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トランプの「最大級のワガママ」で、コロナ収束が台無しになる可能性

感染症対策が滞りかねない
 ついに世界保健機関(WHO)への資金拠出の停止措置を、トランプ米大統領が打ち出した。

先週火曜日(4月14日)の記者会見で、「(WHOの)過ちによって多くの人たちが死亡した」と強く批判。WHOの新型コロナウイルス感染症を巡る対応を今後60日から90日をかけて検証するとし、その間は資金拠出を停める方針を打ち出した。

 「アメリカ第一主義」を掲げるトランプ政権が国際機関や国際協調をないがしろにするのは、これが初めてではない。

 2017年6月には、国連主導の地球温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」からの離脱方針を発表したし、2017年のクリスマスイブには、欧州連合(EU)との交渉の末、2018年~19年の国連運営予算を5%削減の54億ドルに圧縮したと誇示した。環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱という従来の米国ならば考えにくい異常なケースもあった。

 だが、これらのケースと比べても、WHOへの資金拠出停止は際立って暗い影を落としている。トランプ大統領は、中国の新型コロナウイルス感染症対応に強い不満と不信を持っており、その中国をWHOのテドロス事務局長が称賛し、アメリカの初期対応を批判したことに強い不満を見せているからだ。

 確かに、中国やWTOの対応に問題があるのは明らかだろう。だからと言って、資金拠出の停止が良策とは考えにくい。

 WHOへの資金負担で約15%にあたる4億ドル(約430億円)を出してトップの座にある米国が拠出を停めれば、新型コロナウイルス感染症対策が滞りかねないからだ。世界にたったひとつしかない感染症対応の国際的な司令塔の活動の足を引っ張るのは明らかに愚策だろう。

 また、新型コロナウイルス感染症問題は米中間の新たな火種になりつつあり、トランプ大統領のような圧力の掛け方は中国をいたずらに孤立させて追い詰める結果になりかねない。両国の対立は新型コロナウイルス感染症の世界的な収束を難しくするリスクもある。実に、深刻な問題である。

WHOと中国を巡る疑念
 4日の会見で、トランプ氏は米国が中国からの入国禁止措置を今年1月に決めた際に、WHOが反対した点に言及、「WHOによる最も危険な決定の1つだ」と批判した。その上で、「(WHOは正確な情報を提供するという)基本的な義務を怠った。その責任を問われるべきだ」と主張した。

 さらに、昨年12月の段階で、すでにヒトからヒトへの感染があきらかになっていたにもかかわらず、WHOは「その証拠はない」とする中国当局の見解を支持したことにも触れて、「WHOは中国が唱える偽情報を広めた。信じられないほどの問題を抱えている」と非難。WHOが世界の感染者数を20倍に増やした、感染拡大の一因になったとの見解も披露した。

 トランプ政権はかねて中国が新型コロナへの初動を誤り、情報公開に消極的だと批判してきた経緯がある。

 実際のところ、WHOのテドロス事務局長は今年1月23日の緊急会合で、中国で感染が急拡大していただけでなく、すでに日本や米国、台湾でも感染者が確認されていたにもかかわらず、早期発動を求める声が出ていた緊急事態宣言を「時期尚早」だと先送りした。

 1月28日には、北京を訪ね、中国の習近平国家主席と会談。習氏に「WHOと国際社会の客観的で公正、冷静、理性的な評価を信じる」と緊急事態宣言の発動をけん制され、テドロス氏は「WHOは科学と事実に基づいて判断し、過剰反応や事実と異なる言動に反対する」と習氏に賛意を表明する始末だった。

 そして、その後も、緊急事態宣言の発動に慎重姿勢を崩さなかった。

トランプの「最大級のワガママ」で、コロナ収束が台無しになる可能性
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テドロス氏の言動の背景
 問題の会談では、習氏が「中国人民は新型肺炎と厳しい闘争をしている。人民の生命と安全、健康を守るのが最優先だ」と表明。「感染症は悪魔であり、われわれは悪魔が隠れるのを許さない」「中国政府は透明で責任ある態度で、感染の状況に関する情報を適時、国内外に発表する」「中国共産党の強力な指導の下で、中国の特色ある社会主義の優位を十分に発揮し、感染症との阻止戦に勝利する完全な自信がある」などとプロパガンダを発する機会を与えた。

 一方のテドロス氏は王毅国務委員兼外相との会談後、「WHOと国際社会は中国政府が取った果断な措置を称賛している」と、中国を礼賛した。

 その後、アメリカなど各国が中国からの入国を禁止する措置を発表した後の今年2月になっても、テドロス事務局長は、「渡航や貿易を妨げる必要はどこにもない」などと述べ、感染の拡大防止をそっちのけで、中国からの人の流入を抑えることに伴う中国経済の落ち込みを懸念してみせた。

 こうしたテドロス氏の言動の背景として取り沙汰されたのが、同氏の出身地エチオピアを含めてアフリカ諸国の経済に影響力を強める中国への配慮だ。

 エチオピアの首都アディスアベバにあるアフリカ連合本部は2012年に、中国が総工費150億円を全て負担して建設されたものだし、同国の高速鉄道などのインフラには中国政策銀行や中国輸出入銀行が出資している。中国は広域経済圏構想「一帯一路」の戦略で、アフリカ諸国との関係構築を急いできた。

 こうした発言に対して、トランプ大統領が最初に資金拠出の見直しを口にしたのは、今月7日の記者会見で、WHOは中国寄りの組織だとして、資金拠出の見直しを示唆したのだった。

 それに反論する形で、テドロス氏は翌8日の記者会見で、「WHOは当初から、できうるすべてのことをやってきた。WHOは、すべての国と近い関係にあり、人種差別はしない」と述べ、中国に限らず各国と協力して対応にあたってきたと強調した。

「マスク外交」を推進する中国
 ただ、テドロス氏は余計なことも口にした。

 「ウイルスとの戦いに焦点を当てるべきだ。ウイルスを政治化しないでほしい」と訴えた辺りで発言を抑えるべきだったのに、トランプ氏に対しては、「遺体袋を増やしたくなければ、政治問題化を控えよ」と警告したばかりか、数ヵ月前から人種差別発言や殺害予告を含む誹謗(ひぼう)中傷の標的とされてきたことを明らかにし、こうした誹謗中傷の多くが「台湾発だ」、「台湾、そして外務省も、動きを把握している」と主張したのである。

 台湾外交部(外務省)はこの発言に「事実無根」と猛反発、「中傷」だとして謝罪を要求しているという。蔡英文総統はフェイスブック上で、テドロス事務局長に台湾訪問を促し、台湾のウイルス対策から学んでほしいと伝えるとともに、「中国からの圧力に抵抗する」よう求めている。

 一方、初動の情報開示問題だけでなく、中国政府の対応に不透明感が付き纏うのも事実だ。

 そのひとつは、中国外務省の趙立堅副報道局長が3月半ば、ツイッターで根拠も示さないまま発信した「米軍が感染症を湖北省武漢市に持ち込んだのかもしれない」という説だ。趙氏は4月7日の記者会見で、主張について「米国の一部の政治屋が中国に汚名をかぶせたことへの反発だった」と釈明、訂正したものの、中国外交の責任者として許される発言ではなく、中国の信用を傷つけたことは明らかだ。

 また、中国が注力するマスク外交もいただけない。中国外務省によると、中国は3月末までに、欧米や日本、アフリカ、中東など世界の120ヵ国に医療用マスクや防護服、検査キットなどを援助したという。国内外にウイルスを拡散させたとの批判をかわす思惑があるのだろう。

 武漢での収束宣言を機に、中国は、自国の感染対策で手一杯の米国を尻目に、欧州諸国などにマスクや医療機器を援助して得点稼ぎに躍起になっていた。しかし、粗悪品の存在が相次いで発覚、ここへ来て輸出に許可制を導入して品質管理を始めざるを得なくなったという。これにより、再び輸出量が減り、中国政府が恣意的に輸出先を決めるのではないかとの疑心暗鬼も産んでいる。

各国の足並みはバラバラに
 こうした中で、ラーブ英外相は4月16日、新型コロナウイルス感染症の発生の経緯や拡大阻止策の適否を巡り、「科学的な手法に基づいて、極めて深い事後検証を行う必要があることは明確だ」と述べ、今後、中国が国際社会からの厳しい質問に率直に回答すべきだとの考えを表明した。

 今回のパンデミック(世界的な大流行)は国際協力の重要性を浮き彫りにしたとしたうえ、英国自身は自国民の帰国などで中国とうまく協調した、と述べたものの、今後の対中関係については「間違いなく言えるのは、危機が去っても全てが元通りにはならないということと、新型ウイルス感染発生の経緯や、どうすれば拡大を早期に食い止められたのかについて、厳しい質問をしなくてはならないということだ」ときっぱりと言い放った。

 パンデミック収束後にWHOや中国を中心に各国の対応を検証する必要性が高いことと、現時点でWHOへの資金拠出を停めたり、現下の感染拡大抑制策を巡る国際協調の強化を怠ったりすることはまったく次元の異なる問題だ。

 そのことは、トランプ氏の資金拠出停止発言の2日後に開かれたG7(主要7ヵ国)首脳の会議で、共同宣言がまとめられなかったことからも明らかだ。

 米ホワイトハウスの発表によると、議論の大半がWHO問題に集中し、トランプ大統領は運営が「中国寄り」だと不満を表明。WHOについて「透明性に欠け、拙劣な対応が繰り返されている」と批判したところ、G7首脳も、WHOに新型コロナへの対応の徹底的な検証と改革を求める方針を申し合わせたということになっている。

 しかし、実際はWHO支持の立場を示すドイツのメルケル首相らとの温度差があらわになった。メルケル氏は新型コロナへの対応には国際連携が欠かせないとの認識を表明、WHOを全面的に支持する立場を表明した。フランスのマクロン大統領も同様の立場を強調し、英国政府の発表はWHOを巡る議論には触れなかったというのだ。

WHOのせいでなくトランプの初期判断の致命的な失敗が

沢山の人を殺した。自分の責任を認めろ。馬鹿め。


米国の死者4万人超これトランプが殺したんだからね。
https://note.com/hiroki_nara/n/n00df5be5c14c


コロナウイルス、感染力を保つ長さは? 空気中は3時間
https://note.com/hiroki_nara/n/nb47823d30f31


新型コロナウイルスはまちがいなく真の使徒ね。人類の真の敵は神。
https://note.com/hiroki_nara/n/n750093fa2ba8

東京は100%オーバーシュートします。寝言を言っても状況に変化はありません。
https://note.com/hiroki_nara/n/nd3b7990297fe
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