「ジャン・ケン・ポン」第二話

第二話　『ジャン拳法VS不乱拳法』
しかし、蟹鋏だけは、腕をクロスしダブルピースの状態で攻撃を
交わしていた
蟹鋏「おい、おい、まだ俺がいるぜ、この化け物が・・・」
龍蛇、心の声「そうか阿修羅千手掌打は（パー）、龍星は石ノ型（グー）で負けカミューは紙ノ型（パー）であいこだがパワーで負けた、剣志郎は
鋏ノ型（チョキ）で防御し助かったか」
蟹鋏「今度は、こっちから行くぜ、石ノ型　亀甲正拳突きー」
龍蛇、心の声「はっ？剣志郎が石ノ型　亀甲正拳突きじゃとー？」
フランケン「ぐっははははー石ノ型（グー）には紙ノ型（パー）だ！
もらったー不乱拳法　斬首刑手刀（ギロチンチョップ）」
剣志郎の首元を狙いフランケンの手刀が水平に入る『ガッチーン』
フランケンの斬首刑手刀を左手の蟹鋏二爪で受け止める
剣志郎「残念でした」
龍蛇、心の声「見事なフェイントじゃ！サッカーで培った勘と才能じゃな」
フランケン「くっ、放しやがれー無間地獄突きー」もう一方の手で剣志郎の喉元に貫き手を放つ
※地獄突きの数十倍強烈な貫き手技、一度喰らうと無限の痛みが残る
『ガッチーン』無間地獄突きを右手の蟹鋏二爪で受ける剣志郎「蟹鋏二爪鍵（かにばさみにそうけん＝シザーズロック）」両掌を完全に封じ込む
フランケン「ぐっおおおおおー　この軟弱アイドルが放しやがれー」
剣志郎「おまえはもう、負けている・・・」
フランケンの両掌を蟹鋏二爪鍵で挟んだままジャンプする剣志郎、フランケンの頭上に逆立ちし、そのまま後方に両脚を振り下ろす
剣志郎「ジャン拳法　必殺奥義　鋏ノ型　毒蠍延髄蹴り（どくさそりえんずいげり）」叫びながらフランケンの延髄に両踵落しを炸裂させる
フランケン「ひーでーぷー」泡を吹き失神しそのまま地響きをたて前方に
倒れる『ズッズッズッーン』
着地する剣志郎、しかし体力の限界で膝を落とし荒い息をする「はぁはぁはぁ・・・」
アイーン「素晴らしい」拘束された愛子を連れ館長室から拍手をして
出てくる、右手には刃渡り20センチの刃物を持っている
アイーン「久しぶりだな天神龍蛇、15年ぶりかい？いい弟子を育てたな」
龍蛇「アイーン！愛子を返してくれ、秘伝書は15年前に燃やしてしまった」
アイーン「いやいや、秘伝書なんかどうでもいい事」
龍蛇「ジャン拳法は15年前に封印した、これからも復活させる
気持ちはない」
アイーン「ほほう、こんな素晴らしい弟子を育成しているのにか？」
龍蛇「彼らはアイドルじゃ、今回たまたまジャン拳法を伝授したが、今後はアイドル一筋でエンターテイメントをさせるつもりじゃ」
アイーン「ふーん、それは勿体ない話だ、拳法発展の喪失ではないか？」
龍蛇「拳法では、世界を平和に出来ん、エンターテイメントこそが暗い世を明るく変え、悲しく苦しい人々を幸せにすると悟ったのじゃ」
アイーン「ふふふ、すっかり牙も毒も抜かれたな龍蛇」
アイーン「まあいい、お孫さんは返してやろう・・・ただし
一つ条件がある」
龍蛇「くっ、条件・・・なんじゃ一体？」顔をしかめる
アイーン「その腰に着けているジャン拳法の秘薬『神通薬』を頂きたい」
龍蛇「神通薬を？・・・不乱拳法には魔薬という秘薬があるではないか」
アイーン「ははは、あれは危険な薬でな、長期に服用すれば体が蝕む
しかし神通薬は、飲めば飲むほど蘇生復活し万病にも効く
らしいではないか？」
龍蛇「うーん・・・」考え込む
愛子「おじいちゃん、こんな奴らにジャン拳法伝承の秘薬を渡してはだめ」
龍蛇「愛子！・・・」
アイーン「どうした龍蛇、お孫さんが可愛くないのか？虎武龍君の様にまた犠牲にするのか？」愛子をヘッドロックし喉元に刃物を突き付ける
愛子「おじいちゃん、私はいいの、お父さんとお母さんの居るお空に行くから、絶対渡しちゃだめだよ」

龍蛇の回想シーン
愛子8歳、龍蛇とニューカレドニアの海を眺めている
龍蛇「愛ちゃん、ここが天国に一番近い島だよ」
愛子「えっー？それじゃー愛のパパとママ近くにいるの？逢いたいよー」
龍蛇「いや、愛ちゃんのパパとママは、お空でいつも愛ちゃんを見守っているんだよ、だから愛ちゃんはいつも元気でいようね」
愛子「爺じの嘘つき、愛のパパとママは天国にいるって言ってたのに」
愛子「それじゃ愛もお空に行きたいよ、お空に連れてって、今すぐ今すぐ
パパとママに逢いたいよーうえーん」大泣きをする
困った様子の龍蛇、愛子の頭をポンポンする
回想シーン終了

腰から瓢箪の器に入った神通薬を外し手元に持つ龍蛇
龍蛇「わかった、神通薬を渡す、だから愛子を返してくれ」
神通薬を差し出す
愛子「おじいちゃん、だめ、こんな奴の言うことなんて聞かないで」
号泣する
アイーン「うるさい、お前も虎武龍君の様に殺されたいか？」
喉元から血が滴る
愛子「やっぱり、わざとお父さんを殺したのね、許せない・・・」
睨みつける
その時、石野と本田が意識を回復し立ち上がる
石野「痛て、てっ・・・社長、愛ちゃんの言う通りだぜ」服のホコリを払う
本田「そうですよ、神通薬を渡してはだめです」頭を回し左右に首を振る
愛子「龍星くん、カミューくん、大丈夫なの・・・？」少し笑顔になる
龍蛇「ユゥ達、無理するでない、アイドルは顔と体が資本
怪我は禁物じゃ」
アイーン「ふふふふふ、この状況で、どうするつもりかね、アイドル君達」

石野「2023　カゴメ・カゴメ・ラップバージョン」指をならす『パチーン』
石野が歌って踊りながらアイーン・シュタインに近づく
♪かーごめーかーごめーはYO　YO　かーごのーなーかーのーとりはYO YO♪
本田も歌って踊りながらアイーン・シュタインに近づく
♪EZ EZ EZ DO DANCE YEAH YOーアーケーノーBANー二　YEAH♪
アイーン「君たち、これ以上近づいたら、この娘の喉元から血が
吹き出るぞ！」
♪鶴とYOー亀がYOー nice to meet youーYEAH♪　二人で歌う
前方に石野龍星、後方に本田カミューが重なり合いピタッと静止する
♪Who is it my back？♪　二人で歌う

歌が終わった瞬間、龍星が拳を握り亀の様に身をかがめる、同時に後方にいたカミューが扇の様に手を広げ鶴の様に前方に舞う
カミュー「ジャン拳法　必殺奥義　紙ノ型　鶴の舞扇双手刀（つるのまいおおぎそうしゅとう）」と叫び、右手刀で刃物を左手刀で愛子をヘッドロックしていたアイーンの手を払いそのまま愛子を抱えて救出する
同時に龍星が両拳と頭で三点倒立のフリーズ状態から一気に前転しアイーンの射程圏内に突入する
龍星「ジャン拳法　必殺奥義　石ノ型　亀甲大車輪三方突き（きっこうだいしゃりんさんぽうづき）」と吠え、アイーンの額に頭突き、胸元に引き手から両拳で正拳突きを炸裂させる
『バキッーボキッーボキッー』肋骨が折れる音がし、アイーンは吹っ飛び
壁に激突
アイーン『ぐっぼっー』血反吐を吐き壁にもたれ意識が朦朧となる
龍星「愛ちゃん！お父さんの仇はとったよ」振り返り愛子を見ると
龍星「えっー？マジ」カミュー「愛子ちゃん！ダメー」
剣志郎「チョ、待てよ？」龍蛇「なっ！愛子」愛子を見て驚く四人
先ほどの刃物を持ち、アイーンに向かい構える愛子「龍星くんどいて！」
愛子「おじいちゃんの嘘つき、交通事故じゃない・・・こいつがお父さんを殺したの・・・絶対、絶対、許せない」号泣しながら震える
龍蛇「嘘をついて、すまなかった、だが殺してはダメだ！」
カミュー「愛子ちゃん、早まらないでください」
剣志郎「愛ちゃん、こんな奴の為に、手を汚すな！」
龍星「そうだよ愛ちゃん、さあ刃物を渡して・・・」手を差し出す
愛子「うっ・・・うっえーん」号泣し刃物を龍星に渡す
龍星「代わりに俺がやるよ！」刃物を構えアイーンに突進する
愛子「えっー何故？」カミュー「龍星くん！アレットゥ」
剣志郎「ばか！よせ！」
間一髪、龍蛇がアイーンと龍星の間に割って入った『ピキーン、ザクッー』
しかし刃物は龍蛇の腹部に深く刺さり血が噴き出ている『ブシャー』
龍星「うっーわー、社長ー」腰を抜かして尻もちをつき返り血を浴びる
開いた龍星の股間近くに何かが落ち床に刺さる『グサッ』折れた刃物の刃だ
龍蛇が左手で刃の折れた刃物の柄、右手は人差し指と中指を拡げ
Vサインを出す
龍蛇『ジャン拳法　鋏ノ型　亀裂の刃（きれつのやいば）』と呟く
刺さる瞬間、蟹鋏二爪刀で刃物の刃を折り血糊が破裂したのであった
龍蛇「龍星！ユゥは破門じゃ！」一喝する
龍星「えっーマジ？社長、ごめんなさい！」土下座をする
龍蛇は振り返りアイーンの方を見る「神通薬は渡す、ユゥは病んで
おるのじゃろ？」
アイーン「なっ・・・なぜ・・・わかった」死にそうな声で答える
龍蛇「カミューと龍星のにわか拳法を交わせぬユゥではなかろう」
アイーン「さすが・・・龍蛇・・・」気を失う
愛子「おじいちゃんーわたし・・・わたし　うぇーん」泣きながら飛びつく
龍蛇「愛子、何も言うな、帰ろう、ユゥ達も帰るぞー、明日は『Ⅿスタ』の収録日じゃ、忙しいぞ」
不乱拳法日本支部を出る五人
 
翌日ミュージックスタジオ『Ⅿスタ』収録現場
MCタムリ　「今週のゲスト『ジャン・ケン・ポン』相変わらず人気
あるねーあっ石野、リーダー変わったんだって？」
石野「あっ、はい、訳ありで、剣志郎になりました」テンションが低い
MCタムリ「訳あり？気になるねー、教えてよ」
蟹鋏「龍星が社長を怒らせたんですよ」
MCタムリ「えっー、それはますます気になるねー」
本田「これNGです、シークレットでお願いします」
MCタムリ「そうか、後で楽屋でな、それじゃ、曲行ってみよう」
アシスタント「はい、今日は『愛のジャン・ケン・ポン』とカップリング曲の2曲をメドレーでお願いします」
石野「カップリング曲『2023　カゴメ・カゴメ・ラップバージョン』聴いてください」
『ジャン・ケン・ポン』の三人がポーズをとる
第二話　完