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バッタ大発生にコロナ追い打ち 現実味帯びる“食料危機”

> 「食料品を入手できるかとの懸念から、輸出制限の動きが出てきて国際市場で食料品の不足が生じかねない」

 新型コロナウイルスの感染が広がる3月末、国連食糧農業機関(FAO)、世界貿易機関(WTO)、世界保健機関(WHO)の事務局長たちが異例の共同声明を発した。FAOの屈冬玉事務局長は「世界の食料供給網の存続が極めて重要」と強調した。

 コロナ問題が危機感を強めさせたわけだが、サバクトビバッタの大量発生による被害、アフリカ豚熱(豚コレラ)の感染拡大が複合的に広がっていることも背景だ。

 資源・食糧問題研究所の柴田明夫代表は「新型コロナ、豚コレラ、温暖化による異常気象が線でつながりつつある」と指摘する。

 柴田さんによれば、主要な食料については国内供給を優先しようと、輸出を当面、規制する動きが出てきている。ロシアが小麦や大麦に、ベトナムがコメに輸出枠を設けるなど一部の国が輸出枠を設定。コメ、小麦、トウモロコシは世界の在庫の約6割を中国が占めるだけに、「生産量は潤沢だが、中国を除いた国際市場は安心できるレベルではない」という。

 FAOの食料価格指数は昨年12月、3カ月連続で上昇して高い水準となった。今年に入って落ち着いていたものの、移動制限・鎖国で農業現場の労働力が確保しにくいなど、コロナ問題によって再び価格が上昇しかねない状況だ。

 アフリカ豚コレラも懸念材料だ。豚が感染する伝染病で有効なワクチンや治療法がなく、致死率が高い。アフリカで広がるだけでなく、ロシアやアジア諸国でも発生が確認されている。

 さらに最近、バッタが大量発生し、異常気象との関連が疑われている。大量のバッタが東アフリカからアジア諸国に侵入し、各国で農作物に大きな被害をもたらしている。

 輸出規制の動きを国はどうみているのか。農林水産省食料安全保障室の担当者はこう話す。

「輸出しないと言っているわけでなく、国内需給安定のためなどで輸出枠を設定したもの。日本が直接輸入している国ではありません。日本はコメを自給できますし、米国は穀物を順調に輸出しています。いまのところ心配の必要はありません」

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