊迫感が漂う
柘榴「鶴亀神社って、3年前の6月6日の事件現場じゃねーか」
柿ノ上「奴が現れたのか?」西瓜「南瓜のおくりびと・・・」
蜜柑「ザクさんと栗本は取り調べに、他の三人は現場に急行してください」
栗本「まっ、待ってください。僕も行かせてください」焦った表情で呟く
蜜柑「栗本・・・君はストーカーを逮捕した。取り調べを・・・」
蜜柑係長の話も聞かず飛び出す栗本、他の三人も栗本を追いかけるように
出発する
蜜柑「大丈夫かな?栗本」
柘榴「栗本の奴、何か変じゃねーか?なんかあんのか?」
蜜柑「えっ?別に、ザクさん一緒に取り調べしましょ」取調室に向かう


鶴亀神社、野次馬が多数来ている、キープアウトのテープで現場が立ち入り禁止に、遺体がビニールシートに巻かれ、鑑識が現場を調査している
柿ノ上「ご苦労さん、鶴亀署の者だ」警察手帳を見せ警備の警察官に
挨拶をする
警察官「ご苦労様です」敬礼をして、強行犯係の四人を現場内に入れる
鑑識「ご苦労様です。柿ノ上さん、殺人ですよ、しかも若い女性の強姦
絞殺」
柿ノ上「殺しか、仏さん拝ましてくれ」ビニールシートから手を合わせ
遺体の顔を拝む
西瓜「こっこれは・・・!」
野苺「しっ死に化粧・・・?」顔面を白塗の化粧をした遺体、まさに
死に化粧をしている
栗本『ウッ、ウゲッー』小走りで隅に行き嘔吐をする 
野苺「栗本先輩、大丈夫ですか?」背中をさすり介抱する
そこに警視庁捜査一課の刑事たちが現れる
人参刑事「どいたどいた、現場荒らすな所轄!」体格の良い強面の刑事
里芋刑事「あーあーこんな所でゲロされちゃー困るなー」
「現場初めてか?兄ちゃん?」小太りの細目で眼鏡を掛けた刑事
西瓜「失礼しました。新人なもんで」ぺこぺこして謝る
柿ノ上 心の声「ちっ、本庁の奴等、偉そうに?」
人参「若い女性の絞殺による強姦殺人、死に化粧、奴の仕業に
間違いないな」
里芋「犯行現場、月日も一致します『南瓜のおくりびと』が3年ぶりに
現れたか」
栗本「いや、化粧が粗すぎます」口元をハンカチで押さえながら呟く
人参「なんだとーこの嘔吐野郎ー」顔を近づけ威嚇する
西瓜「あっ、すいません。こいつ新人なもんで」ぺこぺこして謝る
里芋「兄ちゃん、化粧でもするのかい?」ニヤニヤしながら笑う
「もしかしてオネエか?」顔に手を添えおかまの真似をする
野苺「失礼ですね!栗本先輩は、イケメン刑事です」怒り気味に呟く
人参「まあいい、この案件は本庁が仕切る」
「所轄は会議室を用意しておけよ」
「あっ、オネエチャン達はお茶菓子とお茶くみも宜しくな」
柿ノ上「くっ・・・」何か言おうとした瞬間
西瓜が止める「はいっ、お待ちしてます」
栗本「あっ、あの子?」話をよそに野次馬を見る
野苺「あれ?ピーチちゃんじゃない?」
野次馬にフルーティー娘の桃園ピーチが居る
二人と目が合い、現場から逃げるように立ち去る桃園ピーチ
栗本「あの子、この近くに住んでるのかな?」ようやく顔色が戻る
野苺「うーん、わかんないけど、地元アイドルだから近所かも?」
柿ノ上「ちっ、帰るぞー、これから捜査会議だ」鶴亀署に向かう四人


瓜田芸能事務所 レッスンを受けるフルーティー娘達
無花果「はい、はい、はい、はい、ラストー」手拍子をしてリズムを取る
無花果「はいー、終了、今日のレッスン終了」
ピーチに近寄る無花果「ピーチ、先日の事件の事もあるけど
まだ表情硬いわよ」
リンゴ「もーセンター降りたら、私がやるよー」嫌味っぽく言う
メロン「しょうがないよー、ファンに殺されそうになったんだよ」同情する
無花果「社長も、社長ね、少し活動停止にした方がいいと思うけど」
メロン「あの事件で、SNSにトレンド入りして今がチャンスなんて
言ってるんですよ」
リンゴ「そうよ、今がメジャーになるチャンスじゃない」
ピーチ「フン、あの社長のやりそうな事だ」
「あたし達を商品としか思ってないんだよ」
そこに瓜田社長が帰ってくる
瓜田「いやー忙しいわ、あの事件のインタビューでマスコミに
引っ張りだこよー」「宣伝効果ばっちりー」
「ストーカー様様ねー」笑顔が止まらない
無花果「社長!何言ってるんですか?この子たちの気持ち考えてください」怒り気味
社長「ははっ・・・冗談よ冗談」「あっ、それより知ってる?」話を逸らす
社長「今朝、鶴亀神社で若い女の子の死体が見つかったらしいわよー
あっ怖いー」
「3年前も、あそこで強姦殺人があったのよー未遂だけどねー」
「確か、南瓜のおくりびと事件とか言ったかしらー」
体のくねくねさせ、ゼスチャーする
メロン「何ですか?南瓜って、ハロウィンと関係あるんですか?」
不思議そうな顔
ピーチ「・・・」顔が強張り下を向く
社長「違うわよー、都内で22人の強姦殺人をした殺人鬼よ」
怖い顔で脅かす
無花果「目撃情報から南瓜の仮面を着けていたって話よ」落ち着いた様子
社長「リンゴちゃんは青森、メロンちゃんは北海道から上京して来たから
知らないわよねー」「ピーチちゃんは?山梨だったかしら?」
ピーチ「違います。静岡です」不機嫌そうに小声で否定する
リンゴ「でも、なんで?おくりびとなんですか?」不思議そうな顔
社長「それがねー被害者に、死に化粧して遺棄するんですってー
クレイジーでしょー」
無花果「ピーチ、どうしたの?顔が真っ青よ」慌てた様子
メロン「ピーチちゃん、大丈夫、熱あるよ、コロナじゃない?」
おでこに手をあてる
リンゴ「おいおい、病院行って来いよー、濃厚接触者になっちゃうじゃん」急に遠ざかる
社長「大変、横浜アリーナでコンサート近いのよー」
「早く病院連れてって頂戴」


鶴亀署会議室『鶴亀神社、美人女子大生強姦殺人事件』の垂れ幕
中で捜査会議が行われていた
上座の中央に本庁刑事部捜査一課の松茸聖司管理官、その右横に本庁刑事部係長、牛蒡田秀吉(管理官補佐)左横に鶴亀署、葡萄署長、甘夏副署長
下座の向かえ合わせに本庁捜査一課、鶴亀署刑事課、鑑識係、総勢50名が会議している
松茸「今回の事件は、3年前の『南瓜のおくりびと事件』の関連性を含め
本庁と合同捜査する事になりました。本庁の松茸です。よろしく」
一同「宜しくお願いします」深々とお辞儀をする
野苺「松茸管理官て、素敵ですよね」「頭脳明晰、行動力、リーダーシップも最高、将来の警視総監候補らしいですよ」小声で栗本に話掛ける
栗本「はい、そうですね。警察官の鏡ですね」小さくうなずく
葡萄署長「それでは、先ず、今回の事件の詳細から説明します」
「亡くなった被害者は、蜂蜜レモンさん18歳、都内の大学1年生です」「死因は素手で頸部を圧迫された窒息死です」淡々と説明する
牛蒡田「犯行現場、月日、若い女性、殺し方、間違いないな
3年前と・・・」
葡萄「はい、被害者に死に化粧をする点も類似します」小さくうなずく
松茸「改めて『南瓜のおくりびと事件』の説明を葡萄署長、お願いします」
葡萄「はい、6年間で22人を強姦殺人した凶悪犯です」
「年齢10代から20代の女性を対象に、素手による頸部圧迫の窒息死。殺害後、死に化粧をして屍姦するという猟奇殺人です。」
「南瓜の仮面を被っていた目撃情報から『南瓜のおくりびと事件』と命名」
「殺害月日も9年前の3月3日、5月5日、6月6日、7月7日で、年に
4回、その後5年間で20名の殺害を行い、6年目の3月、5月と2名
計22名の被害者が出ました」
「殺害場所も都内22区内で各1区、被害者22名に関連性はなく
無差別殺人と断定」
「3年前の6月6日に本件の事件現場、鶴亀神社にて犯行に及びましたが
未遂に終わり、その後、ぴったりと犯行が止み未解決事件として現在に
至ります。以上」
松茸「警察の威信をかけて、何としてでも犯人を検挙する」拳を握りしめる
人参「すいません!3年前より化粧が粗くないっすか?」白々しく発言する
柿ノ上「あの野郎ー、栗本が言ったことパクりやがった」小声で言う
牛蒡田「人参刑事、君は化粧をするのかね?」顔にファンデーションを
塗る仕草
一同「あっははは」爆笑する
人参「ですよねー、所轄の新人君が言うもんで・・・」開き直り栗本に振る
栗本「はい、化粧も粗いですが化粧品が粗悪すぎます」平然と言い返す
松茸「鑑識、その辺はどうなんだ?」鑑識に振る
鑑識「はい、確かに、南瓜のおくりびとは、フランスのゲランという
ブランドを使用していましたが、今回は一般の化粧品です」
鑑識「それから、もう一点、解剖医からの報告で、今回は屍姦ではなく、生きている時に性交しています」
一同がざわつく『ザワザワザワ』「同一犯じゃないのか?」
「南瓜のおくりびとの模倣犯か?」
甘夏「静かに!憶測で話さない!」『バーン』机を叩き静止させる
松茸「あくまでも、関連性で捜査をしている。ほかに質問はないか?」
間髪入れず
胡桃 鶴亀署刑事課長「はい、23人目の未推に終わった被害者の方は、どうなっているんですか?」
栗本の顔が曇り始める、蜜柑係長が心配そうに栗本を見つめる
人参「確か?神奈川県警の生活安全課の婦警さんでしたよね?」
胡桃「確かに、犯人との接触もあるし、顔とか見てないんですかい?」
葡萄「その件は、被害者の安全性を含め、シークレットです」
栗本の顔を直視する
葡萄 心の声「安心しろ栗本、お前の素性は警察上層部と俺、蜜柑係長以外は知らん」
「『南瓜のおくりびと』にとってはアキレス腱、警察にとっては秘密兵器だからな」
牛蒡田 心の声「栗本栗乃輔、彼が、あのFTM(体は女性、性自認が男性)化粧の仕方、化粧品の品質を見抜くとは・・・さすが、オナベちゃん?」
にやにや笑う
松茸 心の声「栗本栗乃輔いや栗本クリス、化粧品の事といい、かなり当時の事件内容を調べているな。被害者当人として犯人に対しての執着心が強いか? ・・・性同一性障害?」何かを悟る様に話始める
松茸「化粧をする前提で、犯人は女性か、男性でも化粧に詳しい、自らが
化粧をする性同一性障害の人物の可能性もあるな」真顔で話す
一同がざわつく『ザワザワザワ』「マジか?オカマちゃん?」「今は
ニューハーフって言うらしいぞ」「トランスジェンダーだろ?」
甘夏「静かに!個々に話さない!」『バーン』机を叩き静止させる
野苺「あっ!それで4月4日は、オカマの日だから犯罪を
起こさないのかな?」
一同爆笑「ぶっ、はははは」「偶然だろー」
栗本「確かに3月3日は桃の節句、5月5日は端午の節句、女の子と
男の子の日だ」
人参「それじゃー新人君、6月6日は悪魔の日で7月7日は七夕
カップルの日か?」
一同爆笑「ぶっ、はははは」「偶然だろー」
甘夏「だから、静かに!個々に話さない!」『バーン』机を叩き静止させる
葡萄「その辺も、前から疑問視されている点だ、犯人からのメッセージの
可能性もある」
松茸「もし、その法則性があるとしたら、次の犯行は7月7日、1ヶ月しかない。それまでに絶対に犯人を検挙するぞ」拳を握りしめる
「本庁捜査1課は、周辺の聞き込みと交友関係の捜査を最優先
所轄は防犯カメラ、ドラレコの回収と防犯パトロールを行って下さい」
一同「はい!敬礼!」会議が終了する
二話に続く



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